社会人を経験してから教員を目指す人は少なくありません。
日本の学校の教員になるには、教員免許状を取得して、教員として採用されることが必要です。
教員免許の取得には、通常は大学などで単位を修得することが必要ですが、それ以外にも社会人になってから教員になれる方法があります。
教員免許状について、教員資格認定試験と普通免許状の取得方法をご紹介します。
教員の資格
教員とは
教員とは、学校(幼稚園・小学校・中学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校・高等専門学校・大学)・専修学校・各種学校(学校教育に類する教育を行う施設)・その他の教育施設において、幼児・児童・生徒・学生の教育・養護に従事する職員のことです。
教員の種類
- 幼稚園教員
- 小学校教員
- 中学校教員
- 高等学校教員
- 中等教育学校教員
- 特別支援学校教員
- 高等専門学校教員
- 大学教員
- その他の教員
(参考:総務省「日本標準職業分類」)
教員資格認定試験について
教員資格認定試験
教育資格認定試験は、通常の教員養成のコースを歩んできたか否かを問わず、教員として必要な資質、能力があると認められれば教員資格を取得できる試験です。
広く一般社会に人材を求め、教員への道を開くために文部科学省が実施しています。
幼稚園教諭二種免許状、小学校教諭二種免許状、高等学校教諭(情報)一種免許状については、認定試験に合格することで取得することができます。
特別支援学校(自立活動)教員資格認定試験は令和6年以降、当面休止されることになりました。
試験の種類
- 幼稚園教員資格認定試験
- 小学校教員資格認定試験
- 高等学校(情報)教員資格認定試験
幼稚園教員資格認定試験
文部科学省では、幼稚園と保育所の連携を促進する観点から保育士等として一定の勤務経験者が幼稚園教諭免許状を取得する方法として幼稚園教員資格認定試験を実施しています。
この試験に合格すると、幼稚園教諭の二種免許状が授与されます。
受験資格
- 幼稚園において、専ら幼児の保育に従事する職員
- 幼保連携型認定こども園において園児の教育および保育に従事する職員
- 次の施設の保育士
・児童福祉施設
・認定こども園である認可外保育施設
・地域型保育事業として認可された小規模保育施設
・地域型保育事業として認可された事業所内保育施設
・公立の認可外保育施設
・幼稚園併設型認可外保育施設
・認可外保育施設指導監督基準を満たす旨の証明書が交付された認可外保育施設
試験日
年1回(7月)
試験地
東京近郊
試験内容
筆記試験
- 教科及び教職に関する科目Ⅰ(マークシート方式)
- 教科及び教職に関する科目Ⅱ(マークシート方式)
- 幼稚園教育の実践に関する科目(記述式)
問い合わせ
独立行政法人教職員支援機構 教員資格認定試験係
小学校教員資格認定試験
文部科学省では、広く一般社会からふさわしい人材を求めるため、職業生活や自己研修などにより教員として必要な資質、能力を身につけた人が教員免許状を取得する方法として小学校教員資格認定試験を実施しています。
この試験に合格すると、小学校教諭の二種免許状が授与されます。
受験資格
高等学校を卒業した人、その他大学に入学する資格のある人
試験日
- 第1次試験:6月
- 第2次試験:9月
試験地
東京近郊及び大阪近郊
試験内容
【第1次試験】
- 教科及び教職に関する科目Ⅰ(マークシート方式)
- 教科及び教職に関する科目Ⅱ(マークシート方式)
- 教科及び教職に関する科目Ⅲ(論述式)
- 教科及び教職に関する科目Ⅳ(論述式)
※第1次試験合格者のみ第2次試験(指導案作成、模擬授業、グループ討議又は口頭試問及び課題論文作成等)を受けることができます。
問い合わせ
独立行政法人 教職員支援機構 教員資格認定試験係
高等学校(情報)教員資格認定試験
文部科学省では、広く一般社会からふさわしい人材を求めるため、職業生活や自己研修などにより教員として必要な資質、能力を身につけた人が教員免許状を取得する方法として高等学校(情報)教員資格認定試験を実施しています。
この試験に合格すると、高等学校教諭(情報)の一種免許状が授与されます。
受験資格
高等学校を卒業した人、その他大学に入学する資格のある人で情報処理技術者試験の応用情報技術者試験等の合格者
試験日
- 第1次試験:6月
- 第2次試験:9月
試験地
東京近郊
試験内容
【第1次試験】
- 教科及び教職に関する科目Ⅰ(マークシート方式)
- 教科及び教職に関する科目Ⅱ(論述式)
※第1次試験合格者のみ第2次試験を受けることができます。
問い合わせ
独立行政法人 教職員支援機構 教員資格認定試験係
教員免許状制度について
教員免許状の取得
通常、教員免許状の取得には教職課程のある大学・短期大学等で定められた単位を修得することが必要になります。
4年制大学卒業で一種免許状、短期大学卒業で二種免許状を取得することができます。
一種免許状では幼稚園から高等学校まで、二種免許状では幼稚園から中学校まで教えることができます。
4年制大学にも二種免許状の教職課程の導入が予定されています。
教員免許状の種類
- 普通免許状:全国の学校
- 特別免許状:授与を受けた都道府県内の学校
- 臨時免許状:授与を受けた都道府県内の学校(有効期間:3年)
普通免許状の取得
一般的な方法で取得可能な教員免許状は普通免許状です。
通常、教員免許状といった場合、普通免許状を指しています。
普通免許状には「一種免許状(大学卒業相当)」「二種免許状(短期大学卒業相当)」「専修免許状(大学院卒業相当)」の3つの区分があります。
指導可能な範囲に違いはありません。
教職課程のある大学・短期大学等で必要な「単位・学位」を修得し、各都道府県の教育委員会が定める書類を申請することで、教員免許状を取得できます。
小学校教諭
- 一種免許状:所定科目67単位以上の修得と学士の学位
- 二種免許状:所定科目45単位以上の修得と短期大学士の学位
- 専修免許状:所定科目91単位以上の修得と修士の学位
中学校教諭
- 一種免許状:所定科目67単位以上の修得と学士の学位
- 二種免許状:所定科目43単位以上の修得と短期大学士の学位
- 専修免許状:所定科目91単位以上の修得と修士の学位
高等学校教諭
- 一種免許状:所定科目67単位以上の修得と学士の学位
- 専修免許状:所定科目91単位以上の修得と修士の学位
幼稚園教諭
- 一種免許状:所定科目59単位以上の修得と学士の学位
- 二種免許状:所定科目39単位以上の修得と短期大学士の学位
- 専修免許状:所定科目83単位以上の修得と修士の学位
特別支援学校教諭
特別支援学校教諭の免許状は、基礎となる免許状(幼稚園、小学校、中学校、高等学校)を取得すること、特別支援教育に関する必要単位を修得して卒業することが必要になります。
普通免許状が取得できる大学
教員免許状(普通免許状)を取得することができる大学は、文部科学省のウェブサイトに一覧が掲載されています。
通信制や夜間部があれば、社会人であっても仕事と両立することができます。
社会人入試・社会人枠などを実施する大学も増えています。
教員になるには
教員の採用試験(公立学校)
公立学校の教員になるには、教育委員会が実施する教員採用試験に合格して採用されることが必要です。
私立学校であれば、それぞれ募集を行っている法人に採用されることになります。
スケジュール
- 3月~4月:募集要項
- 4月~5月:出願受付
- 5月~7月:第1次試験 ※標準日:6月16日
- 8月:第2次試験
- 9月:合格発表、採用内定
- 翌年4月1日:採用
第1次試験
- 筆記試験
・一般教養や教職教養に関する試験
・教科専門に関する試験 - 面接試験
・個人面接、集団面接、集団討論など
第2次試験
- 筆記試験:小論文
- 面接試験:個人面接、集団面接、集団討論、模擬授業など
- 実技試験:体育、音楽、美術、英会話など
- その他:適性検査
採用試験の対策
採用試験の対策としては、独学や対策セミナーなどで勉強する方法があります。
参考書や問題集、過去問題集が市販されていますので、独学でも合格を目指すことができます。
かけられる時間や費用など自分の状況に合わせて最適な方法を選ぶことが大切です。
教職教養の参考書
教職教養の問題集
まとめ
社会人経験のある教員が少しずつ増え、チャンスも広がっています。
幅広い社会から教育現場を目指す人が増えることで、現職の教員の働き方にもプラスになることが期待されます。
【参考】
・文部科学省ウェブサイト
・各試験実施機関ウェブサイト