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自己都合と会社都合の離職とは?-退職・転職・再就職に

自分から辞めたつもりはないのに、

自己都合退職?」

離職票の記載を見て、納得いかない気持ちになる人がいます。

離職票は失業保険の金額や支給日数を確定させるための書類です。

離職票の離職理由として記載される「自己都合退職」と「会社都合(退職)」の違いは、支給される手当や給付の内容に関わってきます。

不利益を受けないためにも離職票・離職理由について、基本的な知識を押さえておきましょう。

離職理由の基礎知識

退職の種類

退職とは、一般的に従業員が仕事を辞めることです。

法的には、会社からの一方的な労働契約の解約である「解雇」を除く、労働契約の終了を退職と定義しています。

自己都合退職

従業員側から契約を解約して、仕事を辞めるのは「自己都合退職」になります。

「一身上の都合により退職」するような場合には、自己都合退職となり、退職願や離職票の記載が証拠、根拠となります。

合意退職

退職勧奨や希望退職、依願退職などは、従業員と会社の合意による労働契約の終了です。

会社からの退職勧奨であっても、従業員が合意しているため、自己都合退職とされることも多く、トラブルになることがあります。

従業員本人の意思に関わらず、会社の都合により辞めさせられるのは、「会社都合(退職)」になります。

解雇の種類

解雇は、従業員の意思に関わらず、会社から労働契約を終了させることです。

解雇には会社の経営不振などによるものと、従業員側に事由のあるものがあります。

原則として解雇は「会社都合」になります。

解雇をするには正当な理由が必要とされています。

普通解雇

能力や身体など何らかの理由で、業務に堪えない、適さないと判断されたことによる労働契約の打ち切りです。

解雇予告と解雇予告手当の支払いが必要になります。

退職金があれば全額支給されます。

整理解雇

業績悪化に伴うリストラなどによる人員整理です。

整理解雇をするには4つの要件が必要となり、一つでも欠けると無効とされます。

  1. 経営上の必要性
    会社の維持・存続のためには人員削減がやむを得ない措置であること
  2. 解雇回避の努力
    役員報酬の削減、新規採用の抑制、希望退職募集など解雇回避の努力をしたこと
  3. 整理基準と人選の合理性
    人選基準が合理的かつ公平であり、運用も合理的であること
  4. 協議・説明義務
    労働者側との十分な協議、説明をして、納得を得る努力をしていること

懲戒解雇

就業規則などに「懲戒事項」として定められているもののうち、服務規律違反など「懲戒解雇」に該当する行為の制裁です。

労基署の認定を受ければ即時解雇も可能となります。

退職金があっても就業規則などの規定により一部または全額支給されません。

失業保険の受給では支給制限されることがあります。

解雇の制限と予告

会社が従業員を解雇するには、期間の制限や通知のルールがあります。

解雇は会社にとってもハードルの高いものです。

解雇制限期間

  • 業務上の負傷・疾病による療養のために休業する期間およびその後30日間
  • 女性が産前産後に休業する期間およびその後30日間

解雇制限の適用除外

  • 天災事変その他やむを得ない自由のために事業の継続が不可能となった場合
  • 労働基準法の規定によって打切補償(平均賃金の1200日分)を支払う場合

解雇予告

  • 労働者を解雇しようとする場合は、少なくとも30日前にその予告をしなければならない
  • 予告の日数は1日について平均賃金を支払った場合に、その日数を短縮できる

解雇予告の適用除外

  • 天災事変その他やむを得ない自由のために事業の継続が不可能となった場合
  • 労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合

離職票

離職票は、失業保険(基本手当)の金額や支給日数を確定するための書類です。

ハローワークは、離職票の記載内容に基づき、受給資格を決定します。

離職理由

  • 解雇
  • 会社都合による雇い止め
  • 期間満了による雇い止め
  • 期間満了による合意退職
  • 定年退職
  • 希望退職などによる正当な理由のある自己都合退職
  • 会社の移転などによる正当な理由のある自己都合退職
  • 出産や介護など正当な理由のある自己都合退職
  • 正当な理由のない自己都合退職
  • 本人に重大な責任のある解雇

自己都合と会社都合の違い

項目一般の自己都合会社都合
失業保険の
支給時期
給付制限
あり
給付制限
なし
失業保険の
給付
会社都合より給付日数が少ない
(年齢・勤続年数による)
自己都合より給付日数が多い
(年齢・勤続年数による)
退職金一般的に
会社都合より少額
一般的に
自己都合より高額

会社都合を避けたい事情

解雇に近い状況があっても、会社はできるだけ「会社都合(退職)」を避けたいという事情があります。

離職票の「会社都合(退職)」には、会社側にデメリットがあるからです。

会社都合のデメリット

  • 自己都合退職より支給する退職金の額が多くなる
  • 助成金の受給が停止されたり、新たな申請ができなくなる
  • 会社都合が多い会社という印象をハローワークに与えることになる
  • 不当解雇と主張されるリスクがある など

離職票をチェック

離職理由が自己都合と判断されるか会社都合と判断されるかは重要なポイントといえます。

自分の認識と違う離職票は、書き直しを要求することができます。

離職票は会社が作成

離職票は、実際に離職してからの手続きとなるため、作成された書類は退職後に郵送などで受け取ることになります。

離職票の受け取りが遅くなると、基本手当の給付も遅くなりますので、届かない場合は前の職場へ確認しましょう。

離職票の確認

  • 離職前賃金は正しく記入されていますか?
  • 離職理由欄は正しくチェックされていますか?
  • 具体的事情記載欄(事業主用)は正しいですか?
  • 異議はないですか?

離職理由で受けられる優遇

特定受給資格者と特定理由離職者

会社都合により離職を余儀なくされた「特定受給資格者」とやむを得ない正当な理由で離職した「特定理由離職者」については、要件を満たせば一般の自己都合退職者よりも手厚い給付を受けられる可能性があります。

該当するかどうかの判断はハローワークが個別に行います。

特定受給資格者

倒産や解雇など会社都合により再就職の準備をする時間的な余裕がなく離職を余儀なくされた人です。

特定理由離職者

有期労働契約の期間満了による雇い止めや正当な理由のある自己都合で離職した人です。

まとめ

退職する人にとって、離職理由が会社都合であることは、退職金や失業保険の優遇が受けられるものになりますが、会社にとってはリスクになる可能性があります。

自分では退職勧奨や解雇という認識なのに、自己都合退職とされているなど、離職理由に納得がいかない場合は、「希望(早期)退職への応募」や「勧奨退職」などに変更できないのか確認してみることをおすすめします。

離職理由にある会社の事情を知っていれば、退職で損することを避けられるでしょう。

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【参考】
・厚生労働省ウェブサイト
・ハローワークインターネットサービス

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