理学療法士はリハビリテーションの国家資格です。
高齢化が進んでいる日本では、理学療法士の人数は年々増加しています。
理学療法士になるには、指定された理学療法士養成施設で学び、理学療法士の国家試験に合格する必要があります。
理学療法士養成施設では、社会人枠を設けて、特別入試を実施するなどしています。
実際に、専門学校で理学療法士を目指している人には多くの社会人経験者がいますので、20代・第二新卒からキャリアチェンジの道は開かれています。
理学療法士の資格
理学療法士とは
理学療法士はPhysical Therapist(PT)とも呼ばれます。
ケガや病気など身体に障害のある人などに、基本動作能力の回復や維持、および障害の悪化の予防を目的に、運動療法や物理療法(温熱、電気、水、光線等)などを用いて、自立した日常生活が送れるように支援する医学的リハビリテーションの専門職です。
キャリアでの活かし方

理学療法士の資格を取るには
理学療法士になるルート
理学療法士になるためには、理学療法士養成施設へ入学する必要があります。
養成校には4年制大学、短期大学(3年制)、専門学校(3年制、4年制)、特別支援学校があります。
作業療法士の資格を持っている人は養成施設で2年以上学べば受験資格を得ることができます。
夜間部のある養成施設はありますが、いまのところ通信教育はありません。
仕事を続けながら資格を取得するのは、ハードであることを覚悟しなければなりません。
①理学療法士養成校に入学する
理学療法士養成施設で理学療法士として求められる知識や技術を修得します。
養成施設は自分の希望や方向性に合った大学、短期大学、専門学校などから選びます。
まずは社会人入試や社会人枠があるかを確認してみましょう。
②理学療法士国家試験に合格する
理学療法士養成施設を卒業すると、理学療法士国家試験の受験資格を得ることができます。
理学療法士として働くためには、国家試験に合格しなければなりません。
③理学療法士の資格を取得する
国家試験に合格すると、厚生労働大臣から理学療法士の免許が付与されます。
理学療法士は、病院やリハビリテーションセンター、介護・福祉施設などで専門職として活躍しています。
理学療法士養成施設の種類
理学療法士養成施設では、社会人を対象とした入学試験が実施されています。
社会人入試では、学力だけでなく、それまでの職務経験なども考慮して、選考が行われます。
受験資格に、年齢制限や一定の就業経験年数を設けるなど、学校により違いがあります。
社会人特別入試枠は、どの学校でも多くはありませんので、一般入試の準備もしておく方が安全です。
4年制大学
理学療法に関する専門科目だけでなく、教養科目なども学び、卒業すると学士号が取得できます。
技術と知識を総合的に学べるので、応用力が身につきます。大学院に進み、研究者を目指すこともできます。
短期大学
大学と専門学校の間くらいの内容で、3年制です。
短期集中で理学療法を学べますが、学校の数は多くありません。
専門学校
現場に出るための実践的な技術を習得する専門教育が中心です。
3年制の学校が多かったのですが、4年制も増えています。
卒業後に大学院に進学することも可能です。
理学療法士養成施設の選び方
入試の準備は、学校の情報を集めるところからスタートします。
学校案内の募集要項には、募集定員、出願資格、出願期間、出願書類、入学試験科目、入学試験日程、推薦試験制度の有無、学費、奨学金などの情報があり、入学願書も添付されています。
学費は養成施設によって大きな差があります。
4年制より3年制の方が年数が少ない分、総額は少なくなります。
実習費や実習場所に行く交通費、宿泊費などもかかります。
一般入試の試験科目の例
- 数学 + 理科 + 英語
- 国語 + 英語 + 数学・生物・化学から選択
- 大学入学共通テスト など
理学療法士養成施設の情報収集
自分に合った養成施設を見つけるには、情報収集が不可欠です。
大学、短期大学、専門学校、塾・予備校など幅広い学校が掲載されている情報サイトでは、資格や所在地など、希望する条件で学校を検索し て、資料請求、願書請求、オープンキャンパス予約が簡単にできます。
学校の特徴や学部・学科 の詳細、オープンキャンパス情報、出願・入試情報、学費・奨学金情報など学校選びに役立つ情報をまとめて収集できて便利です。


養成施設のカリキュラム
理学療法士養成施設では、リハビリテーション医学に必要な知識を技術を身につけます。
具体的な科目の設定は養成施設にまかされ、学校により特色があります。
養成施設を決める際には、理学療法士として、どのような職場で、どのような仕事がしたいかを考えて、方向性に合った学習内容や実習先を設定している学校を選ぶとよいでしょう。
基礎分野
- 科学的思考の基盤
- 人間と生活
専門基礎分野
- 人体の構造と機能及び心身の発達
- 疾病と障がいの成り立ち及び回復過程の促進
- 保健医療福祉とリハビリテーションの理念
専門分野
- 基礎理学療法学
- 理学療法評価学
- 理学療法治療学
- 地域理学療法学
- 臨床実習
理学療法士の国家試験
理学療法士試験の概要
理学療法士国家試験は年1回、2月に実施されます。
受験申込期間や受験日はその年によって違います。
詳細は試験前年に官報で公示されます。
受験資格
- 高校卒業以上で、指定の理学療法士養成施設において、3年以上理学療法士として必要な知識・技能を修得した人(卒業見込含む)
- 外国の理学療法に関する学校もしくは養成施設の卒業者、または外国で理学療法士免許に相当する免許を受けた人で、厚生労働大臣が1と同等以上の知識・技能があると認定した人 など
試験日
年1回(2月)
試験地
- 筆記試験:北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、香川県、福岡県、沖縄県
- 口述試験及び実技試験:東京都
試験内容
【筆記試験】
一般問題と実地問題に区分して行われます。
- 一般問題
解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション医学(リハビリテーション概論を含む。)、臨床医学大要(人間発達学を含む。)及び理学療法 - 実地問題
運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要(人間発達学を含む。)及び理学療法
※実地問題は実技試験ではなく、治療など「実地」に基づく知識を問う筆記試験です。
【口述試験及び実技試験】
重度視力障害者に対して、筆記試験の実地問題に代えて口述試験と実技試験が行われます。
合格率
90%程度
問い合せ
理学療法士国家試験運営本部事務所
理学療法士の採用市場
理学療法士の求人・転職
理学療法士など医療従事者の有効求人倍率は他の職種と比較して高水準が続いています。
理学療法士は医療業界だけでなく、介護業界におけるニーズが急増しています。
理学療法士の活躍の場は今後も新しい分野に広がっていくと考えられます。
理学療法士の転職支援
転職エージェントなどの転職支援サービスを利用すると、業界や職種に精通した専門のアドバイザーが転職をサポートしてくれます。
まとめ
医療と介護の連携が進み、病院以外にも介護施設や訪問リハビリテーションなど多方面で理学療法士の活躍が期待されています。
これからも理学療法士の必要性や注目度は高まっていくでしょう。
社会人経験者も多く、求人ニーズも高い理学療法士は、転職、キャリアチェンジにも適した資格といえます。





【参考】
・厚生労働省ウェブサイト
・公益社団法人日本理学療法士協会サイト