理学療法士はリハビリテーションの国家資格です。高齢化が進んでいる日本では、理学療法士の人数は年々増加しています。
理学療法士になるには、指定された理学療法士養成校を卒業して、理学療法士国家試験に合格する必要があります。
理学療法士養成校では、社会人枠を設けて、特別入試を実施するなどしています。実際に、専門学校で理学療法士を目指している人には多くの社会人経験者がいますので、20代・第二新卒のキャリアチェンジの道は開かれています。
理学療法士の資格取得・キャリアチェンジ
理学療法士の養成校
理学療法士の養成校では、社会人を対象とした入学試験が実施されています。社会人入試では、学力だけでなく、それまでの職務経験なども考慮して、選考が行われます。受験資格に、年齢制限や一定の就業経験年数を設けるなど、学校により違いがあります。
社会人特別入試枠は、どの学校でも多くはありませんので、一般入試の準備もしておく方が安全です。
作業療法士の資格を持っている人は、養成校で2年以上学べば国家試験の受験資格が得られます。
4年制大学
理学療法に関する専門科目だけでなく、教養科目なども学び、卒業すると学士号が取得できます。技術と知識を総合的に学べるので、応用力が身につきます。大学院に進み、研究者を目指すこともできます。
専門学校
現場に出るための実践的な技術を習得する専門教育が中心です。3年制の学校が多かったのですが、4年制も増えています。卒業後に大学院に進学することも可能です。
短期大学
大学と専門学校の間くらいの内容で、3年制です。短期集中で理学療法を学べますが、学校の数は多くありません。
夜間部のある養成校はありますが、いまのところ通信教育はありません。仕事を続けながら資格を取得するのは、ハードであることを覚悟しなければなりません。
理学療法士養成校の入試
入試の準備は、学校の情報を集めるところからスタートします。学校案内の募集要項には、募集定員、出願資格、出願期間、出願書類、入学試験科目、入学試験日程、推薦試験制度の有無、学費、奨学金などの情報があり、入学願書も添付されています。
一般入試の試験科目の例
- 数学 + 理科 + 英語
- 国語か英語 + 数学・生物・化学から選択
- センター試験など
社会人から理学療法士の進路
理学療法士の資格を取得するには、専門学校など養成校の入学が必須となります。社会人であれば、今の仕事を続けるのか、辞めるのか、アルバイトなどをするのかなど、じっくり考えて検討する必要があります。
①仕事を辞める
学費や年数など自分の状況に合わせて、専門学校、大学、短期大学から選択します。
②仕事を辞めない
夜間部のある養成校を選択して、夕方から夜の授業に通学します。
理学療法士養成校の学費
学費は養成校によって大きな差があります。4年制より3年制の方が年数が少ない分、総額は少なくなります。実習費や実習場所に行く交通費、宿泊費などもかかります。
授業料と入学金の目安
学校の種類 | 年間授業料 | 入学金 |
国公立大学 | 約55万円 | 約30~60万円 |
私立大学 | 約90~150万円 | 約10~30万円 |
国立専門学校 | 約70万円 | 約40万円 |
私立専門学校 | 約100~150万円 | 約20~50万円 |
私立短期大学 | 約60~100万円 | 約10~25万円 |
奨学金の種類
- 民間団体の奨学金
- 学校の奨学金
- 自治体の奨学金
- 病院などの奨学金
理学療法士養成校の情報収集
自分に合った学校を見つけるには、情報収集が不可欠です。
大学、短期大学、専門学校、塾・予備校など幅広い学校が掲載されている情報サイトでは、資格や所在地など、希望する条件で学校を検索し て、資料請求、願書請求、オープンキャンパス予約が簡単にできます。
学校の特徴や学部・学科 の詳細、オープンキャンパス情報、出願・入試情報、学費・奨学金情報など学校選びに役立つ情報をまとめて収集できて便利です。
理学療法士養成校への入学
養成校のカリキュラム
理学療法士養成校では、リハビリテーション医学に必要な知識を技術を身につけます。具体的な科目の設定は養成校にまかされ、学校により特色があります。
養成校を決める際には、理学療法士として、どのような職場で、どのような仕事がしたいかを考えて、希望に合った学習内容や実習先を設定している学校を選ぶとよいでしょう。
基礎分野
- 科学的思考の基盤
- 人間と生活
専門基礎分野
- 人体の構造と機能及び心身の発達
- 疾病と障がいの成り立ち及び回復過程の促進
- 保健医療福祉とリハビリテーションの理念
専門分野
- 基礎理学療法学
- 理学療法評価学
- 理学療法治療学
- 地域理学療法学
- 臨床実習
理学療法士の国家試験
理学療法士国家試験の概要
理学療法士国家試験の受験申込期間や受験日はその年によって違います。試験の詳細は、厚生労働省のWebサイトに掲載されます。
受験資格
- 高校卒業以上で、指定の理学療法士養成施設において、3年以上理学療法士として必要な知識・技能を修得した人(卒業見込含む)
- 外国の理学療法に関する学校もしくは養成施設の卒業者、または外国で理学療法士免許に相当する免許を受けた人で、厚生労働大臣が1と同等以上の知識・技能があると認定した人など
試験日
年1回(2月)
試験内容
- 一般問題:解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション医学(リハビリテーション概論を含む。)、臨床医学大要(人間発達学を含む。)及び理学療法
- 実地問題:運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要(人間発達学を含む。)及び理学療法
※重度視力障害者に対して、実地問題に代えて口述試験と実技試験が実施されます。
合格率
90%程度
問い合せ
理学療法士国家試験運営本部事務所
まとめ
医療と介護の連携が進み、病院以外にも介護施設や訪問リハビリテーションなど多方面で理学療法士の活躍が期待されています。これからも理学療法士の必要性や注目度は高まっていくでしょう。
社会人経験者も多く、求人ニーズも高い理学療法士は、転職、キャリアチェンジにも適した資格といえます。

