人手不足が進むなか、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取り組みは、企業の活力や人材の確保・育成・定着の可能性を高めるものと、とらえられています。
業務の見直しや柔軟な働き方の実現に向けて、雇用形態にも変化が見られるようになっています。これから転職を考える20代・第二新卒なら押さえておきたい多様化する雇用形態をご紹介します。
多様化する雇用形態
雇用形態の特徴
雇用形態 | 契約期間 | 特徴 |
正社員 | 労働契約の期間の定めがない | 直接雇用 所定労働時間がフルタイム |
限定 正社員 | 労働契約の期間の定めがない |
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契約社員 | 有期労働契約で 上限は原則3年 | 特定職種に従事し、雇用期間を定めて契約する社員 |
無期 契約社員 | 有期労働契約から 無期労働契約に転換 (平成30年~) | 有期労働契約が反復更新されて通算して5年を超えたときに、申込みによって転換 |
派遣社員 | 最長3年 | 「労働者派遣法」に基づき派遣元事業所から派遣される 紹介予定派遣は派遣期間を経て直接雇用可能 |
アルバイト/ パート | 通常、有期契約 | 通常、時間給で、フルタイムの正社員より1日の所定労働時間が短いか、1週間の所定労働日数が少ない働き方 |
請負 業務委託 | 契約による | 勤務先との雇用関係はない |
正社員と契約社員の違い
正社員については、法律で手厚く保護されていて、簡単に解雇することはできなくなっています。一方、一定期間で終了する契約社員は、期間が過ぎれば雇用関係が終了します。
どのような場合に契約が更新されるのか、正社員への雇用転換の可能性があるのかなど、応募する際に条件を確認しておくことが大切です。
健康保険・厚生年金
次の条件を満たせば加入する必要があります。
- 契約期間が2ヵ月以上であること(2ヵ月を超えて雇用されれば加入)
- 所定労働時間が他の一般の社員と比べて4分の3以上であること
雇用保険
次の条件を満たせば加入する必要があります。
- 31日以上雇用される見込みがあること
- 所定労働時間が週20時間以上であること
注目される限定正社員
いわゆる正社員(総合職と呼ばれるもの)は職種が限定されず、転勤があり、労働時間はフルタイムであることに対し、勤務地、職種、労働時間を限定していることから限定正社員と呼ばれます。
ユニクロを運営するファーストリテイリングでは、勤務地限定の「地域限定正社員」を導入して、パート・アルバイトの正社員化を進め、継続して採用を行っています。
食品スーパー大手のライフコーポレーションでは「エリア社員」を導入し、パート上級職の転換先としての活用や通勤に制約のある社員にも部門長として活躍できる機会を広げています。
限定正社員
- 地域限定正社員:転勤するエリアが限定されていたり、転居を伴う転勤がなかったり、あるいは転勤が一切ない正社員
- 職務限定正社員:担当する職務内容や仕事の範囲が他の業務と明確に区別され、限定されている正社員
- 勤務時間限定正社員:所定労働時間がフルタイムではないあるいは残業が免除されている正社員
限定正社員を導入する目的
- 優秀な人材を確保するため
- 従業員の定着を図るため
- ワークライフバランスの支援のため
- 賃金の節約のため
- 賃金以外の労務コストの節約のため
- 非正規社員からの無期雇用転換の受け皿として
- その他
限定正社員の転換成功例
- 非正規社員の離職が多い:地域限定・職務限定・勤務時間限定正社員への転換
- 非正規社員が多く、技能の蓄積・継承が進まない:地域限定・職務限定正社員への転換
- 育児や介護を理由に退職する正社員がいる:地域限定・勤務時間限定正社員への転換
派遣社員のメリット・デメリット
派遣社員の種類には、派遣元(派遣会社)の社員として雇用されている「常用型派遣」と派遣先での就業期間中のみ派遣元と雇用関係にある「登録型派遣」に大きく分かれます。
派遣社員の方が希望する仕事が見つけやすかったり、大企業など多くの企業を経験できるメリットがあります。しかし、景気が後退すると、派遣社員の契約を更新しなくなる企業が増え、「登録型派遣」の場合、派遣期間終了時に職を失うリスクがあります。

紹介予定派遣
紹介予定派遣とは、派遣先に直接雇用される前提で一定期間派遣社員として就業する働き方です。派遣期間終了時に双方が合意すれば派遣先に直接雇用されます。
実際に働いてみて見極めることができるので、ミスマッチの少ないシステムといえますが、直接雇用が契約社員の場合もあり、必ず正社員になれるわけではありません。

まとめ
「働き方改革」の推進により、働き方が多様化しつつあります。特に雇用形態においては、限定正社員がワークライフバランスを実現する働き方として、注目を集めています。
20代・第二新卒の転職では、雇用形態の違いをよくおさえて、自分のキャリアパスやライフスタイルに合った働き方をしっかり確認することが大切です。
