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化粧品の業界研究【概要・企業・動向】-転職・就職に

化粧品業界には大手から中小、ベンチャーなどの工場を持たない企業までたくさんあります。

業界特有の販売システムがあり、多くは組織・グループを中心として動いています。

転職・就職で押さえておきたい化粧品業界の動向、売上高ランキング、採用市場についてご紹介します。

化粧品業界の最新動向(2023年)

化粧品業界とは

化粧品の製造業には、主に口紅、ファンデーションなどのメイクアップ製品、化粧水、乳液、洗顔クリームなどのスキンケア製品、シャンプー、整髪剤などのヘアケア製品等を製造する事業が分類されます。

国内の化粧品は、化粧品店や百貨店を中心として販売してきましたが、ドラッグストアやコンビニエンスストア、ネット通販などへと大きく変化しています。

インバウンド(訪日外国人客)の需要が好調で、帰国後も電子商取引(EC)などで化粧品を購入する動きが定着しました。

化粧品業界は好調を続けてきましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、訪日外国人客は激減し、外出自粛やマスク着用も痛手となりました。

口紅などの商品は苦戦していましたが、需要が戻り始め、回復基調となっています。

化粧品の分類

  • スキンケア
    洗顔・クレンジング、化粧水、乳液・クリーム、美容液など
  • メイクアップ
    ファンデーション、口紅、アイメイクなど
  • ヘアケア
    シャンプー、リンス・ヘアトリートメント、染毛料など
  • フレグランス
    香水など
  • その他
    日焼け止めなど

化粧品の流通

  • 制度品流通
    資生堂、花王・カネボウ、コーセー・アルビオン
  • 百貨店流通
    百貨店専門としてロレアル、エスティローダー、シャネルなど
  • 通信販売流通
    ファンケル、DHC、オルビス
  • 訪問販売流通
    ポーラ、ノエビア、メナード
  • 一般品流通
    ロート製薬が急成長

化粧品メーカーの海外大手

  • ロレアルグループ(仏)
    「ロレアル」「メイベリン」」「ランコム」「イヴ・サンローラン」
  • プロクター・アンド・ギャンプル(P&G、米)
    「SK-Ⅱ」「イリューム」
  • ユニリーバ(英・蘭)
    「ラックス」「ドーブ」
  • エスティローダーグループ(米)
    「エスティローダー」「クリニーク」「MAC」

制度品システム

制度品流通は、メーカーが販売店契約を結んだ小売店(チェーン店)だけに商品を卸すシステムです。

化粧品会社は、流通別にブランドを開発しています。

国内化粧品市場は資生堂と花王グループでシェアの4分の1を占めています。

資生堂

化粧品最大手。

インバウンド需要は激減しましたが、スキンケア製品の販売が好調です。

  • 設立:1927年
  • 本店所在地:東京都
  • 従業員数:35,318人
  • 平均年齢:39歳

花王

日用品最大手。

子会社のカネボウ化粧品と販社を一体化し、幅広く化粧品ブランドを展開しています。

  • 設立:1940年5月
  • 本店所在地:東京都
  • 従業員数:33,507人
  • 平均年齢:41歳

コーセー

国内化粧品大手。

訪日外国人客の激減で販売は悪化しましたが、回復傾向です。

高価格帯から低価格帯までに強みがあります。

  • 創業:1946年
  • 本社:東京都
  • 従業員数:14,015人

アルビオン

コーセーグループの専門店ブランド。

高級スキンケアに強みがあり、訪日外国人客にも人気があります。

  • 設立:1956年3月2日
  • 本店所在地:東京都
  • 従業員数:3,623人

通信販売

通信販売流通を主体としてきた化粧品会社は、店頭販売にも進出し、通販化粧品から総合化粧品会社へと成長しています。

ファンケル

無添加化粧品の代表格。

サプリメントなど健康食品も手掛けています。

  • 設立:1981年8月18日
  • 本店所在地:神奈川県
  • 従業員数:1,270人
  • 平均年齢:41歳

ディーエイチシー(DHC)

通販化粧品・健康食品の大手。

コンビニなどでの販売も展開し、販路を拡大しています。

オリックスが買収を発表しました。

  • 設立:1975年
  • 本店所在地:神奈川県
  • 従業員数:2,188人

ドクターシーラボ

通販主体。

メディカルコスメ「ドクターシーラボ」で成長しました。

ジョンソン・エンド・ジョンソンが買収し、上場廃止。

訪問販売

訪問販売は、化粧品販売の主要な流通でしたが、通信販売の拡大により苦戦を強いられています。

訪問販売を発祥とする化粧品会社も店舗などでの販売が増えています。

ポーラ・オルビスホールディングス

ポーラは訪問販売発祥ですが、エステ併設型の販売が主力になっています。

傘下のオルビスは通販化粧品大手。

  • 設立:2006年9月29日
  • 本店所在地:東京都
  • 従業員数:4,261人
  • 平均年齢:45歳

ノエビアホールディングス

基礎化粧品の訪問販売。

セルフ販売の「なめらか本舗」や「エクセル」も人気です。

  • 設立:2011年3月22日
  • 本店所在地:兵庫県
  • 従業員数:1,453人
  • 平均年齢:48歳

日本メナード化粧品

化粧品、健康食品、インナーウエアなどの研究開発・製造販売。

  • 設立:1959年11月17日
  • 本店所在地:愛知県
  • 従業員数:950人
  • 平均年齢:43歳

一般品販売

一般品流通では、メーカーが問屋に商品を卸、問屋が小売店と取引をします。

制度品システムと異なり、メーカーと小売店との間に取引契約はありません。

小売店は、ドラッグストアやコンビニエンスストア、スーパーマーケット、ホームセンター、ディスカウントストアなどさまざまです。

買いたい商品は自分で決めるというセルフセレクション志向の高まりから、セルフ対応商品が開発され、セルフ化粧品の市場は拡大しています。

ドラッグストアコスメ

セルフ化粧品の成長の背景には、ドラッグストアの台頭があり、ドラッグストアでも化粧品は欠かせない商材になっています。

バラエティショップ

セルフ化粧品は、ターゲットを絞った品揃えで店舗を展開するバラエティショップにも売り場を広げています。

ソニーグループの「プラザ」やそごう・西武グループの「ロフト」などが若者に人気です。

ロート製薬

大衆薬メーカー。

「オバジ」「肌ラボ」など低価格帯のスキンケア商品に強みがあります。

  • 設立:1949年9月15日
  • 本店所在地:大阪府
  • 従業員数:6,866人
  • 平均年齢:41歳

男性化粧品

男性化粧品市場は、メンズスキンケア製品が伸びています。

ブランドでは、マンダムの「ギャッツビー」と資生堂の「ウーノ」が2強です。

マンダム

男性向け化粧品首位。

女性用でも年々売り上げを伸ばしています。

  • 設立:1927年12月23日
  • 本店所在地:大阪府
  • 従業員数:2,763人
  • 平均年齢:42歳

異業種参入

化学会社や製薬会社など化粧品異業種からの参入、韓国コスメなど外資系企業の上陸などで、国内市場は変化しています。

富士フイルムホールディングス

フィルムのコラーゲン技術を化粧品に応用。

「アスタリフト」はスキンケア化粧品分野で業界トップクラスに成長しました。

  • 設立:1934年1月20日
  • 本店所在地:東京都
  • 従業員数:75,474人
  • 平均年齢:46歳

化粧品業界の売上高ランキング

化粧品製造

順位企業名売上高
(百万円)
1資生堂1,035,165
2コーセー224,983
3ロート製薬199,646
4ポーラ・オルビスホールディングス178,642
5ファンケル103,992
6ディーエイチシー90,118
7カネボウ化粧品67,070
8日本ロレアル63,000
9アルビオン41,351
参考花王1,418,768

化粧品・トイレタリー卸

順位企業名売上高
(百万円)
1PALTAC1,045,735
2あらた857,087
3井田両国堂150,391
4中央物産128,271
5広島共和物産77,992
6東京堂66,371
7東流社62,456
8ハリマ共和物産57,781
9ネイチャーラボ50,000
10大山28,222

(帝国データバンク『業界動向2023-Ⅰ』より)

化粧品業界の採用市場

化粧品会社の業務・組織

化粧品会社の業務・組織は、商品開発・製造、マーケティング、営業のグループに大きく分かれます。

化粧品ブランドは流通、業態別に開発され、それぞれの市場ごとに競争が繰り広げられています。

化粧品会社では、担当ごとに専門人材を育成しています。

商品開発・製造

商品やブランドのコンセプトを決定し、市場ニーズに応える製品を生み出します。

  • 商品開発・企画
  • 研究開発
  • 生産・製造

マーケティング

販売に関する全体の戦略を立案し、商品情報を発信します。

  • マーケティング
  • 宣伝・販促
  • 広報・PR

営業

商品知識とコミュニケーション能力を駆使し、自社製品を効率よく販売します。

  • 営業社員
  • 美容部員
  • 教育担当

化粧品業界の職種

制度品システムが取られている化粧品会社の職種には、業界特有の重要な役割があります。

美容部員の役割

美容部員とは、百貨店などの店舗でカウンセリング販売を行う化粧品専門の販売員のことです。

美容部員は化粧品メーカーの社員で、メーカーが化粧品販売のプロとして教育訓練を行います。

美容部員は「ビューティーアドバイザー」「ビューティーカウンセラー」などとも呼ばれます。

美容部員の役割はメーカー商品の拡販です。

美容部員制度がないメーカーでは販売できないような高額の化粧品についても美容部員の販売力で売ることができます。

営業社員の役割

チェーン店の様々な支援を行うのが営業社員です。

営業社員はルートセールスとして20~30前後のチェーン店を地域別や流通別、企業別に担当します。

美容部員は営業のグループに所属します。

大手化粧品会社では、新卒で入社すると、まずは営業社員として全員が現場を経験しています。

化粧品業界の求人・転職

化粧品会社では、強化する部門での人材確保に力を入れています。

ネット通販の勢いは増していますが、対面販売を強化する動きもあります。

美容部員のサービスは再評価され、職場環境の見直しが進んでいます。

化粧品製造(化学工業)の給与

区分20~24歳25~29歳43.0歳
(平均)
所定内労働時間164時間163時間163時間
残業14時間15時間12時間
月収238,900円290,300円385,000円
年間賞与等674,500円979,500円1,532,000円
年収3,541,300円4,463,100円6,152,000円

(厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」より)

化粧品業界の転職活動

エージェントサービスを利用すると、業界や職種に精通したキャリアアドバイザーのサポートを受けることができます。

非公開・独自案件の求人紹介だけでなく、書類作成や面接対策のアドバイスなどで選考通過率のアップが期待できます。

キャリアごとの転職・就職サポート情報はこちら

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まとめ

化粧品市場は、新型コロナウイルスの影響による訪日外国人客の激減や外出自粛が大きな打撃となりましたが、制限緩和で回復傾向です。

ECサイトの重要性が増しています。

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【参考】
・総務省「統計基準等」
・日本化粧品工業連合会(JCIA)
・日本経済新聞出版『日経業界地図2023年版』
・東洋経済新報社『四季報業界地図2023年版』

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