解雇とは

キーワード解説

解雇

解雇とは、従業員側の意思にかかわらず、企業側から一方的に労働契約を終了させることです。

労働基準法では、解雇は「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当」と認められた場合に限ると定められています。

解雇の意思表示は、書面ではなく口頭で行うことも可能です。

(ただし、従業員からの求めがあった場合には、書面で解雇理由を明らかにする必要があります。)

企業は、正当な理由がない限り、従業員を解雇をすることはできません。

解雇のルール

解雇は、就業規則雇用契約書労働条件通知書などに、どんなときに解雇されることがあるかをあらかじめ示してあることが必要です。

またその理由に合致していなければ解雇することはできません。

解雇の無効

解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合には、その権利を濫用したものとして解雇は無効になります。

解雇の種類

解雇には理由により、普通解雇整理解雇懲戒解雇があります。

  • 普通解雇
    従業員の個別的事由に基づいて行なわれる解雇
  • 整理解雇
    経営不振による合理化など、経営上の事由に基づく人員整理として行なわれる解雇
  • 懲戒解雇
    企業の規律や秩序に反した従業員に対して懲戒処分として行なわれる解雇

普通解雇の例

  • 職務遂行能力に問題があり、指導を行っても改善の見込みがないとき
  • 健康上の理由で長期にわたり職場復帰が見込めないとき
  • 著しく協調性に欠けるため業務に支障を生じさせ、改善に見込みがないとき
  • 勤務態度が著しく不良であり、指導を行っても改善の見込みがないとき

整理解雇の要件

  1. 経営上、人員削減の必要性があること
  2. 解雇を回避する努力をしたこと
  3. 解雇する人選に合理性があること
  4. 従業員や労働組合に対して説明・協議を行ったこと

懲戒解雇の原則

  1. 不遡及の原則
  2. 一事不再理の原則
  3. 平等扱いの原則
  4. 相当性の原則
  5. 適正手続きの原則

解雇の予告義務

企業が従業員を解雇をする場合には、少なくとも30日前に解雇予告をしなければなりません。

30日前に予告しない場合は、解雇予告手当として30日分以上の平均賃金を支払うことが義務づけられています。

予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合、その日数を短縮することができます。

解雇予告の除外認定

労働基準監督署に除外認定を認められることで、解雇予告や解雇手当なしで解雇できるようになるケースがあります。

除外認定が認められなければ、懲戒解雇の場合であっても、解雇予告は必要となります。

  1. 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合
  2. 従業員の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合

解雇予告が不要なケース

解雇予告義務の規定は、以下の場合には適用がありません。

ただし、以下の日数を超えて引き続き働くことになった場合は解雇予告の対象となります。

  1. 試用期間中の人:14日間
  2. 4ヵ月以内の季節的業務の従業員:その契約期間
  3. 契約期間2ヵ月以内の従業員:その契約期間
  4. 日々雇い入れられる従業員:1ヵ月

解雇の制限

以下の期間中、企業は従業員を解雇することはできません。

  1. 業務上の負傷や疾病で療養中の期間およびその後30日間
  2. 産前(6週間)産後(8週間)休業中の期間およびその後30日間

解雇の禁止

以下の理由に該当する場合、企業は従業員を解雇することはできません。

  1. 国籍・信条・社会的身分を理由とする解雇
  2. 監督機関への申告を理由とする解雇
  3. 性別を理由とする解雇
  4. 労働組合の組合員であることや労働組合に加入したことなどを理由とする解雇
  5. 妊娠・出産、産前産後休業の取得を理由とする解雇
  6. 育児休業・介護休業の申し出や取得を理由とする解雇

解雇と退職金

普通解雇や整理解雇の場合、退職金は支給されます。

懲戒解雇は懲戒処分として行われる解雇ですので、通常、退職金の全部または一部が支給されません。

退職金はすべての企業で支給されるわけではなく、退職金の規程や慣習があった場合に、企業に支払義務があります。

懲戒解雇の退職金については、就業規則などに減額や全額支給しないことがあらかじめ規定されていれば、減額されたり、支給されないことがあります。

雇い止め

有期労働契約の場合、双方が特に申出しないまま契約期間が満了したときには、契約は終了し、退職となります。

しかし、契約を更新しないまま引き続き雇用した場合は「期間の定めのない契約」となり、企業がその後に契約を更新せずに終了するときには、解雇の扱いとなります。

雇い止めの予告

企業が有期労働契約を更新しない場合、以下の契約が終了する日の30日前までにその予告をしなければなりません。

  1. 契約が3回以上更新されている
  2. 1年以下の契約期間の有期労働契約が更新または反復更新され、最初に有期労働契約を締結してから継続して通算1年を超える場合
  3. 1年を超える契約期間の労働契約を締結している場合

参考:厚生労働省ウェブサイト

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  • 解雇の理由に合理性・相当性があること
  • 就業規則の解雇事由に該当していること
  • 法律上の解雇禁止に該当しないこと
  • 解雇の手続きが適切にされていること
  • 解雇予告がされるか、解雇予告手当が支払われること
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