キーワード概説
メンター制度
メンター制度とは、新入社員や後輩社員など育成の対象者(メンティ)を、知識や経験のある先輩社員(メンター)が、支援する制度のことです。
キャリアを形成するうえで、課題の解決を援助して、個人の成長を支えるとともに、職場での悩みや問題解決をサポートする役割を果たします。
原則として、メンターとメンティは1対1の関係で進められます。
メンターはメンティの業務やプライベートの相談に乗ることで、個人的な成長を支援していきます。
メンター制度は、メンティの育成が目的ですが、メンティだけでなく、メンター側を育成する施策としても有効とされています。
メンターはメンティの指導や育成を通じて、業務の習熟度やコミュニケーション力、マネジメント力を向上させることなどに期待ができます。
メンター制度は、新入社員や後輩社員、幹部・リーダーの育成、女性活躍の推進、外国人活用、メンタルヘルス対策などさまざまな目的で導入する企業が増えています。
メンター制度の効果
メンター制度は、メンティのモチベーション向上だけでなく、メンター自身もメンティへの支援を通じて、成長できるという双方にメリットがあります。
部門・部署を越えたメンター、メンティの組み合わせにより、組織横断的な連携・ネットワークが可能となり、組織風土の活性化につながるという効果も期待されます。
- メンターの人材育成意識が向上
- メンティのモチベーション向上
- メンティの職場環境への適応
- メンティの知識・スキル獲得
- メンティの定着率の向上
- 部門や職場をまたがるこにゅにケーションの活性化
- メンティの視野拡大
- メンティ個人のニーズに沿ったキャリア開発
- メンティの職場でのリーダーシップ発揮
(厚生労働省「ロールモデルの育成およびメンター制度の導入に関するアンケート調査」より)
メンティの対象者
一般的には、新入社員や若手社員などが対象となり、新卒の新入社員であれば全員を対象とすることが多いといえます。
中途採用の若手社員などであれば、対象者を推薦制にすることもあります。
女性社員の活躍を推進するためにも有効な方法とされています。
メンティとメンターの組み合わせ
メンティの業務やスキルなどの状況と、メンターとなる社員の業務経験やスキルを考慮して、組み合わせを決定します。
新入社員の育成が目的であれば、入社3~5年程度の先輩社員をメンターに選ぶことが望ましく、幹部候補・リーダーの育成であれば、経営層がメンターになります。
選定方法には、指名、自薦、他薦があります。
事前にメンターとメンティに関する個別の情報をヒアリングし、ミスマッチを防ぐことが大切です。
- メンティのキャリアにメンターの経歴が合うか
- メンティの期待とメンターの特性が合うか
- メンティの能力開発を補強できるメンターか
メンティとメンターへの説明
メンター制度の目的や運用については、メンティとメンターそれぞれに説明をして、理解を深めておくことが必要になります。
- お互いの役割や期待、行動を事前に明確にして、誤解や混乱を防ぐ
- 効果的なメンタリングとなるようお互いに必要なスキルを身につける
- メンタリングを通じて問題が起きた場合の対処方法を理解する
メンターの役割
メンター制度の効果は、メンターによるところが大きく、メンターに誰を選定するかというだけでなく、メンターとしての役割を理解するために、事前研修を実施することも重要になります。
- メンターを引き受けることに納得していること
- メンティの育成方針を理解しておくこと
- 上司や人事担当者と連携すること
- メンティのプライバシーに配慮すること
メンターのスキル
メンターには、メンティとの信頼関係を構築するため、コミュニケーション力やコーチング力、高い倫理観などが求められます。
- 高い能力と業務実績があり、経験が豊富であること
- 人材育成の重要性を理解し、育成に熱心であること
- 仕事の優先順位がつけられ、時間管理ができていること
- 人として信頼でき、誠実であること
コミュニケーションの方法
- メンターとメンティがマッチングされ、目的や目標を確認し、互いに理解し合う
- メンター関係が進展し、さまざまな支援的行為が行われる
- 今後に向けてどうするか方向づける
メンタリング実施後
メンタリング実施期間の終了後は、仕事の取り組みや意識にどのような変化・成長があったかを振り返ります。
- メンター・メンティからのフィードバック
- 合同報告会の開催
- 経営幹部、上司への報告
- 次期以降に向けた準備 など
参考:厚生労働省ウェブサイト