「休みたいけど休めない…」
「残業続きで体調が悪い…」
「うつ病かも…」
など、メンタルヘルスの不調に悩む人が20代の若者にも増えています。
特に転職や就職など新しい環境に慣れていない時期は注意が必要です。
体調が悪いときは、1人で悩み続けないでください。
相談できる人、解決する方法、救済措置は必ず見つかります。
メンタルヘルス不調と休職・復職・転職
メンタルヘルスとは
メンタルヘルスとは、こころの健康状態のことです。
社会人には業務内容や職場環境、人間関係などからメンタルヘルスの不調を抱える人が増えています。
メンタルヘルス不調にはさまざまな種類があり、その症状も治療方法も異なります。
メンタルヘルス不調は深刻になる前に対処することが大切です。
メンタルヘルスケア
こころを健康な状態に保つためにメンタルヘルスケアの重要性が高まっています。
メンタルヘルスケアは自分でもできる対処ですので、自分のストレスを感じたら、悪化する前の予防をこころがけましょう。
- 一次予防:未然予防および健康増進
- 二次予防:早期発見と対処
- 三次予防:治療と職場復帰、再発予防
メンタルヘルス不調と主な要因
メンタルヘルス不調にはいくつかの要因が考えられます。
仕事に関係するストレスや過労で精神的な病気を患うケースが増えています。
仕事上のストレス
業務内容や職場環境における心理的なストレスが原因となり発症することがあります。
- 仕事の質や量
- 職場の人間関係
- 仕事上の失敗や責任の発生 など
過労死ラインを超える残業
過労死ラインを超えるような長時間労働が原因となり発症することがあります。
- 2~6ヵ月の1ヵ月当たり平均80時間を超える時間外労働
- 発症1ヵ月前の100時間を超える時間外労働 など
パワハラ(パワーハラスメント)
パワハラとは、職務上の地位や人間関係の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えたり、職場環境を悪化させる行為です。
パワハラなど職場のハラスメント行為は、メンタルヘルス不調の大きな要因になっています。
- 暴行・傷害
- 脅迫・名誉棄損・侮辱・暴言
- 人事権の不当な行使
- 遂行不可能なことの強制
- 仕事を与えないこと
- プライベートに過度に立ち入ること など
業務上か業務外か
病気やケガで休職や退職をする場合、その病気やケガの原因が業務上の理由か、業務外の理由かで企業の対応や法律の保護が異なります。
業務上のものであれば、メンタルヘルス不調も労働災害として認定されることがあります。
うつ症状などメンタル疾患が原因で、休職や退職する人が増えていますが、事故によるケガと違い、業務上の理由によるものかどうかの判断が難しいといわれています。
メンタルヘルス不調の救済
メンタルヘルス不調を抱える人の増加により、企業ではメンタルヘルス対策の重要性が高まっています。
さまざまな対策が講じられるようになっていますので、社内外でどのようなサポートを受けられるのか知っておきましょう。
企業のメンタルヘルス対策(例)
- 職場環境の改善、再発防止
- 管理者・マネジメント向けの教育、研修
- 社内外に相談窓口設置
- 産業医の設置
- 残業の削減
- ハラスメント加害者の配置転換、懲戒処分
- ストレスチェック等による状況把握
- 職場復帰支援 など
社外の相談窓口(例)
- こころの健康に関する相談
・こころの健康相談 統一ダイヤル「心の健康電話相談」
・全国の精神保健福祉センター - 職場のパワハラ・セクハラに関する相談
・ハラスメント悩み相談室
・都道府県労働局雇用環境・均等部 - 仕事に関する相談
・総合労働相談コーナー
・労災保険相談ダイヤル
休職制度
休職制度は、従業員が病気やケガで働けないときに、雇用を継続したまま一定の期間、労働の義務を免除する制度です。
傷病休職では、業務外の傷病による長期欠勤が一定期間続いたときに、猶予期間を置き、傷病から回復し就業可能となれば復職し、回復せずに期間が満了すれば退職となります。
傷病手当金
業務外の病気やケガで仕事を休んだときに、健康保険から傷病手当金が支給されます。
傷病手当金が支給されることから、休職期間中の給与は支給しない企業が多くなっています。
傷病手当金の支給要件
- 業務外の病気やケガの治療中であること
- 労務不能であること
- 連続3日以上休んでいること
- 賃金の支払がないこと
労災保険
労災保険は業務上の理由または通勤による負傷、疾病、障害、死亡等に対して、労働者やその遺族に給付を行う保険制度です。
- 療養(補償)給付
業務災害や通勤災害による傷病を労災指定病院、労災指定医療等以外の病院で療養するとき - 休業(補償)給付
業務災害や通勤災害による傷病の療養のため労働ができずに賃金を受けられない日が4日以上になるとき - 障害(補償)給付
業務災害や通勤災害による傷病が治った後に障害等級が1~14級のいずれかにあてはまる障害が残ったとき - 傷病(補償)年金
業務災害や通勤災害による傷病が療養開始後1年6ヵ月を経過した日あるいは同日後に次のいずれにもあてはまるとき
・傷病が治っていない
・障害の程度が傷病等級の1~3級にあてはまる - 介護(補償)給付
障害(補償)年金または傷病(補償)年金の受給権者で、その支給事由となっている一定の生涯の程度に該当し、常時または随時介護を必要とすると - 遺族(補償)給付
業務災害や通勤災害により死亡したとき - 葬祭(料)給付
業務災害や通勤災害で死亡した人の葬祭を行うとき - 二次健康診断等給付
過労死等の防止のため、脳および心臓の状態を把握するための検査や医師による健康診断や保健指導を受けるとき
メンタルヘルス不調からの復職
メンタルヘルス不調の休職から職場に復帰するには、主治医による復職可の診断書をもって復職の申し出として、産業医の意見を聞くなどして、最終的な結論が出されます。
メンタル疾患の場合には、回復の程度がわかりにくいので、職場復帰の判断は慎重にされます。
職場復帰の判断基準(例)
- 通勤時間帯に1人で安全に通勤できる状態であるか
- 勤務時間に継続して就業できるか
- 業務に必要な作業をこなすことができるか
- 夜眠れて、朝決まった時間に起きられるか
- 業務を行う集中力や注意力があるか
- 職場の受け入れ態勢があるか など
メンタルヘルス不調と就業
- 休職を経て通院治療しながら働き続ける
- 休職と復職を繰り返している
- 休職期間中(復職直後)に退職している
- 休職をせずに通院治療等をしながら働き続ける
- 休職を経て通院治療せずに働き続ける
- 休職をせずに退職している
メンタルヘルス不調と退職
メンタルヘルス不調になって、働くことが難しい状態であれば、通院したり、社内異動をしたり、休職するなどして体調を回復させることが一番です。
それでも良くならない場合には、退職や就業環境を変えるために転職するのも選択肢のひとつといえるでしょう。
うつ症状があって、長く働くことに不安を感じている人は、うつ症状専門の就労移行支援サービスを利用するなどして、不安を解消していくことができます。
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まとめ
過労やパワハラが原因でメンタルヘルス不調、うつ症状になったようなケースでは、業務上の可能性が高いと考えられますが、認定されるまでには、煩雑な手続き、場合によっては裁判にまで発展することがあります。
メンタル不調が深刻な状態になる前に、職場環境の改善を求め、勤務の内容、メールなどを記録として残し、信頼できる人や専門窓口に相談するなどの対処を優先しましょう。



参考:厚生労働省「こころの耳」