ウェディング業界では、挙式や披露宴を行わないなど簡素化が進むなか、少人数婚など多様なニーズへの対応が課題になっています。
また新型コロナウイルスの影響で、時代に合った結婚式の企画力や提案力が求められるようになりました。
転職・就職で押さえておきたいウェディング業界の動向、収入高ランキング、採用市場についてご紹介します。
ウェディング業界の最新動向(2023年)
ウェディング業界
ウェディング業界は、挙式、披露宴など婚礼のための施設・サービスを提供する結婚式場と、婚礼のための施設・サービスの提供および葬儀の業務を一体として行う冠婚葬祭互助会、婚礼に関するサービスなど、さまざまな企業で成り立っています。
婚姻件数は減少し、挙式や披露宴をしない「なし婚」が増加。
市場は縮小傾向ですが、参列者1人あたりの費用は上昇しています。
結婚に関連する産業は大きな市場を持っています。
海外リゾート挙式の展開やフォトウェディングなど、顧客ニーズに対応した多様化が進んでいます。
新型コロナウイルスの影響で、結婚式需要は大幅に減少しましたが、国内を中心に回復傾向にあります。
オンライン結婚式など新たなサービスも登場しています。
ブライダル事業
- 結婚式場
- ホテル
- 冠婚葬祭互助会
- 貸衣装業
- 写真・映像サービス
- 結婚式場紹介業 など
結婚式場
1990年代以降のウェディング業界を牽引してきたのは、プロデュース会社といえます。
ハウスウェディング・ブームにより躍進しました。
国内結婚式の件数増加が望めないなか、ホテル事業の強化や海外進出で成長を目指しています。
テイクアンドギヴ・ニーズ
業界最大手。
ホテル事業にも力を入れています。
- 設立:1998年10月19日
- 本社:東京都
- 従業員数:1,605人
- 平均年齢:33歳
ツカダ・グローバルホールディングス
傘下にベストブライダルなど。
ホテルに進出し、海外展開も進めています。
- 設立:1995年10月6日
- 本社:東京都
- 従業員数:2,333人
- 平均年齢:43歳
ワタベウェディング
傘下に目黒雅叙園やメルパルクなど。
繊維や医療事業を展開する興和の完全子会社となりました。
- 設立:1964年10月3日
- 本社:京都府
- 従業員数:2,111人
エスクリ
大都市の駅の近くを中心に結婚式場を運営しています。
- 設立:2003年6月
- 本社:東京都
- 従業員数:904人
- 平均年齢:33歳
アイ・ケイ・ケイホールディングス
婚礼事業のほかに介護事業、食品事業、金融事業を展開しています。
- 設立:1995年11月1日
- 本社:福岡県
- 従業員数:939人
アニヴェルセル
AOKIホールディングス傘下。
表参道や横浜など全国12ヵ所に結婚式場を展開しています。
- 設立:1986年6月19日
- 本社:東京都
- 従業員数:393人
専門式場・レストラン
専門式場には古い歴史がありますが、ハウスウェディングの手法を取り入れるなど、イメージの転換を図るところが増えています。
藤田観光
ホテル椿山荘東京など。
全国でホテル・レストラン・婚礼施設を運営しています。
- 設立:1955年11月7日
- 本社:東京都
- 従業員数:1,114人
- 平均年齢:41歳
八芳園
東京白金台の総合結婚式場。
結婚式場・宴集会場・各種パーティー会場・レストランの経営を行っています。
- 設立:1952年9月29日
- 所在地:東京都
- 従業員数:360人
ホテル
結婚式会場として、ホテルには根強い人気があります。
施設や設備が整っているなどの優位性があります。
日系ホテル
- プリンスホテル
- ホテルオークラ
- ニュー・オータニ
- 帝国ホテル
- ロイヤルホテル
外資系ホテルグループ
- マリオット・インターナショナル
- ハイアットホテルズ
- インターコンチネンタルホテルズグループ
- マンダリンオリエンタルホテルグループ
- フォーシーズンズホテルズアンドリゾーツ
冠婚葬祭互助会
結婚式場業は縮小、葬儀業は簡素化の傾向が続き、競争激化が予想されています。
互助会系
- ベルコ
- 日本セレモニー
- セレマ
ウェディング関連事業
結婚関連のサービスには幅広い業界が携わっています。
婚礼衣装会社
婚礼衣装はレンタルが主流です。
オリジナルの商品やサービスを提供する会社が好調です。
- TAKAMI HOLDINGS
- クラウディアホールディングス
- 一蔵
フラワー会社
結婚式会場を飾ったり、新婦のブーケやヘアアクセサリーとしても、結婚式に花は欠かせません。
- 日比谷花壇
- ビューティ花壇
- ユー花園
写真・映像サービス
写真や映像によるサービスの人気、重要性が高まっています。
- スタジオアリス
結婚式場紹介
- マイナビ
- ウエディングパーク
結婚相談所
- IBJ
- オーネット
- タメニ―(旧パートナーエージェント)
結婚情報サービス
- リクルート(ゼクシィ)
- エニマリ(みんなのウェディング)
- リンクバル(マッチングアプリ)
ウェディング業界の収入高ランキング
結婚式場業
順位 | 企業名 | 収入高 (百万円) |
1 | テイクアンドギヴ・ニーズ | 39,482 |
2 | ツカダ・グローバルホールディングス | 33,429 |
3 | エスクリ | 22,242 |
4 | ベストブライダル | 17,466 |
5 | アイ・ケイ・ケイホールディングス | 11,530 |
参考 | ワタベウェディング(20/12) | 19,678 |
兼業および冠婚葬祭互助会
順位 | 企業名 | 収入高 (百万円) |
1 | ベルコ | 47,587 |
2 | 日本セレモニー | 35,000 |
3 | セレマ | 28,039 |
4 | アルファクラブ武蔵野 | 17,128 |
5 | メモリード(長崎) | 13,986 |
6 | 雅裳苑 | 13,657 |
7 | レクスト | 11,000 |
8 | ごじょいる | 9,455 |
(帝国データバンク『業界動向2023-Ⅰ』より)
ウェディング業界の採用市場
ウェディング業界の職種
ウェディング業界には特有の職種があり、それぞれの専門性を活かして活躍しています。
ブライダルプランナー
オリジナルな結婚式をプロデュースするのがブライダルプランナー・ウェディングプランナーです。
顧客が行いたい結婚式の希望に沿った演出やプログラムを提案します。
新規顧客の接客から、成約後の結婚式プラン・手配、当日の仕切りなど仕事は多岐にわたります。
総合的な仕事ですので、接客力だけでなく、提案力や企画力、対応力などが求められます。
衣裳スタイリスト
婚礼衣装会社に所属し、新郎新婦に希望に合った衣裳をセレクトして提案するのが仕事です。
衣裳スタイリストには婚礼衣装(洋装・和装)についての知識、小物やアクセサリーのコーディネート、ヘアメイクのアドバイスなどが求められます。
フラワーデザイナー
フラワーデザイナーの主な仕事は、結婚式の装花や花嫁のブーケを制作することです。
フラワーデザイナーのほとんどがフラワー会社のスタッフです。
フラワーデザイナーには、花やフラワーデザインの知識・技術だけでなく、流行を上手に取り入れてアレンジするセンスも求められます。
介添え(アテンダー)
結婚式当日、花嫁に付き添い、お世話をするのが介添え(アテンダー)の仕事です。
衣裳やヘアメイク、立ち居振る舞い、体調にまで気を配ることが求められます。
ブライダルプランナーの資格
ブライダルプランナー・ウエディングプランナーには複数の認定資格があります。
主に海外の団体が認定している国際的な資格と、国内のブライダル関連団体が認定している国内資格に分かれます。
ブライダルプランナー検定
アメリカで最も権威があるABC協会が認定するブライダル資格です。
ABC協会にはウエディングプランナーやフラワー、衣裳、メイク、司会、海外挙式、写真などの関連業者、ホテルなどの施設が加盟しています。
業界の知名度が高く、海外でも通用するブライダルプランナーを目指す人におすすめの資格です。
ウエディングプランナー資格検定
内閣府認可一般財団法人職業技能振興会と一般社団法人IWPA国際ウエディングプランナー協会が、共催で実施するウエディングプランナー資格検定です。
ブライダルでは唯一の内閣府認可団体による資格検定であり、現場の実務を重視し、2級・1級を通じてプロフェッショナルを育成するための内容です。
ブライダルコーディネート技能検定
公益社団法人日本ブライダル文化振興協会が指定機関として実施する国家検定です。
お客様のニーズをくみ取り、お客様に合ったブライダルサービス・商品等を提供するエキスパートの資格です。
ウェディング業界の転職活動
エージェントサービスを利用すると、業界や職種に精通したキャリアアドバイザーのサポートを受けることができます。
ウェディング業界でのキャリアアップ、キャリアチェンジを目指すのであれば、専門のサービスを上手に活用することをおすすめします。
ブライダル人材が活躍できる企業や、異業種からジョインしやすいブライダル企業を紹介してくれます。
エージェントサービスのメリット
- キャリアの可能性を広げるカウンセリング
- 自分だけでは見つけられない求人紹介
- 企業ごとの書類作成・面接対策のサポート など
まとめ
挙式数が減少するなか、結婚式にオリジナリティを求める傾向が強くなっています。
ウェディング業界では新たなサービスを開発して、魅力を高めていくことが求められています。
コロナ後の結婚式のあり方が考えられるなか、これからは企画力・提案力のある人材がますます求められるようになっていくと考えられます。
【参考】
・総務省「日本標準産業分類」
・公益社団法人日本ブライダル文化振興協会
・日本経済新聞出版『日経業界地図2023年版』
・東洋経済新報社『四季報業界地図2023年版』