さまざまな医療施設では、多くの医療従事者が専門性を活かして働いています。
高齢化が急速に進み、医療の現場では、医療・看護と介護の連携が重要度を増し、活躍の場も広がっています。
種類も就業者数も多い医療施設と活かせる資格についてご紹介します。
医療施設の種類
医療機関の運営組織
病院やクリニックなどの医療機関は、法人や個人が運営しています。
働くときには、通常、その医療機関を運営する法人等に就職することになります。
国・公的医療機関
国が運営する国立病院には、厚生労働省が運営するもの、独立行政法人国立病院機構のもの、個別の独立行政法人のものなどがあります。
地方公共団体が運営する市民病院には、市町村が運営するもの、地方独立行政法人のもの、国民健康保険団体連合会のものがあり、日本赤十字社や済生会も公的医療機関の一種です。
全国社会保険協会連合会、厚生年金事業振興団、船員保険会など社会保険関係の団体が運営するものも公的性格が強い医療機関になります。
医療法人
医療法人は病院や診療所の開設を目的に設立された法人です。
社団医療法人と財団医療法人があります。
社団、財団を問わず、公益性が高いと承認を受けた特定医療法人や都道府県知事の認定を受けて幅広い事業を行う社会医療法人があります。
その他の法人
公益法人、学校法人、社会福祉法人、医療生協、民間企業などが運営する医療機関があります。
個人
医師が個人で開業しているクリニックや医院などの診療所があります。
いくつかの診療所が集まって、ひとつの医療法人に入ることもあります。
病院
医療施設は、大きく病院と診療所に分けられます。
病床の有無や規模で区分されます。
20床以上が病院とされています。
一般病院
一般病院には複数の診療科を持つ病院、単科病院、リハビリテーション病院などがあります。
特定機能病院
特定機能病院は高度な先端医療を提供する病院です。
受診には原則として他の病院からの紹介が必要となります。
- 高度な医療を提供
- 高度な医療技術を開発・評価
- 高度な医療に関する研修ができる
- 400床以上、10以上の診療科
- 職員数や施設が一定基準以上
- 厚生労働大臣の承認
地域医療支援病院
地域医療支援病院は地域の医療を支援する病院です。
地域の病院や診療所から紹介された患者に、より高度な医療を提供します。
- 地域の診療所や病院を支援
- 200床以上
- 他の医療機関との紹介比率が一定以上
- 他の医療機関と高度は医療機器や病床を共同利用
- 医療従事者への研修を実施
- 救急医療が可能
- 都道府県知事の承認
大学病院
大学病院は医学や歯学の教育・研究を行う大学に開設された病院です。
大学病院では研究や学生実習に関わることが多くなります。
通常は特定機能病院になっています。
救命救急センター
救命救急センターは、通常、特定機能病院や規模が大きい地域医療支援病院が指定されます。
高度救命救急センターは特に高度な診療機能があるとして厚生労働大臣が指定します。
ICU
ICUは急性の病気やけがなどの患者を集中的に治療・看護する部門です。
通常、特定機能病院や規模が大きい地域医療支援病院に設置されています。
回復期リハビリテーション病院
回復期リハビリテーション病院は、後遺障害はあるものの病状が比較的安定した患者に対して、日常生活に戻るための訓練を集中的に行う入院施設です。
規模の大きな病院内やリハビリを専門に行う病院があります。
療養病床
療養病床は病状が安定していて介護が必要となる患者に対して、介護をしながら慢性疾患の治療や機能回復訓練などの医療を行う入院施設です。
がん専門病院
がん専門病院はがんを専門に扱う医療施設です。
がんを専門に扱うことで、さまざまな分野の医療スタッフが連携し、よりよい治療法を見出しやすくなります。
緩和ケア病棟
緩和ケア病棟は、終末期の患者が最期まで尊厳を保ちながら療養生活を過ごせるように支援する病棟です。
病気を治すだけでなく、療養中の生活の質を上げる支援をすることも医療と考えられるようになっています。
医師、看護師、看護助手、薬剤師、リハビリ系、検査・技術系、栄養士、歯科医師、医療事務系、社会福祉士、保育士 など
診療所・クリニック
小規模な医療施設で、入院可能なベッド数が19床以下の施設は診療所となります。
診療所
外来または訪問診療を中心に行います。
手術を行う診療所もあります。
専門的な治療が必要と判断したら、地域医療支援病院や特定機能病院などに紹介します。
在宅療養支援診療所
地域での在宅療養の中心として認可を受けた診療所です。
24時間体制で医師または看護師が電話連絡を受け、往診や訪問看護ができることが認可の条件とされています。
歯科診療所
地域の人を歯科医師が診療する小規模な医療施設です。
一般には、歯科医院、デンタルクリニックなどと呼ばれています。
医師、看護師、介護支援専門員、医療事務系、歯科医師、歯科衛生士、歯科助手、歯科技工士 など
健康保健機関
住民の健康を支えるための機関です。
保健所
都道府県や政令指定都市が設置する住民の健康的な生活を支援するための機関です。
保健所で働くには地方公務員試験を受けて、職員として採用される必要があります。
臨時職員を募集することもあります。
保健センター
保健所よりも身近なところで健康診断、健康相談などを実施します。
地方公務員試験を受けて、市町村の職員として採用される必要があります。
臨時職員を募集することもあります。
健康診断・検診実施施設
健康診断や検診を行う医療施設です。
企業や自治体の集団検診や独自の人間ドックを行います。
一般事業所
企業や団体などに医療職として契約したり、従業員として雇用され、健康診断や健康相談、労働環境の改善などを行います。
体調を崩した従業員の診療や看護を行うこともあります。
医師、保健師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、臨床心理士 など
介護・福祉施設
介護施設では、入院は必要ないものの医療的な管理を行っています。
介護老人保健施設
医療的な管理のもと、高齢者が在宅で生活するための機能訓練などを行う施設です。
医師、看護師、介護福祉士、理学療法士など配置が義務付けられています。
特別養護老人ホーム
寝たきりや重度の認知症など介護が必要な高齢者が入居して生活する施設です。
24時間介護が必要となります。
居宅介護支援事業所
在宅で介護サービスを利用する人に対して、介護支援専門員(ケアマネジャー)が相談にのり、ケアプランを作成するなど、適切な介護サービスを受けられるように支援します。
訪問看護事業所
患者の自宅などを訪問して、看護やリハビリテーションなどの医療行為を行う事業所です。
看護師と介護福祉士などがチームで対応することもあります。
訪問リハビリテーション事業所
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が患者の自宅などを訪問してリハビリテーションを行います。
通所リハビリテーション事業所
理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などが指導してリハビリテーションを行う事業所です。
医師、看護師、保健師、介護系、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、栄養士、介護事務系 など
治療・施術
医療機関ではありませんが、けがの治療や鍼灸あんまマッサージなどの施術を行う施術所があります。
接骨院、整骨院
柔道整復師が治療を行う施術所です。
鍼灸院やマッサージ院を一緒に行っていることもあります。
鍼灸院
はり師、きゅう師が鍼や灸を行う施術所です。
接骨院やマッサージ院を兼ねたり、病院に併設されていることもあります。
マッサージ
あん摩マッサージ指圧師があんま、マッサージ、指圧などを行う施術所です。
接骨院や鍼灸院を一緒に行っていることもあります。
柔道整復師、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師
医療施設で働くには
医療業界の求人・転職
医療現場は医療・看護と介護の連携が進み、働き方の多様化が進んでいます。
医療職の有効求人倍率は他の職種と比較して、高い水準を継続しています。
専門性の高い医療職の転職では、特殊な業界に精通した専門のエージェントサービスを利用するのが一般的になっています。
医療業界の転職活動
エージェントサービスを利用すると、業界や職種に精通したコンサルタントのサポートを受けることができます。
- キャリアの可能性を広げるカウンセリング
- 非公開・好条件の求人紹介
- 専門性の高いコンサルタント
まとめ
医療業界は専門化が進み、職種は細分化していくことが予想されます。
医療・看護と介護の連携も進み、医療現場の働き方はさらに多様化していくでしょう。
生涯を通じて自分のやりがいやキャリアを追求することができる仕事だといえます。
【参考】
・厚生労働省ウェブサイト「医療」
・ハローワークインターネットサービス