ベースアップ(ベア)とは

キーワード解説

ベースアップ

ベースアップとは、経済や企業の成長、消費者物価の上昇、生産性の向上、賃金相場の変化などにより、賃金表の改定により賃金水準を一律に引き上げることです。

ベア」と略されます。

ベースアップは、賃金表を書き換え、賃金全体を底上げする賃金の増額です。

春闘の賃金交渉でみられる賃金水準の引き上げ要求は、ベースアップの要求といわれます。

ベースアップは、一定の期間ごとに基本給をアップさせる定期昇給とは異なります。

賃金改定の種類には、ベースアップ以外に昇給や諸手当の変更などがあります。

「昇給+ベア」という賃金決定は、日本独自の方法として、定着してきました。

毎年春に賃上げ率(賃金引上げ率)としてメディアに発表されるのは、昇給とベアを実施した場合、平均賃金がどのくらい上昇するかを表したものです。

ベースアップと定期昇給を分けずに、まとめて改定する企業も多くみられますが、ベースアップと定期昇給は、本来、別のものです。

定期昇給の上昇率には個人差がありますが、ベースアップは全体の引き上げなので、個人による差はありません。

企業環境が変化するなかで、成果主義の賃金制度を導入するなど、ベースアップの廃止や見直しをする企業も増えています。

賃金表

賃金表は学歴、年齢、勤続年数、職務、職能などにより賃金がどのように定まっているか表にしたものです。

賃金カーブ

賃金カーブは入社後の賃金水準の推移を年齢別にグラフ上の線で描いたものです。

賃金カーブは全社員が同じなのではなく、学歴、性別、職種、業績などによって、さまざまなカーブを描きます。

ベースアップはこの賃金カーブそのものを上方に移動させることです。

賃金の改定

賃金の改定はすべてあるいは一部の正社員(常用労働者)を対象とした定期昇給、ベースアップ、諸手当の改定等のことをいいます。

ベースダウンや賃金カットなどによる賃金の減額も含まれます。

定期昇給

定期昇給はあらかじめ労働協約、就業規則等で定められた制度に従って行われる昇給のことです。

毎年4月など一定の決まった時期に増額します。

定期昇給には、個人の能力や業績評価によって決定する査定昇給と、年齢や勤続年数に基づき毎年増額される自動昇給の2つの種類があります。

定期昇給は企業の年功序列制を支えてきましたが、定期昇給を見直し、業績は賞与や一時金に反映させる動きが目立つようになっています。

諸手当の改定

諸手当の改定は各種手当の改定のことです。

この改定に時間外・休日手当および深夜手当等の割増手当や慶弔手当等の特別手当は含まれません。

ベースダウン

ベースダウンは賃金表の改定により賃金水準を引き下げることです。

物価の下落や企業業績の悪化などを理由として、ベースアップとは逆に賃金全体を引き下げるベースダウンが実施されることもあり得ます。

賃金は重要な労働条件ですので、賃金の減額は不利益変更に該当します。

不利益変更には原則として、労働者の同意が必要となります。

賃金カット

賃金カットは賃金表を変えずに、ある一定の期間について一時的に賃金(基本給、諸手当)を減額することです。

役員報酬のカットや短時間勤務による減額は含まれません。

参考:厚生労働省「賃金引上げ等の実態に関する調査」

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ベースアップ(ベア)は賃金表の改定により賃金を一律に引き上げること