企業の採用意欲が高まるなか、結婚や出産、配偶者の転勤などで仕事を辞めた女性の復職・再就職に期待が高まっています。
その一方で、ビジネス感覚に不安を持たれることもあります。
仕事にブランクのある女性は職務経歴書から空白期間を払拭する強みをアピールすることが大切です。
復職・再就職する女性の職務経歴書の書き方についてご紹介します。
復職・再就職するときの職務経歴書
職務経歴書とは
職務経歴書は履歴書より職務内容を詳細に記載した応募書類です。
実務能力を重視する転職の採用選考では、多くの場合、履歴書と職務経歴書で書類審査が行われます。
一般的に書類審査を通過した人に対してのみ、面接が行われますので、転職の採用選考における職務経歴書の重要度は高いといえます。
職務経歴書の役割
- 求められている経験やスキルがあることを伝える
- 未経験や不足しているスキルは勉強中であることを示す
- 伝えたいことをわかりやすくまとめる
再就職の職務経歴書
女性が再就職しようとするときに、はじめて職務経歴書を作ることになって、どのように書けばよいか悩む人も多いのではないでしょうか。
女性が悩むポイントは採用担当が気にするポイントでもあります。
採用担当の心配を払拭するような職務経歴書を作成することが目標です。
再就職する女性の悩み
「ブランク期間はどう書けばいいの?」
「以前の経験を活かせる求人ではないけど…」
「何社応募しても採用されない…」
再就職するときには、これまでと同じ環境や条件で働くことができない女性は多くいます。
知識やスキルがあっても、うまくアピールできなければ書類選考を通過することができません。
採用担当の懸念
「仕事に復帰する環境は整っているのかな?」
「ビジネス感覚は鈍っていないかな?」
「いまのビジネススキルは使えるのかな?」
「また同じような理由で辞めることにはならないかな?」
採用担当はブランクがあるかどうかではなく、募集している求人の業務ができそうかどうかを応募書類から見極めようとしています。
面接で会ってみたいと思われるような職務経歴書を作成することが大切です。
職務経歴書のフォーマット
職務経歴書のまとめ方には「編年体形式」と「キャリア形式」があります。
職歴が短い場合は、ベーシックな「編年体形式」をおすすめします。
派遣社員や短期の仕事が多かった場合などは、職務内容別にまとめる「キャリア形式」の方がわかりやすくまとめられることもあります。
編年体式
経歴を古いものから順に時系列にまとめて書く形式です。
古い方から書くのが一般的ですが、最新のものから書く形式(逆編年体形式)もあります。
キャリア式
時系列ではなく、職務内容ごとに経歴をまとめる書き方です。
基本的な構成は、経歴の要約と職歴を職種別、職務別、取扱商品別などキャリア(同じ業務)ごとにまとめて記載する形式です。
「事務関連の業務」「営業サポートの業務」などにまとめるのもひとつの方法です。
職務経歴書の書き方
職務経歴書は自分をアピールするための書類です。
経験をただ並べるのではなく、見やすい書き方を工夫して、わかりやすくまとめることが大切です。
A4サイズ1~2枚にまとめる
パソコン作成が主流ですので、基本的なビジネススキルを示すためにもパソコンで作成することをおすすめします。
アピールしたいからと、長々と何枚も書くのは逆効果です。
ポイントを絞って簡潔にまとめましょう。
日付、氏名
面接などで持参する場合は持参する日付を、郵送する場合はポストに投函する日付を右上に記入します。
日付の下に氏名を入れるのが基本スタイルです。
氏名は戸籍通りに正確に書きます。
旧姓を使用したい場合は通信欄などに記入します。
書く内容が少ない場合
経験年数や職務内容が少ない場合には、文頭や文末に「自己紹介」や「自己PR」として、自分の強みやアピールポイントを書くのもひとつの方法です。
職務経歴
正社員として勤務した会社の入社、退社、配属先をすべて記載します。
応募先へのアピールになるパート経験や派遣社員経験も記載して問題ありません。
会社名だけでは事業内容などがわかりにくい場合には、簡単な会社概要を付記しましょう。
職務内容
「電話応対」「取引先訪問」などのように単語だけでまとめてしまうのではなく、業務の内容がわかるように具体的に書きましょう。
同じ「電話応対」でも1日の対応件数など実際の仕事の内容は会社によって違うはずです。
応募する企業が求める人物像を理解して、なるべく関係する経験を中心にわかりやすくまとめるのがポイントです。
ブランクがあるからといって、経験した事実をすべて記載することがアピールになるとは限りません。
- 期間
- 商材、サービス、プロジェクト
- 顧客、取引先
- チーム体制、担当人数
- 方法、ノウハウ
実績
どのように仕事をしてきたのかイメージできるように、取扱件数、処理件数、訪問件数、目標達成、売上実績など具体的な数字を入れて記載します。
また自分なりに工夫したことや努力したなど、業務にどのように取り組んできたかを具体的に書きましょう。
数値化できる実績はなくても、仕事への積極的な取り組み姿勢は評価されます。
資格・スキル
ブランクがある人は、その期間にしていたことを記載します。
応募する求人に関連した自己啓発や資格・スキルを習得するためにスクールに通ったことなどは、まだ習得できていなくても、勉強していることがアピール材料になります。
退職の理由
前職を退職した理由がブランク期間にしていたことの説明になるケースもあります。
- 出産・育児に専念するため
- 保育所に入れなかったため
- 配偶者の転勤に同行するため
- 家庭生活を優先するため など
自己PR
一時的に仕事を離れていても、社会性やビジネス感覚は鈍っていないということが伝わるように、応募企業で発揮できる強みをアピールします。
再就職する女性のアピールポイント
女性の再就職を成功させるためには、応募企業が求めていることを理解して、ポイントを絞ってアピールすることが効果的です。
わかりやすくまとめられた職務経歴書は、実際の業務でも活かせるビジネススキルのアピールになります。
前職の内容
短期間であっても前職での実務経験が最大のアピールになります。
どのような実務経験を積んだのかを具体的に伝えることが重要です。
工夫・努力したこと
自分なりに仕事で工夫したことや改善などで努力したことを思い出し、仕事に対する意識の高さを示します。
パート・派遣社員の経験
前職の退職後にアルバイトやパートの経験があり、応募先の仕事にも関係する場合は、積極的にアピールしましょう。
詳しく説明して、即戦力になれることを示します。
正社員を希望する場合にも一旦、パートや派遣社員で実務経験を積むことは効果的です。
ブランク期間の自己啓発
ブランク期間でもブログ作成、資格取得のスクールなど、日常生活から仕事にも活かせるものを見つけ出し、応募企業でも役立つ経験としてアピールします。
職務経歴書の提出
作成した職務経歴書は応募前に最終確認をしましょう。
できれば、自分以外の人に添削してもらうことをおすすめします。
女性の再就職支援やマザーズハローワークなどのサービスを利用すると、キャリアアドバイザーのサポートを受けることができます。
応募前の確認
- 不足しているスキルはありませんか?
- 不足しているスキルを自己啓発していますか?
- 仕事について将来のビジョンはありますか?
- 保育などについて解決しましたか?
- 再就職にあたり周囲の理解が得られていますか?
- 求人企業にアピールできる強みはありますか?
- 労働条件をクリアしていますか?
まとめ
職務経歴書は単に職務の経歴を伝える書類ではなく、応募する企業が求めている人物像に自分がどれだけ合致しているかをアピールするためのものです。
自分がアピールできることを意識して作成しなければ、意欲や熱意が伝わりません。
業界や企業をしっかり研究して、自分が応募する業務に適していることを客観的に伝えることが大切です。
参考:職務経歴書の基本構成
職務経歴書
20××年×月×日
氏名○○ ○○
【職務内容】
具体的な仕事内容や実績を伝えます。アピールになるアルバイト経験や派遣社員経験は記載して大丈夫です。
- 勤務先、入社・退社年月、所属、職種
- 経験した業務の詳細・実績
- 勤務先での評価、表彰、受賞、昇格、後輩指導など
【資格・スキル】
応募企業に役立つ知識や技能を伝えます。
- 免許・資格・スキルレベル
- 業務に関連する学歴、自己啓発
【転職理由・自己PR】
入社意欲や求人ニーズに合った適性や強みを伝えます。
- 転職(退職)理由
- 自己PR
【参考】
・厚生労働省ウェブサイト
・ハローワークインターネットサービス