貸金業務取扱主任者は需要が多く、転職やキャリアアップに活用する人が増えています。
注目が高まる貸金業務取扱主任者の資格についてご紹介します。
貸金業務取扱主任者の資格
貸金業務取扱主任者は、貸金業者が営業所ごとに一定数を配置することが義務づけられている資格です。
2009年から国家資格となり、貸金業務取扱主任者試験がスタートしました。
貸金業とは
貸金業とは、消費者や事業者向けに金銭の貸付けまたは金銭の貸借の媒介を行う事業のことです。消費者金融などノンバンクの金融機関が該当します。
ノンバンクに関連する法律として、「貸金業法」「利息制限法」「出資法」があります。多重債務者などの問題を解決して、安心して利用できる貸金市場の実現を目指しています。
貸金業法の規制
- 総量規制
年収などを基準として、その3分の1を超える貸付けの原則禁止 - 上限金利
上限金利を借入金額に応じて15%~20%に制限 - 貸金業務主任者
法令遵守の助言・指導を行う国家資格者の設置
貸金業務取扱主任者制度
貸金業法の改正で、貸金業務取扱主任者制度が創設されました。
消費者金融などの金融機関は営業所や事務所ごとに貸金業務取扱主任者を従業員50人につき1人以上置かなければなりません。
貸金業務取扱主任者は、
「当該営業所又は事務所において、貸金業の業務に従事する使用人その他の従業者に、貸金業に関する法令の規定を遵守して、貸金業の業務を適正に実施するために必要なものを行わせるための助言又は指導を行う」
と貸金業法において役割が定義されています。
貸金業者は、貸金業務取扱主任者の助言や指導を適切に遂行できるように配慮しなければなりません。
ノンバンクの業態
- 消費者金融・事業者金融
- クレジットカード会社
- 信販会社
- リース会社
- 質屋 など
貸金業務取扱主任者の資格試験
貸金業務取扱主任者になるには、貸金業務取扱主任者の資格試験に合格して、主任者登録を受ける必要があります。
受験資格
制限なし
試験日
年1回(11月)
試験地
札幌、仙台、千葉、東京、埼玉、神奈川、高崎、名古屋、金沢、大阪、京都、神戸、広島、高松、福岡、熊本、沖縄
試験内容
筆記試験(マークシート方式)
- 法令および関係法令に関すること
- 貸付けおよび貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること
・民事法
・民事手続法
・倒産法
・刑事法 - 資金需要者等の保護に関すること
- 財務および会計に関すること
・家計診断
・財務会計
合格率
30%程度
問い合わせ
日本貸金業協会 資格試験センター
貸金業務取扱主任者の試験結果
令和5年度の試験は11月に実施され、翌年1月に合格発表がありました。
結果は以下のとおりとなっています。
実施結果
- 受験申込者数:10,963人
- 受験者数:9,448人
- 合格者数:2,928人
- 合格率:31.0%
合格基準点
50問中31問正解
科目別出題数および平均正答率
科目名 | 出題数 | 平均正答率 (%) |
法及び関係法令に関すること | 27 | 54.2 |
貸付け及び貸付けに付随する取引に関する 法令及び実務に関すること | 15 | 43.5 |
貸金需要者等の保護に関すること | 5 | 51.2 |
財務及び会計に関すること | 3 | 57.8 |
全試験科目計 | 50 | 50.9 |
合格者の年齢別構成
20歳代 以下 | 30歳代 | 40歳代 | 50歳代 | 60歳代 以上 | |
構成比 | 30.1% | 28.6% | 21.3% | 17.3% | 2.6% |
合格率 | 35.0% | 32.6% | 27.6% | 26.8% | 38.5% |
(日本貸金業協会「貸金業務取扱主任者専用サイト」より)
登録講習
資格試験に合格した人が主任者登録を受けるためには、登録講習機関が行う講習を受講しなければなりません。
主任者登録の有効期間は3年間で、登録の更新をしなければ、期間の経過により抹消されます。
試験に合格した日から1年以内に主任者登録を受けようとする場合は、登録講習の受講は免除されます。
受講方法
- eラーニング講習
- 会場講習
資格取得の勉強法
貸金業務取扱主任者の資格を取得するためには、独学や資格・通信講座で勉強する方法があります。
基礎知識の有無やかけられる時間、費用など自分の状況に応じて最適な方法を選ぶことが大切です。
テキストや問題集が市販されていますので、独学でも合格を目指すことができます。
日本貸金業協会の公式サイトには、過去の試験問題が公開されています。
独学に不安があったり、働きながら効率的に学習を進めたい人は通信講座を上手に活用することをおすすめします。
学習のポイント
試験に合格するには、出題傾向に合った勉強をすることが大切です。
満点を目指す必要はなく、過去問題を繰り返すなど出題されやすい内容を理解することがポイントとなります。
貸金業務取扱主任者試験のおすすめテキスト
貸金業務取扱主任者試験の過去問題集
社会人におすすめの通信講座
スタディングは、短期合格者の勉強法を研究して開発されたオンライン資格講座です。
貸金業務取扱主任者講座では、効率的かつ短期間に基礎から合格レベルまで学ぶことができるカリキュラムを提供しています。
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- 圧倒的な低価格
貸金業務取扱主任者の資格を活かせるノンバンク
消費者金融
消費者金融は、主に個人向けに金銭の貸付けまたは貸付けの媒介を行っています。
担保や保証人がなくても無担保で貸付けを行い、銀行に比べて金利が高く設定されています。
消費者金融の業態
- 無担保貸付
- 有担保貸付
- 住宅向け貸付
クレジットカード会社
クレジットカード会社は、会員に対して加盟店からの物品などを購入することについてあっせんを行い、加盟店に対しては会員に代わって立替払いを行います。
カードローンやキャッシングによる貸付けも行います。
クレジットカードの系列
- 国内銀行系
- 流通系
- 独立系
- 国際カード
信販会社
信販会社は、商品やサービス代金の分割払いサービスを提供します。
自動車購入のオートローンのほか、住宅ローンや教育ローンなど目的別ローンがあります。
信販会社の主な業務
- ローン業務
- クレジット業務
- 信用保証業務
リース会社
リース会社は、企業向けに機械や設備などのリースを行います。
リース契約には、顧客が購入したい設備をリーズ会社が代わりに購入して、分割払いで貸与するファイナンスリース契約があります。
設備購入資金の立替を行っているので、リース会社もノンバンクのひとつとされています。
リース会社の系列
- 独立系
- 銀行系
- メーカー系
- 商社系
まとめ
貸金業務取扱主任者は貸金業法を遵守するために、職場で助言や指導を行うことが主な業務です。
貸金市場の安全と信頼を担う資格として、期待されています。
【参考】
・日本貸金業協会公式サイト
・金融庁ウェブサイト
・総務省「統計基準等」