物流・運送会社の業界研究


物流は日本の経済を支える重要な役割を担っています。

物流業界ではドライバーに限らず人材が不足し、業界全体に取扱量抑制や値上げの動きが広がりました。

変革期にある物流・運送会社の転職・就職で押さえておきたい業界の動向、売上高ランキング、採用市場をご紹介します。

物流業界の最新動向(2022年)

物流とは

物流とは、商品が生産されてから顧客に納品されるまでの一連の流れのことです。

物流企業は「運送業」と「倉庫業」に大別できます。

物流企業の機能は①輸送・配送②倉庫保管③荷役④流通加工⑤梱包・包装⑥情報管理です。

物流業界のドライバー不足は深刻です。

人件費の負担が増加し、収益を圧迫する要因となっています。

再配達削減のための配達時間指定やコンビニ受け取り、受取専用ロッカーの設置、週休3日制の導入など、ドライバーの負担を減らし、働きやすい就業環境の取り組みを積極的に行う企業が増えています。

またデジタル化や人工知能(AI)を活用した最適な配達ルートシステムなどドライバー不足の対応を急いでいます。

運送業

一般的な運送会社は、荷主(会社)向けのBtoBですが、個人向けを中心とするBtoCの宅配便や引越専業会社もあります。

ネット通販の普及で宅配便が急拡大し、サービス維持のために値上げや荷物の総量抑制に取り組んでいます。

3PL(企業物流の一括受託)市場も拡大しています。

運送業の主な種類

  • 路線トラック:全国・広域ネットワークで輸送を行う
  • 共同配送:複数の企業の荷物を集荷し、配送する
  • 宅配便:宅配に特化して、専門サービスを提供する
  • 納品代行:百貨店の納品代行を行う
  • 元請け:特定荷主の物流を包括的に請け負う
  • 総合物流:保管・在庫管理・流通加工などを一括して受託する

物流・宅配

国内の貨物輸送量は減少傾向ですが、宅配市場は成長しています。

コロナ禍の外出自粛で個人向けの荷物は増加する一方、企業間の荷物は減少。

物流大手では、自動ロボットの導入やAIによる業務効率化など人手不足への対応を進めています。

日本通運

国内トップの総合物流会社。

グローバルロジスティクス事業のさらなる拡大で成長を目指しています。

  • 従業員数:72,366人
  • 平均年齢:44歳

ヤマトホールディングス(ヤマト運輸)

宅配便国内首位。

ヤマト運輸はEC向け物流サービスなど配送網の再構築を進めています。

  • 従業員数:223,191人
  • 平均年齢:40歳

SGホールディングス(佐川急便)

宅配便2位。

佐川急便は業務提携先とともにEC向けのサービスを開始しました。

  • 従業員数:52,021人
  • 平均年齢:38歳

日本郵便

宅配便3位。

国内物流事業は、宅配便およびメール便の「ゆうパック」「ゆうメール」です。

  • 従業員数:194,842人

日立物流

3PLで国内首位。

企業物流が主力、海外のM&Aも積極的に行い、事業を拡大しています。

  • 従業員数:22,682人
  • 平均年齢:42歳

山九

中国進出を早い段階から進め、「中国物流の御三家」と呼ばれています。

海外の事業拡大を図っています。

  • 従業員数:31,121人
  • 平均年齢:40歳

鴻池運輸

総合物流大手。

製造業やサービス業の請負事業を拡大しています。

  • 従業員数:15,690人
  • 平均年齢:42歳

センコーグループホールディングス

3PL大手。

流通ロジスティクス事業、住宅物流事業、ケミカル物流事業に強みがあります。

  • 従業員数:19,755人
  • 平均年齢:46歳

SBSホールディングス

3PL大手。

M&Aで事業を拡大しています。

  • 従業員数:9,742人
  • 平均年齢:45歳

路線トラック

トラックドライバーが不足するなか、異業種間などの共同輸送で物流を効率化する取り組みが広がっています。

セイノーホールディングス(西濃運輸)

路線トラック最大手。「カンガルー便」

企業間物流を主としています。

  • 従業員数:29,411人
  • 平均年齢:44歳

福山通運

路線トラック大手。

西日本を基盤としています。

  • 従業員数:21,855人
  • 平均年齢:44歳

名鉄運輸

名鉄グループの路線トラック。

  • 従業員数:7,499人
  • 平均年齢:45歳

国際物流

新型コロナウイルスの影響で企業物流は停滞していましたが、輸出は上向いています。

近鉄エクスプレス

国際航空貨物輸送の大手。

海上貨物にも力を入れています。

  • 従業員数:16,587人
  • 平均年齢:38歳

日本郵船

国際航空貨物輸送・海上貨物フォワーダー。

日本郵船が郵船ロジスティクスを完全子会社化しました。

  • 従業員数:35,057人
  • 平均年齢:40歳

阪急阪神エクスプレス

国際航空貨物輸送。

  • 従業員数:3,246人
  • 平均年齢:42歳

日新

海上・航空・陸上貨物、国際複合の一貫輸送。

  • 従業員数:5,868人
  • 平均年齢:39歳

物流業界の売上高ランキング

トラック輸送

順位企業名収入高(百万円)
1日本通運2,079,195
2ヤマトホールディングス1,695,867
3佐川急便1,030,821
4日立物流652,380
5鴻池運輸292,348
6福山通運285,518
7西濃運輸268,900
8センコー213,780
9トランコム152,285
10日本郵船輸送122,975
11丸全昭和運輸121,136
12丸和運輸機関112,113
13名鉄運輸112,055
14三菱電機ロジスティクス92,795
15アサヒロジ90,514
16日本梱包運輸倉庫87,590
17トナミ運輸87,002
18F-LINE85,457
19三菱ケミカル物流81,029
参考山九(連結)533,870

航空運送(フォーワーダー)

順位企業名収入高(百万円)
1近鉄エクスプレス609,110
2郵船ロジスティクス104,649
3阪急阪神エクスプレス45,753
4西濃シェンカー42,758
5近鉄ロジスティクス・システムズ26,432
6三井倉庫エクスプレス25,232
7住商グローバル・ロジスティクス24,938
8SGHグローバル・ジャパン21,800
9ケイラインロジスティックス19,690
10商船三井ロジスティクス17,843

(帝国データバンク『業界動向2022-Ⅰ』より)

物流会社の組織

運送部門の機能

運送部門の機能は、トラックその他の輸送手段を使って、荷主の荷物を正確に納品先まで届けることです。

①業務企画・推進

  • 運送全般の業務計画・個別の作業計画、収支計画の策定
  • 請負・リースや保険の契約など業務推進管理
  • 配送作業の進捗状況の管理や緊急対応、安全対策

②配車・運行管理

  • ドライバーや車両の調達
  • ドライバーの指導や監督、乗務割り当て、乗務記録の管理、事故防止対策

③輸配送作業

  • 運行計画に基づき、荷物の輸送・配送
  • 荷物の車両積み込み、荷卸し

④輸送梱包作業

  • 輸送単位に梱包・包装
  • 荷物の種類や形状に応じて、積み付け

⑤車両整備

  • 日常点検・整備
  • 定期点検・整備

⑥業務改善

  • 輸配送の効率化やコスト削減
  • 顧客満足度

倉庫部門の機能

倉庫部門の機能は、荷主の荷物を安全かつ正確に保管・管理し、発注に合わせて正確に入出荷することです。

①倉庫運営

  • 作業の進捗管理、トラブル対応
  • 情報システムの運用管理
  • 各種帳票の作成・発行
  • 倉庫施設・設備の点検・保守

②倉庫現品管理

  • 棚卸業務計画の策定・実施
  • 在庫レポート
  • 保管品質の維持

③入荷・保管・出荷

  • 荷物の受領・検品・出庫
  • 倉庫内搬入・搬出の移動・はい付け(一定の方向に規則正しく荷を積み上げること)
  • ロケーション管理、異常管理
  • 配送単位にピッキング、仕分け

④業務改善

  • 業務効率化
  • コスト削減
  • 顧客満足度

営業部門の機能

営業部門の機能は新規業務を獲得することです。

物流の営業職には、物流システムの提案力が求められます。

①営業戦略の立案

  • 営業ターゲットの選定
  • 営業先リスト整備

②営業アプローチ

  • アポイントの獲得(ダイレクトメール、電話、飛び込み訪問など)
  • メールマガジン
  • セミナー・勉強会
  • ホームページの強化

③要望の把握・分析

  • アポイント先に訪問して、現状の概要、課題、要望をヒアリング
  • 現場の調査結果と実績から分析

④立案・提案

  • 企画立案
  • スケジュール、見積り作成

⑤交渉・契約

  • 商談
  • 契約

物流業界の採用市場

物流業界の求人・転職

物流業界の仕事は、配送業務だけではありません。

ビジネス領域の拡大、グローバル化などを背景に、様々な職種で求人数は増加しています。

異業種からの転職も多く、物流管理や営業は未経験・第二新卒の採用にも積極的です。

物流業界では、改善や効率化、仕組み作りなどが重要になってきていますので、提案力やコミュニケーション能力が重視されます。

またグローバル化に伴い、語学力を生かせる仕事も増えています。

物流業界で有利なおすすめ資格
物流業界には、輸送手段によっていくつもの業務があります。職種も幅広く、さまざまな免許や資格があります。持っていることで物流業界で有利になる資格をご紹介します。

貨物運送業の給与

区分20~24歳25~29歳46.7歳(平均)
所定内労働時間171時間173時間174時間
残業26時間27時間28時間
月収264,100円289,600円320,100円
年間賞与等268,500円390,600円427,200円
年収3,437,700円3,865,800円4,268,400円

(厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」より)

20代の転職活動

転職エージェントの転職支援サービスを利用すると、業界や職種に精通したキャリアアドバイザーの転職サポートを無料で受けることができます。

好条件・非公開の求人紹介だけでなく、専任のキャリアアドバイザーによる企業に応じた書類作成や面接対策などのサポートで、選考通過率アップの可能性が高まります。

キャリアごとの就職・転職支援

まとめ

物流業界は、基本的には景気変動に強く、安定性があります。

3PL(サードパーティロジスティクス)の市場が拡大し、将来性も期待できる業界といえます。

3PLとは、運ぶだけでなく、物流改革を提案して、包括的に物流業務を受託する業務ですので、提案力やコンサルティング能力が求められます。

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