キーワード解説
雇用保険
雇用保険とは、政府が管掌する雇用に関する強制保険制度のことです。
雇用保険は、
- 労働者が失業してその所得の源泉を喪失した場合、労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合および労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合および労働者が子を養育するための休業をした場合に、生活および雇用の安定や就職の促進のために失業等給付・育児休業給付を支給
- 失業の予防、雇用状態の是正および雇用機会の増大、労働者の能力の開発・向上、その他労働者の福祉の増進を図るための事業を実施
する、働く人の安定した職業生活の実現を目的として、必要な給付などを行う制度です。
原則、従業員を1人でも雇用している事業は雇用保険の適用事業です。
ただし、5人未満を雇用する農林水産業は任意適用事業となっています。
適用事業所に雇用されている人は、雇用保険に加入する、加入しないという個人の意思に関係なく、雇用保険の被保険者となります。
雇用保険に加入すると、「雇用保険被保険者証」が一人ひとりに交付されます。
雇用保険の実務的な業務は、ハローワーク(公共職業安定所)で行っています。
ハローワークでは、雇用保険の加入履歴などを一元管理しています。
雇用保険の被保険者
- 一般被保険者:2.~4.以外の人(正社員・パートタイマーなど)
- 高年齢継続被保険者:65歳以上の人
- 短期雇用特例被保険者:季節的事業や1年未満の短期雇用の人など
- 日雇労働被保険者:日々あるいは30日以内の期間を定めて雇用される人
失業したときの給付
雇用保険の失業等給付の求職者給付は、被保険者であった人が失業したときに支給されるもので、失業中の生活を支える代表的な給付です。
一般被保険者であった人が受けるものを「基本手当」(いわゆる失業保険や失業手当を呼ばれるもの)といいます。
- 基本手当
- 技能習得手当
・受講手当
・通所手当 - 寄宿手当
- 傷病手当
再就職・就職活動をしたときの給付
雇用保険の失業等給付の就職促進給付のうち「就業促進手当」として、「再就職手当」「就業促進定着手当」「就業手当」などがあります。
就職促進給付は、被保険者であった人が失業したときの再就職を促進するために支給されます。
基本手当の本来もらえる額を残して再就職した場合は、「再就職手当」などの就業促進給付を受けられることがあります。
その他、移転費や広域求職活動費などがあります。
- 就業促進手当
・再就職手当
・就業促進定着手当
・就業手当
・常用就職支度手当 - 移転費
- 求職活動支援費
・広域求職活動費
・短期訓練受講費
・求職活動関係役務利用費
教育訓練を受講したときの給付
教育訓練給付は、働く人の主体的な能力開発の取り組みや中長期的なキャリア形成を支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とし、教育訓練受講に支払った費用の一部が支給されるものです。
一定の要件に該当する一般被保険者または一般被保険者だった人が、指定された教育訓練を受講し修了したときに「教育訓練支援給付金」が支給されます。
- 一般教育訓練給付金
- 特定一般教育訓練給付金
- 専門実践教育訓練給付金
雇用を継続するための給付
雇用継続給付は、介護休業期間中や一定の要件を満たす被保険者が失業することなく、職業生活を維持するために支給されます。
介護休業給付金は、介護休業を取得した場合、一定の要件を満たすと支給されます。
高齢で賃金が大幅にダウンしたときに支給される高年齢雇用継続給付もあります。
- 介護休業給付金:介護休業中に賃金の67%相当を支給
- 高年齢雇用継続給付:60歳時賃金の75%未満に低下で支給
育児休業給付
育児休業給付は、雇用保険の被保険者が子の出生後8週間の期間内に合計4週間分(28日)を限度として、産後パパ育休を取得した場合、一定の要件を満たすと「出生児育児休業給付金」の支給を受けることができます。
また、育児休業を取得した場合、一定の要件を満たすと「育児休業給付金」の支給を受けることができます。
- 出生時育児休業給付金:休業期間中に賃金の67%相当を支給
- 育児休業給付金:育児休業中に賃金の67%相当を支給
雇用保険と助成金
雇用保険は、労働者へ直接給付されるだけでなく、事業主へ労働者の失業予防や雇用安定のために助成金を支給しています。
雇用保険の助成金は景気や社会情勢に応じて、毎年のように変更されます。
参考:ハローワークインターネットサービス
- 雇用保険は労働者の生活と雇用をサポートする制度
- 雇用されている人は基本的に雇用保険の加入者