健康志向が高まり、食に関する意識が変化するなか、専門家の活躍の場が広がっています。栄養士は集団の栄養管理が中心になり、管理栄養士は個人に合わせた専門的な栄養管理をするのが一般的です。
20代・第二新卒が管理栄養士の資格を目指すのであれば、資格を有効に活用できるよう、どんな仕事がしたいのかを見極めてからチャレンジするのがよいでしょう。
管理栄養士の資格取得
管理栄養士国家試験
栄養士の資格は栄養士養成施設を卒業すれば取得できますが、管理栄養士の資格を取るには、国家試験を受けて合格しなければなりません。国家試験の受験資格は2つです。管理栄養士養成施設の卒業または栄養士養成施設の卒業と実務経験です。
管理栄養士受験資格
- 2年制の栄養士養成施設を卒業した3年以上の実務経験者
- 3年制の栄養士養成施設を卒業した2年以上の実務経験者
- 4年制の栄養士養成施設を卒業した1年以上の実務経験者
- 4年制の管理栄養士養成施設の卒業した栄養士免許取得者
試験日
年1回(3月)
試験内容
- 社会・環境と健康
- 人体の構造と機能及び疾病の成り立ち
- 食べ物と健康
- 基礎栄養学
- 応用栄養学
- 栄養教育論
- 臨床栄養学
- 公衆栄養学
- 給食経営管理論
合格率(令和2年)
- 合計:60.4%
- 管理栄養士養成課程(新卒):92.4%
- 管理栄養士養成課程(既卒):12.0%
- 栄養士養成課程(既卒):17.8%
管理栄養士・栄養士の養成校
管理栄養士養成校
管理栄養士の養成校である管理栄養士養成施設には4年制大学と一部ですが4年制の専門学校もあります。管理栄養士養成施設を卒業するルートでは、卒業と同時に栄養士の免許を取得でき、実務経験がなくても管理栄養士の国家試験を受けることができます。
4年制大学
大学では栄養学の本格的教育が目標となっていて、より深く専門知識が身につけられます。
- 栄養学部系:人体のしくみや保健などを学ぶ
- 家政学部系:調理を中心とした生活学を学ぶ
- 農学部系:食品の成分など専門的に栄養学を学ぶ
栄養士養成校+実務経験
栄養士養成校を卒業するルートでは、栄養士の免許を取得した後に、指定の施設で栄養士として実務経験を積む必要があります。
施設は栄養士法に細かく定められていますが、病院、学校、行政機関、事業所の給食施設、企業の食品研究などです。修業年数+実務経験の合計が5年以上になると管理栄養士の受験資格が得られます。
4年制大学
4年制大学には、栄養士養成課程と管理栄養士養成課程の両方を設けている大学があります。どちらの課程でも卒業すれば栄養士の資格を取ることができます。卒業生を対象とした管理栄養士国家試験の受験対策を行う学校もあります。
短期大学
短期大学のほとんどが2年制です。栄養士専門のカリキュラムと一般教養科目の両方を学びます。卒業後に4年制大学への編入も可能です。
専門学校
専門学校の多くは2年制ですが、一部3年制、4年制もあります。専門学校では、栄養士にとって必要な実践的知識と技術を短期間で学びます。すでに大学を卒業している人が栄養士免許を取得するために通うことも多くあります。
実務経験として認められる施設
- 寄宿舎、学校、病院等の施設
- 食品の製造、加工、調理又は販売を業とする営業の施設
- 幼稚園等、小・中・高校などの学校
- 研究施設や行政機関
- その他、栄養の指導業務が行われる施設
栄養指導業務
- 献立作成
- 食品材料の選択
- 栄養に関する教育
- 栄養に関する調査研究
- 栄養行政に関する業務
- 栄養に関する相談、指導
- 栄養に関する知識の普及向上
管理栄養士・栄養士養成校への入学
入学試験
養成校の受験科目は学校によって異なります。社会人枠を設けて、社会人入試を行う学校もあり、専門学校では社会人の割合が高くなっています。女子のみの募集も多いため、栄養士になる人の多くが女性ということになります。
入試科目の例
- 4年制大学:生物・化学の必須科目 + 選択1科目
- 短期大学:必須・選択の2科目
- 専門学校:面接や作文
管理栄養士・栄養士養成校の選び方
管理栄養士・栄養士養成校の教育カリキュラムは厚生労働省が定めていますが、養成校にはそれぞれ特徴があり、卒業後の就職先もさまざまです。栄養士以外に取得できる資格などについてもさまざまですので、どんな仕事をしたいかを考え、自分に合った学校を選ぶことが大切です。
管理栄養士養成校のカリキュラム
- 社会・環境と健康
- 人体の構造と機能及び疾病の成り立ち
- 食べ物と健康
- 基礎栄養学
- 応用栄養学
- 栄養教育論
- 臨床栄養学
- 公衆栄養学
- 給食経営管理論
- 総合演習
- 臨地実習
栄養士養成校のカリキュラム
- 社会生活と健康
- 人体の構造と機能
- 食品と衛生
- 栄養と健康
- 栄養の指導
- 給食の運営
養成校の学費
大学、短期大学、専門学校でそれぞれ学費が異なります。大学の方が入学金は高く、年数が長いことから学費の合計も高くなります。
養成校の情報収集
自分に合った養成校を見つけるには、情報収集が不可欠です。全国の大学、短期大学、専門学校、塾・予備校など幅広い学校が掲載されている情報サイトでは、資格や所在地など希望の条件で学校を検索して、資料請求、願書請求、オープンキャンパス予約が簡単にできます。
学校の特徴や詳細、出願・入試情報、学費・奨学金情報など学校選びに役立つ情報がまとめて収集できて便利です。
まとめ
少子高齢化など、食事のあり方が社会的な関心を集め、管理栄養士が活躍するフィールドは広がり、資格を活かせる機会は増えています。
多くの人が栄養士の資格に加え、ステップアップ資格として管理栄養士を目指します。資格の取得には自分の状況や目標、方向性に合ったルートを選択することが大切です。


