輸送には、自動車やバス、電車、船、飛行機などの手段があります。
それぞれの輸送の運転手や操縦士になるには、職種ごとに免許や資格が必要となります。
転職・就職に役立つ運転手、操縦士の種類と分類をご紹介します。
運転手・操縦士の種類
輸送運転従事者
日本標準職業分類では、輸送運転従事者について、
「機関車・電車・自動車・船舶・航空機などの運転・操縦の仕事、及びその他の関連する仕事」
としています。
運転する輸送の種類に応じて、それぞれ専門的な技術や経験が必要とされます。
輸送運転の種類
- 鉄道運転
- 自動車運転
- 船舶・航空機運転
- その他の輸送
鉄道運転
鉄道運転には、鉄道・軌道の電車などを運転・操作する業務が分類されます。
電車運転士
電車運転士は、鉄道・軌道の電車、トロリーバスなどを運転する業務に従事します。
- 電車運転士
- 地下鉄運転士
- モノレール運転士
- 路面電車運転士
その他の運転士
その他、電気・ディーゼル・蒸気機関車の運転、蒸気缶の操作の業務があります。
- 鉄道機関士
- 蒸気機関士
- ディーゼル機関士
- 電気機関士
自動車運転
自動車運転には、バス、乗用自動車、貨物自動車など各種自動車を運転する業務が分類されます。
バス運転手
バス運転手はバスを運転する業務に従事します。
- 路面バス運転手
・観光路面バス運転手
・高速バス運転手
・コミュニティバス運転手
・乗合バス運転手 - 貸し切りバス運転手
- 送迎バス運転手
・シャトルバス運転手
・スクールバス運転手
・マイクロバス運転手
乗用自動車運転手
乗用自動車運転手は、乗用自動車を運転する業務に従事します。
- 自家用乗用自動車運転手
・役員車運転手 - 営業用乗用自動車運転手
・タクシー運転手
・ハイヤー運転手
・介護タクシー運転手
貨物自動車運転手
貨物自動車運転手は、貨物運送用の自動車を運転する業務に従事します。
- トラック運転手
・大型トラック運転手
・中型トラック運転手
・小型トラック運転手 - トレーラートラック運転手
・貨物トレーラー運転手
・トレーラートラック運転手 - コンクリートミキサー車運転手
- ダンプカー運転手
- タンクローリー運転手
- ごみ収集車運転手
- 自動車陸送員
その他の自動車運転手
バス・乗用自動車・貨物自動車以外の自動車を運転する業務に従事します。
- 散水車運転手
- 清掃車運転手
- レッカー車運転手
- 建設用機械車両運搬車運転手
- 産業廃棄物運搬車運転手
船舶・航空機運転
船舶・航空機運転には、船舶・航空機の機関の保全整備、水先案内、運転などの業務が分類されます。
船長(漁船を除く)
船長は、各種船舶に船長として乗り組み、船内所属員を指揮監督し、各部との連絡調整、船舶の安全維持、能率的な運航等、その船舶に関する一切の仕事を統括します。
- 貨物船船長
- コンテナ船船長
- タンカー船長
- フェリー船長
- 旅客船船長
- 作業船船長
航海士・運航士
航海士・運航士は、各種船舶に航海士として乗り組み、甲板部員を指揮監督して航海業務を掌握し、航海当直に立って操船上の責任を負うとともに船体、航海用機械器具の保存手入れ、荷役の主管、船内規律の保持、甲板部員の人事管理などの業務に従事します。
- 貨物船航海士
- 水先案内人
- 旅客船運航士
船舶機関長・機関士
船舶機関士は、各種船舶に機関長または機関士として乗り組み、機関の運転・保存整備、燃料・かん(缶)水の受領、潤滑油・船用品の受払・保管、属具の整備、その他機関部に属する業務に従事します。
- 船舶機関長
- 運搬船機関長
- 船舶機関士
- 貨物船機関士
- 旅客船機関士
航空機操縦士
航空機操縦士は、航空機に乗り組み、機長または副操縦士として航空機の操縦、その位置・針路の測定、航法上の資料の算出の業務に従事します。
- 機長
- 航空機関士
- 航空機副操縦士
- パイロット
- ヘリコプター操縦士
- 飛行船操縦士
その他の輸送の職種
操車・信号・転てつ・連結の業務、船舶の甲板における業務、他に含まれない運輸の業務が分類されます。
車掌
列車・電車・バスなどに乗務し、発車の合図、乗客・貨物の輸送、車内の秩序保持、切符の販売などの業務に従事します。
- 鉄道車掌
- 貸切バス車掌
- 観光バス車掌
- バスガイド
鉄道輸送関連業務
鉄道の駅構内において、列車の進路設定や車両の入換をするために、信号や転てつ機を制御する操作、車両の解結の際の機関車の誘導、車両の制動管の取り扱い、車両の留置計画の作成や貨車の行先表示の取り扱いなどの業務に従事します。
- 駅構内係
- 信号係
- 操車係
- 転てつ手
- 連結手
その他の運転
- フォークリフト運転手
- 遊覧船操縦士
運転手・操縦士になるには
輸送の運転手になるには、免許や資格を取得することが必要となります。免許や資格によって、運転できるものが決まっています。
【必要となる免許・資格】
- 鉄道の運転:動力車操縦者運転免許
- 営業用自動車の運転:第二種運転免許
- 船舶の操縦:海技士
- 航空機の操縦:操縦士
動力車操縦者免許
鉄道の運転士になるには、動力車操縦者免許を取得する必要があります。資格者以外は運転業務をすることができません。
鉄道運転免許の種類
- 甲種蒸気機関車運転免許
- 甲種電気車運転免許
- 甲種内燃車運転免許
- 新幹線電気車運転免許
- 第一種磁気誘導式電気車運転免許
- 第二種磁気誘導式電気車運転免許
- 第一種磁気誘導式内燃車運転免許
- 第二種磁気誘導式内燃車運転免許
- 乙種蒸気機関車運転免許
- 乙種電気車運転免許
- 乙種内燃車運転免許
- 無軌条電車運転免許
受験資格
- 21歳以上の人
※鉄道会社に所属していることが要件とはなっていませんが、一般的には鉄道会社での経験や教育を経て受験します。
試験内容
- 動力車の操縦に関して必要な身体検査
- 動力車の操縦に関して必要な適性検査
- 動力車の操縦に関する法令ならびに動力車の構造および機能に関する筆記試験
- 動力車の操縦に関する技能試験
問い合わせ
国土交通省鉄道局
自動車運転
自動車の免許は、自家用車を運転するための第一種免許と、営業車を運転するための第二種免許があります。
受験資格(第二種免許)
【大型・中型・普通・大型特殊】
- 21歳以上で、大型、中型、準中型、普通、大型特殊のいずれかの運転免許を取得していて、その期間が通算で3年以上の人
- ほかの第二種免許を取得している人
- 一定の教習を修了して、19歳以上で、大型、中型、準中型、普通、大型特殊のいずれかの運転免許を取得していて、その期間が通算で1年以上の人
【けん引】
- 大型・中型・普通・大型特殊の1.に加えて、けん引第一種免許を取得している人
- ほかの第二種免許を取得している人
- 一定の教習を修了して、19歳以上、大型、中型、準中型、普通、大型特殊のいずれかの運転免許を取得していて、その期間が通算で1年以上の人
試験日
土・日・祝日・年末年始を除く毎日(各都道府県により異なる)
試験地
全国の試験場
試験内容
- 適性
・動力
・色彩識別能力
・聴力 など - 学科
・交通法規
・自動車のメカニズムに関する正誤判定 - 技能
・直線、周回、曲線、坂道の走行
・交差点の通行
・横断歩道・踏切の通過などについての操作能力
・安全な運転の能力
問い合わせ
各都道府県警察本部運転免許課または指定自動車教習所
海技士
海技士は、船長や航海士など船舶に乗り組むことができる免許です。
船舶職員に必要な免許の種類は、航行する区域や船の大きさなどによって分かれています。
海技士の資格を取得するには、「海技士国家試験」に合格して、かつ免許の区分に応じて「海技免許講習」の課程を修了することが必要です。
受験資格
免許の種類により乗船履歴が定められています。
試験日
- 定期試験:年4回(4月、7月、10月、2月)
- 臨時試験:各地方運輸局が公示
試験地
各地方運輸局等
試験内容
- 筆記試験
・航海に関する科目
・運用に関する科目
・法規に関する科目
・英語に関する科目(5級以上) - 身体検査
・視力
・色覚
・聴力
・疾病および身体機能の障害の有無 - 口述試験
筆記試験の免除
国土交通省の登録を受けた船舶職員養成施設の課程を修了すると、養成施設の種類に応じて、それぞれの試験において筆記試験が免除されます。
問い合わせ
各地方運輸局
操縦士
航空業務を行うには、国土交通大臣の航空従事者技能証明(ライセンス)を受けなければなりません。
操縦士(パイロット)の資格は、飛行機、ヘリコプターなど航空機の種類によって分かれています。
通常、「自家用操縦士」の資格から上位の資格を取得していきます。
操縦士の資格と業務範囲
- 自家用操縦士
航空機に乗り組んで、報酬を受けないで、無償の運行を行う航空機の操縦を行うこと - 事業用操縦士
・自家用操縦士の資格者ができる業務
・報酬を受けて、無償の運行を行う航空機の操縦を行うこと
・航空機使用事業の用に供する航空機の操縦を行うこと
・機長以外の操縦者として航空運送事業の用に供する航空機の操縦を行うこと
・機長として、航空運送事業の用に供する航空機であって、構造上、一人の操縦者で操縦することができるものの操縦を行うこと - 定期運送用操縦士
・事業用操縦士の資格者ができる業務
・機長として、航空運送事業の用に供する航空機であって、構造上、その操縦のために二人を要するものの操縦を行うこと
・機長として、航空運送事業の用に供する航空機であって、特定の方法または方式により飛行する場合に限りその操縦のために二人を要するものの操縦を行うこと
受験資格
資格別に一定の年齢および飛行経験が定められています。
試験日
- 学科試験:年6回(5月、7月、9月、11月、1月、3月)
- 実地試験:学科試験合格者のみ
試験内容
学科試験と実地試験が実施され、学科試験は科目合格制度が採られています。
実地試験は、試験官が航空機に受験者と同乗して実際に飛行し、受験者の技量を見て試験を行っています。
- 飛行機
- 回転翼
問い合わせ
国土交通省航空局
運転手・操縦士の収入
運転手や操縦士として働くためには免許・資格の取得が必須です。
キャリアアップには、取得した免許・資格の運転手や操縦士として経験を積み、技術を磨いていくことが必要となります。
運転手・操縦士の平均給与
区分 | 月収 | 年間賞与等 |
鉄道運転 | 419,000円 | 1,283,300円 |
バス運転 | 325,600円 | 624,700円 |
タクシー運転 | 338,500円 | 127,900円 |
乗用自動車運転(タクシー除) | 255,200円 | 320,500円 |
営業用大型貨物自動車運転 | 371,200円 | 398,400円 |
営業用貨物自動車運転(大型除) | 334,200円 | 367,900円 |
自家用貨物自動車運転 | 300,200円 | 436,500円 |
その他の自動車運転 | 320,400円 | 495,900円 |
航空機操縦士 | 1,380,500円 | 1,224,400円 |
車掌 | 367,200円 | 1,200,900円 |
他の分類されない輸送 | 321,900円 | 705,000円 |
(厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」より)
まとめ
輸送の運転・操縦の業務を行うには、それぞれの種類に応じた免許・資格を取得する必要があります。
試験に合格するだけでなく、一定の経験や健康であることも求められます。
【参考】
・国土交通省ウェブサイト
・総務省ウェブサイト
・厚生労働省ウェブサイト
・ハローワークインターネットサービス