新卒社員の3割が3年以内に退職する時代。
第二新卒や未経験者の採用に積極的な企業も増え、20代若手社員の転職は今や普通のことになっています。
では実際に20代で転職した人は、どんな理由で転職し、転職結果をどうとらえているのでしょうか?
20代の転職実態とは
20代で転職する人の事情はさまざまです。
厚生労働省が実施する「転職者実態調査」の結果をもとにご紹介します。
就業形態
20代で転職した人の直前の勤め先の就業形態は、20代前半と20代後半いずれも正社員が多く、7割を超えています。
20~24歳
25~29歳
- 正社員(76.7%)
- 出向社員(0.1%)
- 契約社員(5.5%)
- 嘱託社員(0.9%)
- その他(4.3%)
勤務期間
直前の勤め先の通算勤務期間は、20代前半では5年未満までの人が全体の9割を占めています。
20代後半でも8割を超える人の勤務期間が5年未満となっています。
20~24歳
- 6ヵ月未満(14.6%)
- 6ヵ月以上1年未満(21.5%)
- 1年以上2年未満(27.9%)
- 2年以上5年未満(27.4%)
- 5年以上10年未満(4.1%)
25~29歳
- 6ヵ月未満(7.9%)
- 6ヵ月以上1年未満(10.5%)
- 1年以上2年未満(17.2%)
- 2年以上5年未満(46.8%)
- 5年以上10年未満(16.2%)
- 10年以上(0.8%)
給与の変化
給与が転職によりどのように変化したかをみると、半数近くの人がアップし、3割程度の人がダウンしています。
20~24歳
- 3割以上増加(4.3%)
- 1割以上3割未満増加(25.2%)
- 1割未満増加(17.0%)
- 変わらない(18.1%)
- 3割以上減少(7.3%)
- 1割以上3割未満減少(10.8%)
- 1割未満減少(15.1%)
25~29歳
- 3割以上増加(6.7%)
- 1割以上3割未満増加(23.6%)
- 1割未満増加(15.9%)
- 変わらない(20.1%)
- 3割以上減少(10.4%)
- 1割以上3割未満減少(19.7%)
- 1割未満減少(2.9%)
離職の理由
20代で転職した人の8~9割は自己都合により直前の勤め先を退職しています。
20~24歳
25~29歳
- 自己都合(87.4%)
- 契約期間の満了(4.4%)
- 移籍出向(0.5%)
- 倒産・整理解雇・退職勧奨(5.3%)
自己都合の理由
自己都合で退職した人の理由には、「人間関係」「仕事内容」「賃金」「会社の将来性」が上位に入っています。
20~24歳
- 人間関係がうまくいかなかったから(38.4%)
- いろいろな会社で経験を積みたいから(27.6%)
- 満足のいく仕事内容でなかったから(25.2%)
- 賃金が低かったから(23.8%)
- 会社の将来に不安を感じたから(22.5%)
25~29歳
- 満足のいく仕事内容でなかったから(31.4%)
- 賃金が低かったから(31.3%)
- 労働条件(賃金以外)がよくなかったから(25.5%)
- 会社の将来に不安を感じたから(25.4%)
- 人間関係がうまくいかなかったから(22.4%)
転職先を選んだ理由(複数回答)
20代で転職した人の半数近くは「仕事内容」で現在の転職先を選んでいます。
20~24歳
- 仕事の内容・職種に満足がいくから(46.1%)
- 自分の技能・能力を活かせるから(25.1%)
- 地元だから(Uターンを含む)(24.7%)
- 労働条件(賃金以外)がよいから(23.4%)
- 転勤が少ない、通勤が便利だから(17.6%)
25~29歳
- 仕事の内容・職種に満足がいくから(44.9%)
- 自分の技能・能力を活かせるから(32.9%)
- 労働条件(給与以外)がよいから(28.6%)
- 賃金が高いから(22.2%)
- 転勤が少ない、通勤が便利だから(17.1%)
転職後の満足度
転職した人の半数以上は転職後の生活に満足していると回答しています。
項目別では給与についてのみ満足度が50%以下となっています。
給与は前職の給与をベースに算出されることが多く、転職時に大幅アップすることは難しいかもしれませんが、転職後の貢献により昇給は期待できます。
職業生活の全体
- 満足(53.4%)
- どちらでもない(34.5%)
- 不満足(11.4%)
仕事内容・職種の満足度
- 満足(69.2%)
- どちらでもない(21.3%)
- 不満足(8.7%)
給与の満足度
- 満足(46.6%)
- どちらでもない(25.5%)
- 不満足(27.1%)
労働時間・休日・休暇の満足度
- 満足(62.3%)
- どちらでもない(20.7%)
- 不満足(16.3%)
人間関係
- 満足(57.9%)
- どちらでもない(25.3%)
- 不満足(14.2%)
通勤の便
- 満足(69.0%)
- どちらでもない(19.2%)
- 不満足(11.1%)
(厚生労働省「令和2年転職者実態調査」より)
20代の転職活動
20代の転職市場
20代の転職市場は活発です。
転職市場には「第二新卒」という新卒で入社して3年程度までの求職者の市場もあります。
新卒だけでなく、既卒や第二新卒の採用に積極的な企業が増え、20代はリベンジ転職やキャリアチェンジのチャンスも豊富になっています。
20代前半
20代前半では、人間関係やいろいろな会社を経験したいという転職理由が上位になっています。
具体的な労働条件の不満ではなく、よりよい環境を求めて転職を考え、チャレンジしている人が多いといえます。
20代後半
20代後半では、仕事内容や給与など労働条件が上位の転職理由になっています。
20代後半の転職では、キャリアチェンジをするのか、同職種でキャリアアップするのかがポイントになります。
30代になるとキャリアチェンジは難しくなりますので、別の仕事をしたいと考えているのであれば20代のうちにチャレンジすることをおすすめします。
20代の転職支援
20代の採用市場に強い転職支援サービスを利用すると、採用選考に有利な転職サポートを無料で受けることができます。
適性・適職などのアドバイスから優良企業の求人紹介、応募書類の添削、面接対策などのサポートを受けられますので、選考通過率アップの可能性が高くなります。
転職支援サービスのメリット
- キャリアの可能性を広げるカウンセリング
- 業界や職種に精通したキャリアアドバイザー
- 好条件・非公開の求人紹介
- 企業ごとの書類作成・面接対策
- 応募企業との連絡代行 など
キャリアごとの転職支援
まとめ
20代全体として、より希望に近い仕事内容や自分の力を発揮できる環境が転職に求められるようになっています。
転職してからの満足度は仕事のやりがいが一番高い結果です。
転職では労働条件の改善や給与アップも大切ですが、実際にはよりよい就業環境であることが満足度のポイントになっているといえるでしょう。
中途採用するときの給与設定は前職の給与をベースにすることも多く、転職時の給与には満足していない人も、転職してからの活躍次第で、大いに昇給のチャンスはあります。



【参考】
・厚生労働省ウェブサイト
・ハローワークインターネットサービス