グローバル人材とは

キーワード解説

グローバル人材

グローバル人材とは、言語や文化などバックグラウンドの異なる多様な相手と良好な関係を築き、マネジメントできること、語学力や専門性を駆使して、高度なビジネスを展開できる人材のことを意味しています。

海外進出する日本企業は、年々増加しています。

製造業や卸売業、運輸業、サービス業、IT業などが、積極的に海外展開をしています。

世界的な競争、グローバル化が進むなかで、不確実な市場やビジネス環境でも成果を生み出せるグローバル人材が求められるようになっています。

グローバル人材にとって、一定の語学力は必要ですが、語学力だけではグローバル人材として活躍することはできません。

語学力以上に未知の世界でも柔軟に対応する姿勢やチャレンジ精神を持ち続けることが必要とされています。

グローバル人材は、即戦力を中途採用する方法もありますが、希少人材ですので、簡単ではありません。

社内でも候補者を選定して、育成することが求められています。

求められる基礎能力

基礎知識・基礎学力に加えて、主体性やプロ意識が求められています。

  1. 主体性
    主体的に問題を発見、設定し、解決に導くことのできる能力。そのためにはチャレンジ精神、知的好奇心、粘り強さ、体力が必要である
  2. プロ意識
    しっかりとした職業観、自己責任の観念、アカウンタビリティ(責任をもって説明できる能力)、高い倫理観
  3. 知力
    産業社会に携わっていく上で必要不可欠な基礎知識・基礎学力。これには、相手のいうことを正確に聞き取り、自分の考えを適切に伝えられるコミュニケーション能力も含まれる

国際的に通用する能力を持った人材

指導的立場の人材については、哲学を含む幅広い教養を前提とした人材が求められています。

  1. 時代の変化を先取りして、将来ビジョンを示すことのできる人材。社会の変革を実現し世界をリードできる独創的な人材
  2. さまざまな意見をまとめて人材を糾合し、物事を確実に成し遂げる人材
  3. 国際場裡にあって各国のリーダーと対等に渡り合える人材
  4. 新しいビジネスを創造し、実行する起業家精神旺盛な人材
  5. 各分野における高度な専門知識、最先端の知識を持った人材

採用面での企業の改革

  1. 採用方法のオープン化
    企業は多様な人材を広く受け入れるために、採用方法をオープン化する
  2. 個人の能力を適切に評価できる採用
    通年採用や秋期採用の実施により、経験者や帰国子女等多様な人材の就職機会を増やすとともに、春の新卒一括採用では困難であった、時間をかけた丁寧な採用活動を行う

処遇面での企業の改革

  1. 能力・成果主義に基づく給与制度
    年功序列・悪平等を是正し、個人の能力を十分に発揮させるため、能力主義・成果主義に基づいた処遇体系への転換を進める
  2. 個人の選択を重視する人事システム
    専門職制度や社会公募制度等の活用により、従業員が自らの進路や職種を選択することで、個人の意欲や目的意識を従来以上に尊重する組織運営に努める

研修面での企業の改革

従来のように企業側の判断で一方的に教育するのではなく、自らのキャリア開発に必要な研修を主体的に選択して受講できる研修制度(自己責任型教育)の拡充を進めています。

グローバル人材に求める素質・知識・能力

グローバル社会で活躍するためには、多様性への理解や寛容性が重要であると考えられています。

  1. 海外との社会・文化、価値観の差に興味・関心を持ち、柔軟に対応する姿勢
  2. 既成概念にとらわれず、チャレンジ精神を持ち続ける
  3. 英語をはじめ外国語によるコミュニケーション能力を有する
  4. グローバルな視点と国籍、文化、価値観、宗教等の差を踏まえたマネジメント能力
  5. 企業の発展のために、逆境に耐え、粘り強く取り組む
  6. 当該職種における専門知識
  7. 個別企業の利益を越えて、進出先地域の国の繁栄を考えられる高い公共心、倫理観を持つ
  8. 日本文化、日本史、世界史、哲学等に関する知識

グローバル人材の採用のための取り組み

グローバル人材を採用するために採用の多様化が進められています。

  1. 通年採用、秋季入社、通年入社制度など採用活動の多様化
  2. 海外留学やギャップ・イヤー等を活用した多様な体験を積極的に評価
  3. 日本で就職を希望する学生を対象とした海外で開催される合同就職説明会・面接会に参加
  4. 海外で学ぶ大学生を対象にしたon campus recruitingを海外大学で開催

日本人社員のグローバル化に向けた取り組み

日本人社員のグローバル化を強化する取り組みとしては、海外体験が重視されています。

  1. 外国語研修の機会を提供
  2. 若手社員を海外拠点や子会社などに短期・長期の研修OJTに派遣
  3. 海外留学の機会(ビジネススクール、ロースクール等)を提供
  4. 日本とは異なる価値観や文化、習慣を持つ環境で働くための研究機会を提供
  5. 昇進・昇格の条件に一定レベルの外国語能力を要求
  6. 海外拠点の外国人社員と本社社員の合同研修を実施
  7. 幹部候補のキャリアパスに海外勤務やグローバル業務を組み込む
  8. 昇進・昇格の条件に海外勤務やグローバル業務経験を設定

外国人人材の採用に向けた取り組み

平等な処遇、グローバル共通化などに取り組み、外国人人材の育成と活用が進んでいます。

  1. 国籍に関係なく、昇進・昇格の機会を平等に提供
  2. 企業理念・価値観や行動指針、経営方針の共有・浸透
  3. キャリア形成面談の定期的実施等、きめ細かい人事面の対応
  4. 日本語研修の機会を提供
  5. 職場環境の整備、外国人材や家族を対象とした生活面での支援
  6. 日本文化や日本社会に関する研修機会の提供
  7. 人事・評価制度のグローバル共通化への取り組み
  8. 社会言語(会議、イントラネット、社内文書等)の外国語対応
  9. 外国人社員の配属先上司を対象としたマネジメント研修

【参考】
・経団連意見書「グローバル化時代の人材育成について」
・日本経済団体連合会「グローバル人材の育成・活用に向けて求められる取り組みに関するアンケート結果」

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世界的な競争、グローバル化が進み、不確実な市場やビジネス環境で成果を出せるグローバル人材が求められている