入社3年以内の離職率は30%を超えています。就職するときには希望を持って入社したはずの会社を、なぜ新入社員は早期に退職するのでしょうか?
今、転職を考えている人にとっても、新卒社員の離職実態は失敗しない転職のヒントになるはずです。
新卒社員の3年以内の離職実態
入社3年以内の離職率
厚生労働省が行った「新卒社員の離職についての実態調査」からは、大学卒業者で3割以上、大企業でも2割以上が3年以内に離職していることがわかります。
学歴別
学歴 | 中学 | 高校 | 短大等 | 大学 |
離職率 | 63.7% | 40.9% | 41.7% | 31.9% |
事業所規模別
学歴 | 1000人以上 | 500~999人 | 100~499人 | 30~99人 | 5~29人 | 5人未満 |
大学 | 23.6% | 29.2% | 31.9% | 38.6% | 49.9% | 59.0% |
高校 | 24.7% | 31.5% | 37.9% | 47.7% | 57.2% | 64.4% |
産業別(大学)
順位 | 産業 | 離職率 |
1位 | 宿泊業、飲食サービス業 | 50.5% |
2位 | 生活関連サービス業、娯楽業 | 47.9% |
3位 | 教育・学習支援業 | 47.3% |
4位 | 医療、福祉 | 38.4% |
5位 | 小売業 | 37.5% |
産業別(高校)
順位 | 産業 | 離職率 |
1位 | 宿泊業、飲食サービス業 | 66.1% |
2位 | 生活関連サービス業、娯楽業 | 60.5% |
3位 | 教育・学習支援業 | 59.4% |
4位 | 小売業 | 51.4% |
5位 | 不動産業、物品賃貸業 | 48.5% |
(厚生労働省取りまとめ「平成25年3月の卒業生」より)
20代・第二新卒の退職理由
若手社員が会社を辞めるのは「処遇に不満」「給与が安い」など労働条件の問題、「キャリアアップしたい」「この先のキャリアが見えない」などキャリアに関する問題、そして人間関係、仕事内容などが主な理由となっています。
20~24歳の離職理由
順位 | 理由 | 割合 |
1位 | 労働条件(賃金以外)が良くなかったから | 33.2% |
2位 | 給与が低かったから | 31.9% |
3位 | 満足のいく仕事内容でなかったから | 28.6% |
4位 | 人間関係がうまくいかなかったから | 27.2% |
5位 | いろいろな会社で経験を積みたいから | 16.6% |
25~29歳の離職理由
順位 | 理由 | 割合 |
1位 | 労働条件(賃金以外)が良くなかったから | 30.9% |
2位 | 会社の将来に不安を感じたから | 28.6% |
3位 | 給与が低かったから | 27.3% |
4位 | 満足のいく仕事内容でなかったから | 26.9% |
5位 | ほかによい仕事があったから | 17.3% |
(厚生労働省「平成27年転職者実態調査」より)
退職理由の具体例
給与、キャリア、人間関係、仕事内容の退職理由のなかでも、共通した問題となっていることがあります。
給与・待遇の問題
- 適正に評価・処遇されている実感がない
- 給与が同業他社水準より低い
- 昇給のない状態が続いている
キャリアに関する問題
- 自分の将来のキャリア、成長に対する不安
- 社内にキャリアモデル、ロールモデルがいない
- 人材育成するための社内体制が不十分
- 中長期的みた業界に不透明感
- 個人のキャリアと会社の方向性が一致しない
- 自己開発による次のステージへの挑戦
人間関係の問題
- 上司との性格のアンマッチ、上司のマネジメント不全、役職者の指導力不足
- 人間関係の気まずさ、コミュニケーション不全。特に、年齢の離れている職場
- 職場風土との不一致、職場の雰囲気に馴染めない、会社のカルチャーと合わない
- ストレスや精神的な不調
仕事内容の問題
- やりたい仕事と実際の仕事のギャップ
- 仕事(のプレッシャー)についていけない、ハードワーク・仕事内容がきつい
- 採用活動時に接した”人”に惹かれすぎて、入社後の現実を直視できない
- 他にやりたい仕事が見つかった
企業の離職防止策
企業も若手社員の離職を防ぐために、さまざまな離職防止・リテンションの施策を行うようになっています。
離職防止策の例
- 上司による定期的な面談
- キャリアパスの明確な提示
- 公正・透明な評価の導入
- ロールモデルとなる社員の育成
- メンター制度の導入
- 組織内の関係性を密にする取り組み
- 研修などを通じた長期的育成プログラムの実施
- キャリア支援制度の導入・充実
- 本人の希望をいかした配置
- キャリアカウンセリングの導入
- 若年社員の裁量権拡大や権限委譲
- 給与水準の引き上げ
- 内定者フォロー・入社前研修
- 福利厚生の充実
- 成果主義型評価の導入
- 年功序列型評価の導入
20代・第二新卒の転職市場
転職市場には「第二新卒」という新卒で入社してから3年以内の求職者の市場があります。新卒だけでなく、第二新卒の採用にも積極的な企業が増え、求人数も豊富です。
第二新卒は社会人としてのビジネスマナーを身につけていること、柔軟性や成長性があることをメリットとして求人企業はとらえられていますので、キャリアチェンジのチャンスが多くあります。
20代のキャリア適性診断
20代・第二新卒の転職をサポートする いい就職ドットコム
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サービスの特長
- 検査時間は約2分
- 20代向けの検査システム
- 選択肢を広げる職種分析
- 適性がわかったら個別相談もできる
まとめ
高校卒業者の40%以上、大学卒業者の30%以上が、新卒で入社した会社を3年以内に退職しています。転職が当たり前になっている売り手市場の今だからこそ、しっかり業界や企業、職種研究を行って、慎重に転職を決めることが大切です。
仕事内容や就業環境はもちろん重要ですが、自分はどう生きたいのか、しっかり自己分析をして、自分に合った応募企業を見つけましょう。

