転職・就職に役立つ化学業界研究


化学製品はほとんどすべての産業で使われていますが、業界の定義や全体像がわかりにくいといわれます。

化学業界には、就職人気が高い洗剤や化粧品、医薬品などの消費財化学メーカーだけでなく、幅広く多彩な製品を提供する多くの企業があります。

転職・就職で押さえておきたい化学業界の動向、売上高ランキング、採用市場をご紹介します。

化学業界の最新動向(2023年)

化学工業とは

化学工業は、日本標準産業分類では「化学肥料」「無機化学工業製品」「有機化学工業製品」「化学繊維」「油脂加工製品・石けん・合成洗剤・界面活性剤・塗料」「医薬品」「化粧品・歯磨・その他の化粧用調製品」「その他の化学工業」に分類されています。

製品は基礎化学品、中間化学品、最終化学品、家庭などで使われる消費財に大きく分けられます。

化学メーカーには素材メーカーから最終製品メーカーまであり、多種多様の企業が存在します。

業種や製品の種類が多い化学業界は規模も大きく、収益性も高くなっています。

化学工業の原料から製品(例)

  • 原料
    石油、LPG、天然ガス、動植物油脂、空気・水、食塩、リン鉱石、糖蜜
  • 基礎化学品
    エチレン、ベンゼン、硫酸、苛性ソーダ、アンモニア、塩素、酸素・窒素、リン酸
  • 中間化学品
    有機化学品、合成樹脂、合成ゴム、合成繊維、界面活性剤、合成染料、医薬原体、溶剤、無機化学品
  • 最終化学品
    樹脂ゴム成形品、化学肥料・農薬、印刷インキ、塗料・接着剤、タイヤ、医薬用医薬品、食品添加物
  • 消費財
    一般用医薬品、家庭用洗剤、家庭用殺虫剤、化粧品

総合化学メーカー

総合化学メーカーはエチレンセンターを運営し、化学品の基礎原料となるエチレンを生産しています。

総合化学以外にも多彩にな収益源があり、付加価値の高い高機能性素材・材料分野を拡大しています。

三菱ケミカルホールディングス

三菱ケミカルは三菱グループの三菱化学・三菱樹脂・三菱レイヨンの3社が合併して、2017年に設立された国内最大の総合化学メーカーです。

高機能材強化へ組織再編を進めています。

  • 従業員数:69,784人
  • 平均年齢:46歳

住友化学

住友化学は住友グループの大手総合化学メーカーです。

グローバルカンパニーとして海外拠点の充実に注力してきました。

石油化学のグローバルな事業展開と強化を軸に、ライフサイエンス、情報電子分野に資源を投入し、成長を加速させています。

  • 従業員数:34,703人
  • 平均年齢:41歳

三井化学

三井化学は三井グループの総合化学メーカーです。

石油化学の構造改革を進め、自動車用樹脂、メガネレンズ材料、不織布など高機能材料を拡大しています。

  • 従業員数:18,780人
  • 平均年齢:40歳

旭化成

旭化成は事業の多角化を行ってきた総合化学メーカーです。

化学、繊維住宅、建材、エレクトロニクス、医薬品、医療等、事業分野を拡大しています。

住宅、医療分野で高収益を上げています。

  • 従業員数:46,751人
  • 平均年齢:42歳

東ソー

東ソーは石油化学と機能品を事業の柱とする総合化学メーカーです。

付加価値の高い新分野・新製品の開拓にも力を入れ、複合的に発展することを目指しています。

  • 従業員数:13,858人
  • 平均年齢:38歳

昭和電工

昭和電工は総合化学メーカーとして成長してきましたが、総合化学から個性派化学会社への転換を打ち出し、無機化学系製品を中心とした事業へシフトしています。

  • 従業員数:26,054人
  • 平均年齢:40歳

機能化学メーカー

機能化学は、化学産業の成長分野となっています。

電子情報材料など世界的な需要拡大で、機能化学メーカー各社は中長期的な成長が続く見込みです。

信越化学工業

信越化学工業は半導体シリコン、塩ビ樹脂で世界最大のメーカーです。

世界各地に工場を持ち、先進的なユーザーと取り引きをすることで、世界トップメーカーとしての優位性を保っています。

  • 従業員数:24,954人
  • 平均年齢:42歳

昭和電工(旧日立化成)

旧日立化成は日立製作所の化学部門が独立した化学メーカーです。

昭和電工が買収し、社名変更しました。

半導体関連や機能性材料関連の製品に強みがあり、種類が多いのが特徴です。

海外市場の開拓にも力を入れています。

  • 従業員数:26,054人
  • 平均年齢:40歳

カネカ

カネカは前身の鐘淵紡績の非繊維事業が独立した化学メーカーです。

化成品、機能性樹脂、発泡樹脂、食品、ライフサイエンス、エレクトロニクス、合成繊維、医療機器事業を展開しています。

  • 従業員数:11,335人
  • 平均年齢:41歳

UBE(旧宇部興産)

宇部興産はナイロン原料の大手です。

アンモニア、セメントなども扱っています。

  • 従業員数:9,849人
  • 平均年齢:42歳

ダイセル

ダイセルはセルロース大手です。

合成樹脂、エアバック部品なども展開しています。

  • 従業員数:11,104人
  • 平均年齢:41歳

デンカ

デンカは合成ゴム、樹脂の大手です。

最先端素材から食品まで幅広い分野の製品を扱っています。

  • 従業員数:6,358人

トクヤマ

トクヤマは半導体シリコンの大手です。

化成品、セメントを中心に事業展開しています。

  • 従業員数:5,665人
  • 平均年齢:41歳

日本触媒

日本触媒は高吸収性樹脂とその原料であるアクリル酸で世界トップクラスの化学メーカーです。

  • 従業員数:4,526人

日本ゼオン

日本ゼオンは合成ゴムの大手です。

エラストマー素材を主力としています。

  • 従業員数:3,981人
  • 平均年齢:40歳

JSR

JSRは合成ゴムのトップメーカーです。

多角化事業の成長に注力し、先進化学企業としてさらなる成長を目指しています。

  • 従業員数:9,383人
  • 平均年齢:39歳

その他の主要化学メーカー

  • 三菱ガス化学:芳香族化学品など
  • クラレ:高機能樹脂と各種フィルム
  • ADEKA:樹脂添加剤、光熱硬化材料、界面活性剤など
  • 日産化学:液晶配向膜、半導体材料、農薬、医薬品など
  • 三洋化成工業:高吸収性樹脂など

石油化学

さまざまな化学製品の基礎原料となるのがエチレンです。

日本では、原油から抽出したナフサを分解してエチレンを作っています。

国際競争力を強化する目的でコンビナートの統合が進められています。

エチレンプラント

  • ENEOS
  • 出光興産
  • 住友化学
  • 旭化成
  • 三井化学
  • 三菱ケミカル
  • 昭和電工
  • 丸善石油化学
  • 京葉エチレン
  • 東ソー
  • 大阪石油化学
転職・就職に役立つ専門商社・卸の業界研究
専門商社では専門的に商品を取り扱っています。転職・就職で押さえておきたい専門商社の業界動向、売上高ランキング、採用市場をご紹介します。

化学業界の売上高ランキング

石油化学製品製造(エチレンセンター・化学メーカー)

順位企業名売上高
(百万円)
1ENEOS7,741,106
2出光興産6,686,761
3住友化学2,765,321
4旭化成2,461,317
5信越化学工業2,074,428
6三井化学1,612,688
7昭和電工1,419,635
8三菱ケミカル1,365,371
9東ソー918,580
10カネカ691,530
11UBE655,265
12ダイセル467,937
13デンカ384,849
14日本触媒369,293
15日本ゼオン361,730
16昭和電工マテリアルズ316,845
17トクヤマ293,830
18三洋化成工業162,526
19日鉄ケミカル&マテリアル133,845

化学品商社

順位企業名売上高
(百万円)
1長瀬産業780,557
2稲畑産業680,962
3三井物産プラスチック313,182
4豊通ケミプラス243,699
5三井物産ケミカル179,889
6伊藤忠ケミカルフロンティア163,025
7CBC146,780
8明和産業143,025
9オー・ジー116,051
10三菱エンジニアリングプラスチックス107,335
11旭日産業94,957
12昭和興産75,477
13三木産業66,621
14丸善薬品産業65,943
15三菱商事プラスチック63,100
16三洋貿易58,550
17ソーダニッカ55,508
18白石カルシウム55,306
19住友商事ケミカル48,138
20東京材料47,111

(帝国データバンク『業界動向2023-Ⅰ』より)

化学業界の採用市場

化学業界の主な職種

化学業界ではテーマごとの基礎研究を行い、応用・開発研究で製品化に向けた取り組みをします。

営業と技術営業は電子部品メーカーや食品メーカー、医薬品メーカーなどから自社製品の受注を獲得し、商品開発と生産技術が生産方法を検討し、ラインを確保します。

研究

  • 基礎研究
  • 応用研究
  • 開発・工業化研究

開発・設計

  • 商品開発
  • 生産技術

生産・調達

  • 製造・生産
  • 品質管理・品質保証
  • 購買・物流

営業・販促

  • 営業
  • 技術営業・企画
転職・就職に役立つ製造技術者の種類と分類
製造業の技術者は、メーカーを支える重要な職種です。開発から生産までの工程によっても専門性や技術は変わってきます。製造技術者の種類と分類についてご紹介します。
転職・就職に役立つ営業職の種類と分類
ビジネスパーソンの代表的な職種の営業職。同じ営業職であっても、仕事内容は業界や担当で大きく異なります。営業職の種類と分類についてご紹介します。

化学業界の求人・転職

研究、開発、品質管理、品質保証、技術営業、分析・評価など化学系エンジニアの求人は高い水準で推移しています。

研究・開発職は非公開求人として募集されることがほとんどです。

営業職の採用を理系出身者にしている企業もありますので、転職エージェントを活用するなど、情報収集が不可欠です。

化学工業の給与

区分20~24歳25~29歳43.0歳
(平均)
所定内労働時間164時間163時間163時間
残業14時間15時間12時間
月収238,900円290,300円385,000円
年間賞与等674,500円979,500円1,532,000円
年収3,541,300円4,463,100円6,152,000円

(厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」より)

20代の転職活動

転職エージェントなどの転職支援サービスを利用すると、業界や職種に精通したキャリアアドバイザーの転職サポートを無料で受けることができます。

非公開・独自案件の求人紹介だけでなく、企業ごとの書類作成や面接対策のサポートなどで、選考通過率のアップが期待できます。

転職・就職スキルアップ

キャリアごとの転職支援

まとめ

化学業界は業種として大手企業の割合が高く、待遇など制度面が整備されています。

各種研修制度やキャリアアップのための支援にも力を入れています。

化学メーカーの業績ランキング【売上高・純利益・営業利益率】
化学メーカーには多彩な企業が存在します。化学メーカーの売上高・純利益・営業利益率(決算期21/3)ランキング上位20社(売上高は上位50社)をご紹介します。
転職・就職に役立つ業界天気図一覧(2023年)
採用市場と密接に関わる企業の業績。業界の動向は転職活動を進めるうえで、重要な情報のひとつです。2023年度の主要業界天気図を一覧にしました。

 

【参考】
・経済産業省WEBサイト
・石油化学工業協会
・一般社団法人日本化学工業協会
・日本経済新聞出版『日経業界地図2023年版』
・東洋経済新報社『四季報業界地図2023年版』