キーワード解説
有期労働契約とは
有期労働契約とは、期間を定めて結ぶ労働契約のことです。
所定労働時間の長さにかかわらず、期間に定めがあれば、有期労働契約となります。
有期労働契約で働く人(有期契約労働者)には、期間の定めのない正社員と同じようにフルタイムの契約社員や期間従業員、短時間勤務のパートタイマーやアルバイトなどの従業員もいます。
期間の定めがなく、フルタイムで働いている場合は、社内で契約社員と呼ばれていても、有期雇用労働者ではありません。
有期労働契約の1回の契約期間は、原則として3年が上限(一定要件に該当する場合は5年)と定められています。
1回に上限の3年契約をするのではなく、1年以内の契約期間を定めて雇用契約を結び、適宜、契約を更新することがほとんどです。
有期労働契約では、試用期間を設けないのが原則ですが、6ヵ月程度の期間で契約をすることは可能です。
契約期間があるという理由だけで、正社員と異なる待遇をすることは認められません。
有期労働契約の労働条件の明示
通常の労働条件の明示のほか、「雇用契約期間」「更新の有無」「更新の判断基準」について明示しなければなりません。
期間途中の解雇
有期労働契約または有期雇用については、やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間の途中で、事業主(企業)は従業員を解雇(契約解除)することはできません。
契約期間中の解雇は、原則として残りの契約期間分の賃金を支払う必要があります。
期間途中の退職
有期労働契約の場合、従業員はやむを得ない事由があれば退職できるとされていて、退職の自由について、一定の制約があります。
しかし、3年を上限とする有期労働契約の場合、1年を経過すれば、いつでも、いかなる理由でも退職することができます。
雇い止めの予告
雇い止めとは、有期労働契約を繰り返し更新して、一定期間雇用を継続したにもかかわらず、事業主が期間の満了を理由に以後の契約を更新せずに終了させることです。
契約を3回以上更新し、または雇い入れ日から1年を超えて継続している有期契約労働者の契約を更新しない場合には、事業主は少なくとも30日以上前に雇い止めの予告をしなければなりません。
雇い止めの理由の開示
雇い止めの予告をする場合、事業主は従業員が更新しないことの理由について、証明書を請求したときは、遅滞なく証明書を交付しなければなりません。
また更新されなかった場合、事業主は従業員が更新しなかった理由について、証明書を請求したときは、遅滞なく証明書を交付しなけければなりません。
無期転換権
有期労働契約が同一の事業主との間で、反復更新されて通算5年を超えたときには、従業員が希望すれば、期間の定めのない労働契約(無期労働契約または無期雇用)への転換が可能です。(無期転換ルール)
無期転換を申し込まないことを契約更新の条件にしたり、金銭で経理法規を求めることは、無効とされます。
無期労働契約への転換後は、正社員にしなければならないわけではありません。
業務内容や賃金、労働時間などの労働条件は転換前と同じでもかまわないことになっています。
正社員への転換
事業主には有期労働契約の社員を正社員に転換するための措置を講じることが義務づけられています。
- 正社員を募集する場合、その募集内容を有期雇用労働者に周知する
- 正社員のポストを社内公募する場合、有期契約労働者にも応募する機会を与える
- 有期契約労働者が正社員へ転換するための試験制度を設ける
- その他正社員への転換を推進するための措置を講じる



