新卒入社3年以内の離職率は30%を超えています。
就職するときには希望を持って入社したはずの会社を、なぜ新入社員は早期に退職するのでしょうか?
今、転職を考えている人にとっても、新卒社員の離職実態は失敗しない転職のヒントになるはずです。
新卒入社者の離職状況についてご紹介します。
新卒社員の3年以内の離職状況
入社3年以内の離職率
厚生労働省では、新規学卒就職者の就職後3年以内の離職状況について取りまとめて公表しています。
平成30年3月卒業者では、大学卒業者で約3割、高校卒業者で約4割が、就職後3年以内に離職していることがわかりました。
新卒入社3年以内の離職率
- 中学:55.0%
- 高校:36.9%
- 短大など:41.4%
- 大学:31.2%
事業所規模別の離職率
事業所規模 | 高校卒 | 大学卒 |
5人未満 | 61.9% | 56.3% |
5~29人 | 52.8% | 49.4% |
30~99人 | 44.1% | 39.1% |
100~499人 | 35.9% | 31.8% |
500~999人 | 30.0% | 28.9% |
1000人以上 | 25.6% | 24.7% |
離職率の高い産業(高校)
- 宿泊業、飲食サービス業(61.1%)
- 生活関連サービス業、娯楽業(56.9%)
- 教育・学習支援業(50.1%)
- 小売業(47.8%)
- 医療、福祉(46.2%)
- 不動産業、物品賃貸業(44.2%)
- 建設業(42.7%)
- その他のサービス業(40.9%)
- 卸売業(39.2%)
- 情報通信業(37.4%)
離職率の高い産業(大学)
- 宿泊業、飲食サービス業(51.5%)
- 生活関連サービス業、娯楽業(46.5%)
- 教育、学習支援業(45.6%)
- 医療、福祉(38.6%)
- 小売業(37.4%)
- 不動産業、物品賃貸業(34.5%)
- 学術研究、専門・技術サービス業(31.6%)
- その他のサービス業(31.1%)
- 建設業(28.0%)
- 卸売業(27.7%)
(厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」より)
20代・第二新卒の退職理由
厚生労働省の調査結果からは、若手社員が会社を辞めるのは個人的な理由がもっとも多く、続いて人間関係、労働条件の問題、キャリアに関する問題、仕事内容などが理由となっていることがわかります。
20~24歳の転職者が前職を辞めた理由
- 個人的な理由(28.8%)
- 職場の人間関係が好ましくなかったから(13.1%)
- 契約期間の満了(12.0%)
- 給料等収入が少なかったから(9.9%)
- 会社の将来が不安だったから(9.6%)
- 会社都合(7.9%)
- その他の理由(6.9%)
- 労働時間、休日等の労働条件が悪かったから(4.5%)
- 仕事の内容に興味を持てなかったから(3.4%)
- 能力・個性・資格を生かせなかったから(2.3%)
25~29歳の転職者が前職を辞めた理由
- 個人的な理由(24.6%)
- 給料等収入が少なかったから(16.5%)
- その他の理由(12.7%)
- 契約期間の満了(8.9%)
- 会社の将来が不安だったから(8.1%)
- 仕事の内容に興味を持てなかったから(6.9%)
- 労働時間、休日等の労働条件が悪かったから(6.2%)
- 職場の人間関係が好ましくなかったから(5.8%)
- 結婚(4.3%)
- 能力・個性・資格を生かせなかったから(2.8%)
(厚生労働省「令和3年上半期雇用動向調査結果」より)
退職理由の具体例
給与、キャリア、人間関係、仕事内容などの退職理由では、共通した問題となっていることがあります。
給与・待遇の問題
- 適正に評価・処遇されている実感がない
- 給与が同業他社の水準より低い
- 昇給のない状態が続いている など
キャリアに関する問題
- 自分の将来のキャリア、会社に対する不安
- 社内にキャリアモデル、ロールモデルがいない
- 人材育成するための社内体制が不十分
- 中長期的みた業界に不透明感
- 個人のキャリアと会社の方向性が一致しない
- 自己開発による次のステージへの挑戦 など
人間関係の問題
- 上司との性格のアンマッチ
- 上司のマネジメント不全
- 役職者の指導力不足
- 人間関係の気まずさ
- コミュニケーションがよくない
- 年齢の近い従業員がいない
- 職場風土との不一致
- 職場の雰囲気に馴染めない
- 会社のカルチャーと合わない
- ストレスや精神的な不調 など
仕事内容の問題
- やりたい仕事と実際の仕事のギャップ
- 仕事(のプレッシャー)についていけない
- ハードワーク・仕事内容がきつい
- 採用活動時に接した人の印象が強く、入社後の現実を直視できない
- 他にやりたい仕事が見つかった など
企業の離職防止策
企業も若手社員の離職を防ぐために、さまざまな離職防止・リテンションの施策を行うようになっています。
離職防止策の例
- 上司による定期的な面談
- キャリアパスの明確な提示
- 公正・透明な評価の導入
- ロールモデルとなる社員の育成
- メンター制度の導入
- 組織内の関係性を密にする取り組み
- 研修などを通じた長期的育成プログラムの実施
- キャリア支援制度の導入・充実
- 本人の希望をいかした配置
- キャリアカウンセリングの導入
- 若年社員の裁量権拡大や権限委譲
- 給与水準の引き上げ
- 内定者フォロー・入社前研修
- 福利厚生の充実
- 成果主義型評価の導入
- 年功序列型評価の導入 など
20代・第二新卒の転職市場
20代の転職活動
20代の転職市場は活発です。
転職市場には「第二新卒」という新卒で入社してから3年程度までの転職希望者の市場もあります。
新卒だけでなく、既卒や第二新卒の採用にも積極的な企業が増え、求人数も豊富です。
第二新卒は社会人としてのビジネスマナーを身につけていること、柔軟性や成長性があることをメリットとして求人企業はとらえていますので、キャリアチェンジのチャンスが多くあります。
20代に強い転職支援サービスを利用すると、採用選考に有利な転職サポートを無料で受けることができます。
適性・適職のアドバイスから優良企業の求人紹介、応募書類の添削、面接対策のサポートなどを受けられますので、選考通過率のアップが期待できます。
転職支援サービスのメリット(例)
- キャリアカウンセリングを受けられる
- セミナーや説明会などに参加できる
- 求人情報を提供してもらえる
- 応募書類や面接対策などのアドバイスを受けられる
- 応募する企業へ推薦してもらえる
- 応募企業との連絡窓口として面接の日程調整などをしてもらえる
- 自分では直接聞きづらい待遇や条件交渉の代行をしてもらえる
まとめ
高校卒業者の約4割、大学卒業者の約3割が、新卒で入社した会社を3年以内に辞めるという傾向はここ数年変わっていません。
転職が当たり前になっている今だからこそ、しっかり業界や企業、職種研究を行って、慎重に応募先を決めることが大切です。
仕事内容や就業環境はもちろん重要ですが、自分はどう生きたいのか、しっかり自己分析をして、自分に合った働き方を見つけましょう。
参考:厚生労働省ウェブサイト