転職活動をするなかで、会社を辞める理由は必ず確認されることになります。
20代が退職する理由の多くは、履歴書などに「一身上の都合により退職」と記載する自己都合退職です。
「もうこの会社を辞めたい…」
「そろそろ転職したい…」
と考えるのは、キャリアアップや自己実現だけではなく、実際には待遇や人間関係、自分の評価への不満などもあるでしょう。
自己都合以外の会社都合(退職)によるものであれば、業績不振であれ、クビであれ、自分で希望した辞め方ではなく、とまどいはもちろん、少なからず不満を感じているのではないでしょうか。
「一身上の都合」による退職であっても、それ以外の理由であっても、それぞれの退職理由を不利にしない転職活動をすることが大切になります。
一身上の都合とは?
一身上の都合による退職
「一身上の都合」による退職とは、自分の意思で会社を辞める「自己都合退職」のことです。
従業員側の意思に関わらず、会社が従業員を辞めさせるのは「会社都合」の解雇になります。
「一身上の都合」による退職の具体的な内容として、20代では「キャリア」、「給与・待遇」、「人間関係」、「仕事内容」などが主な理由となっています。
給与・待遇の理由
20代前半では給与など労働条件の問題が主な退職理由となっています。
- 業績、貢献に見合った評価(昇進・給与)であると感じない
- 給与が同業他社水準より低い
- 昇給のない状態が続いている など
キャリアの理由
20代後半になると、キャリアに関する問題が退職理由として増えてきます。
- 自分の将来のキャリアに対する不安、自身の成長への不安を感じる
- 組織内での自己成長ができない、育成の社内体制が不十分と感じる
- 中長期的に見た業界の不透明感
- 個人のキャリアと会社の方向性が一致しないと感じる
- キャリアアップによる次のステージへの挑戦 など
人間関係の理由
人間関係に関する問題は退職理由として常に上位にあがっています。
- 上司との性格のアンマッチ、上司のマネジメント力・指導力不足
- 人間関係の気まずさ、悪化
- 職場風土・職場の雰囲気に馴染めない、会社のカルチャーと合わない
- ストレスや精神的な不調により退職に至る など
仕事内容の理由
仕事内容に関しては、給与やキャリアなど他の退職理由とも共通する問題が含まれています。
- 入社後の職場のイメージ低下による業務遂行意欲の低下
- 本人のやりたい仕事と実際の仕事のギャップ
- 仕事(のプレッシャー)についていけない、ハードワーク、仕事内容がきつい
- 他にやりたい仕事が見つかった など
一身上の都合による退職以外
「一身上の都合」による退職以外の自己都合退職として、「会社の事情による退職」や「契約満了による退職」などがあります。
同じ「会社の事情」や「契約満了」で会社を辞める場合であっても、自分の意思ではなく、会社に辞めさせられるものは「解雇」や「雇い止め」になります。
退職勧奨をされて、自分の意思で退職に合意した場合、原則としては解雇ではなく退職になります。
正当な理由のある自己都合退職
会社の事情により離職せざるを得ない退職や契約満了、病気やけが、家族の介護のための退職などは正当な理由のある自己都合退職として、一般的な自己都合退職とは区別することができます。
- 会社の倒産などによる退職
- 退職勧奨による退職
- 長時間労働による退職
- 賃金の不払いによる退職
- ハラスメントによる退職 など
普通解雇
普通解雇は従業員の個別の理由に基づいて行われる解雇です。
- 勤務成績が著しく悪く、指導しても改善されない
- 健康不良で職場復帰が見込めない
- 業務に支障を生じさせ、改善に見込がない など
整理解雇
整理解雇は業績悪化などにより人員整理として行われる解雇です。
- 経営不振による合理化
- 経営上の理由による人員整理
- 希望退職 など
懲戒解雇
懲戒解雇は懲戒処分として最も重い制裁としての解雇です。
- 業務命令や服務規律の違反
- 重要な経歴詐称
- 重大な犯罪行為 など
一身上の都合による退職と転職活動
転職するときに退職理由を確認されるのは、また同じことにならないか採用担当が気にするからです。
転職活動では、採用担当の不安を払拭する前向きな内容になっていることが大切です。
採用担当が気にすること
- 採用してもまたすぐに辞めるのではないか
- ヒューマンスキルに問題があるのではないか
- 前職と同様の問題を起こすのではないか
- ブランク期間が長く、健康や働く意欲に問題があるのではないか など
採用担当を納得させるポイント
- 人間関係などの理由でも前向きな理由に転換する
- やりたいことやビジョンの実現といった理由を考える
- 病気やけがは完治あるいは業務に支障がないことを説明する
- 前職の批判や不満を理由にしない など
解雇からの転職活動
一身上の都合による退職以外で転職・再就職する場合、会社の経営不振などが理由の解雇や退職であれば、事実を簡潔に伝えれば特に問題はありません。
少なからず不平不満はあるかもしれませんが、前職の批判をすることは逆効果ですので、避けるようにしましょう。
採用担当が気にすること
- 会社の倒産や経営不振で辞めたのか
- 本人の職務能力や勤怠不良などの問題で辞めたのか
- これから前向きに取り組んでいけるか
- 本人の問題の場合、同様の問題が発生しないか
- 入社したい意思があるか など
退職理由の書き方
- 倒産や経営不振による場合は「経営不振のため会社都合により退職」とする
- 本人の事情による退職(懲戒処分等)で刑罰に該当しないものであれば「会社都合により退職」のみ記載する
退職理由の伝え方
- 会社の倒産や経営不振による事業縮小など簡潔に説明する
- 気持ちを切り替えて前向きな姿勢を示す
- 応募先で発揮できる強みをアピールする
- 本人の責任による解雇は、反省の姿勢を示す
- 前職の批判はしない など
採用担当を納得させるポイント
- 新たなチャレンジへの意欲を示す
- 前職でできず、応募企業でやりたいことをアピールする
- 自己啓発など前向きな姿勢と貢献できることを志望動機にする
- 長く勤務する意思を示す など
20代・第二新卒の転職市場
20代の転職活動
20代の転職市場は活発です。
転職市場には「第二新卒」という新卒で入社してから3年程度までの転職希望者の市場もあります。
新卒だけでなく、既卒や第二新卒の採用にも積極的な企業が増え、求人数も豊富です。
第二新卒は社会人としてのビジネスマナーを身につけていること、柔軟性や成長性があることをメリットとして求人企業はとらえられていますので、キャリアチェンジのチャンスが多くあります。
エージェントサービスを利用すると、業界や職種に精通したキャリアアドバイザーのサポートを受けることができます。
適性・適職のアドバイスから優良企業の求人紹介、応募書類の添削、面接対策のサポートなどで選考通過率のアップが期待できます。
転職支援サービスのメリット
- キャリアの可能性を広げるカウンセリング
- 自分だけでは見つけられない求人紹介
- 企業との調整・交渉の代行 など
まとめ
20代の退職は、ほとんどが自分の意思による「一身上の都合」だといえます。
「一身上の都合」による退職そのものがマイナスになることはなく、転職して何を実現したいのか、転職先でどんな貢献ができるのかを伝えることが重要です。
会社を辞める理由が自己都合でも解雇でも前向きな姿勢を示せるかどうかがポイントになります。
解雇からの転職活動が経営不振であれ、本人の責任であれ、求人企業では他の応募者と同じように選考します。
ネガティブな気持ちで活動しても、入社したい意思や熱意が伝わらず、うまくいきません。
消極的にならず、発揮できる強みをアピールして積極的に活動することがポイントです。
【参考】
・厚生労働省ウェブサイト
・ハローワークインターネットサービス