リースは企業に幅広く利用されていますが、税務・会計・法律に関係するビジネスであり、専門的でわかりにくい面もあります。
リース会社の転職・就職で押さえておきたい業界の動向、売上高ランキング、採用市場をご紹介します。
リース業界の最新動向(2022年)
リース業界
企業が必要な設備をリース会社が購入し、分割払いで顧客企業に貸し出します。
初期投資を抑えることができ、多くの企業がリースを利用しています。
リースは事務機器や情報通信機器からソフトウエア、輸送用機器、産業機器、不動産などまで幅広く対象となっています。
コロナ禍で航空機リースの落ち込みは大きく、回復には時間がかかりそうです。
国内のリース市場は頭打ちとなるなか、物流不動産や再生可能エネルギーなど成長領域を求め、統合や提携の動きが進んでいます。
リースが利用される業界(例)
リース会社の系列
- 独立系
オリックス、九州リースサービス、中道リース - 銀行・商社系
三菱HCキャピタル、三井住友フィナンシャル&リース、芙蓉総合リース、みずほリース、東京センチュリー、みずほ丸紅リース、東銀リース - メーカー系
リコーリース、NECキャピタルソリューション - その他
NTT・TCリース、JA三井リース など
リース会社
リースの国内市場は横ばいが続き、各社は成長分野の開拓や事業の多角化を進めています。
新型コロナウイルスの影響により減少した企業の設備投資は徐々に回復すると予想されています。
成長分野である再生可能エネルギー事業の拡大が進むとみられます。
オリックス
業界首位。
関西国際、大阪国際に続く神戸空港の運営、太陽光発電、生命保険など事業の多角化を進めています。
- 従業員数:33,153人
- 平均年齢:43歳
- 平均年収:870万円
三菱HCキャピタル(旧三菱UFJリース)
日立キャピタルと経営統合。業界2位。
海外拠点の体制整備を強化しています。
- 従業員数:8,848人
- 平均年齢:41歳
三井住友フィナンシャル&リース
航空機リース大手。
新エネルギーの拡大など収益源の多様化に取り組んでいます。
- 従業員数:3,631人
東京センチュリー
航空機リース大手。
提携を通じ事業を拡大しています。
- 従業員数:7,438人
- 平均年齢:43歳
芙蓉総合リース
銀行系。
不動産・再生可能エネルギーなどの分野を強化しています。
- 従業員数:2,637人
- 平均年齢:41歳
みずほリース
銀行系。
医療・環境分野で成長しています。
- 従業員数:1,795人
- 平均年齢:44歳
JA三井リース
農機など農業分野に強みがあります。
NTT・TCリース
NTTファイナンスのリース事業の一部を分社化。
NTTと東京センチュリーの資本業務提携の一環として設立されました。
- 従業員数:1,100人
リコーリース
メーカー系。
医療・介護分野に強みがあります。
- 従業員数:1,156人
- 平均年齢:41歳
NECキャピタルソリューション
メーカー系。
情報機器に強みがあります。
- 従業員数:811人
- 平均年齢:42歳
九州リースサービス
独立系。
地域密着型の営業を展開しています。
- 従業員数:152人
- 平均年齢:41歳
中道リース
独立系。
北海道を地盤として事業を展開しています。
- 従業員数:160人
- 平均年齢:40歳
リース業界の売上高ランキング
リース業
順位 | 企業名 | 収入高(百万円) |
1 | オリックス | 2,292,708 |
2 | 三井住友ファイナンス&リース | 1,438,293 |
3 | 東京センチュリー | 1,200,184 |
4 | 三菱HCキャピタル | 894,342 |
5 | 芙蓉総合リース | 740,263 |
6 | みずほリース | 497,852 |
7 | JA三井リース | 434,971 |
8 | リコーリース | 326,266 |
9 | JECC | 306,085 |
10 | 三井住友トラスト・パナソニックファイナンス | 294,950 |
11 | NTTファイナンス | 250,619 |
12 | NECキャピタルソリューション | 221,255 |
13 | 富士通リース | 129,732 |
14 | シャープファイナンス | 127,848 |
15 | みずほ東芝リース | 111,372 |
16 | 昭和リース | 76,151 |
17 | 三菱電機クレジット | 69,462 |
18 | 東銀リース | 69,268 |
19 | みずほ丸紅リース | 49,719 |
20 | ニッセイ・リース | 41,247 |
(帝国データバンク『業界動向2022-Ⅰ』より)
リース業界の採用市場
リース会社の主な組織
リース会社は、金の融資ではなく、事業に必要な物品を賃貸するサービスを提供しています。
営業部門
営業はユーザーとの接点になる重要な部門です。
大手では専門性を高めるために専門営業部門とエリア営業部門に分けて、専門分野や地域に密接したきめ細かい営業を行っています。
財務部門
リース会社ではリース物件を購入するために資金を調達しなければなりません。
この資金調達を担当するのが財務部門です。
社債やコマーシャルペーパーの発行、リース債権流動化など資金調達の多様化が進んでいます。
財務担当者には高度な専門知識が求められます。
審査部門
審査部門では営業が進めているリース取引の契約内容について、適切かどうかを判断します。
専門的な観点でユーザーの審査を行うほか、支払い遅延などが発生した場合、債権回収に関する対応を行うこともあります。
法務部門
法務部門ではリース契約書をはじめとした契約書の作成や法的な問題への対応を行います。
トラブルにならないように、あるいはトラブルに発展した場合の訴訟対応などで、助言や指導を行います。
資産管理部門
資産管理部門ではリース満了処理を行っています。
資産管理担当者は、関係法令の動向を把握し、地域ごとの処分ルールを適切に把握する必要があります。
リース業界の求人・転職
求人数の大きな変動はなく、求人ニーズは続く見込みです。
成長分野や海外事業などの強化領域を中心に人材が求められる状況になりそうです。
物品賃貸業の給与
区分 | 20~24歳 | 25~29歳 | 42.0歳(平均) |
所定内労働時間 | 166時間 | 166時間 | 166時間 |
残業 | 11時間 | 15時間 | 12時間 |
月収 | 230,100円 | 264,100円 | 345,000円 |
年間賞与等 | 360,600円 | 760,300円 | 1,070,300円 |
年収 | 3,121,800円 | 3,929,500円 | 5,210,300円 |
(厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」より)
20代の転職活動
転職エージェントの転職支援サービスを利用すると、業界や職種に精通したキャリアコンサルタントが転職をサポートしてくれます。
非公開・独自案件の求人紹介だけでなく、専任のキャリアコンサルタントによる企業ごとの書類作成や面接対策などのサポートで、選考通過率のアップが期待できます。
キャリアごとの転職支援
転職・就職のためのスキルアップ
リース業界では、法律や会計、不動産などの知識が役立ちます。
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まとめ
企業の海外展開に合わせて、リース会社でも海外設備投資の支援を積極的に展開しています。
環境や情報分野の業務提携、M&Aが加速し、新たなリース市場の開拓や新規事業への取り組みも活発です。
