身元保証書

キーワード解説

身元保証書とは

身元保証書とは、企業が従業員を採用するときに、誓約書などとともに提出を求められる入社時に必要とされる書類のひとつです。

従業員の不正行為などにより企業が損害を被った場合に、その損害を両親や親族、知人など第三者の身元保証人に賠償させることができるとする内容を定めた文書です。

身元保証契約は、企業と身元保証人の間で結ばれます。

身元保証に関しては、身元保証人の責任が過度にならないよう、身元保証法により責任範囲が限定されています。

災害時や本人と連絡が取れなくなった場合の緊急連絡先として、親族等の電話番号など個人情報の提供を求められることがあります。

一般的には、適切な雇用管理や企業秩序維持に関連する情報であれば、合理的に必要とされる範囲内と考えられます。

必要な書類を提出しない場合について、業務や手続き上の必要性が高ければ、身元保証書の提出拒否を理由として、採用の取り消し(解雇)が認められるケースもあります。

採用の取り消しに客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められなければ、無効とされる可能性があります。

採用のグローバル化に伴い、身元保証を行う制度のない国や母国の身元保証人に責任を追及する難しさが課題になっています。

また身元保証人を見つけられない層が拡大しているという問題もあります。

身元保証契約

身元保証契約とは、従業員を採用する企業と身元保証人との間において、従業員の行為によって企業が損害を被った場合に、身元保証人に対して損害を賠償させることができるようにしておく契約のことです。

両親や親族のほかに、親族以外の知人などが身元保証人になることもあります。

身元保証契約は単なる人物の保証ではなく、法律上の責任が生じることから、口頭ではなく、契約書を作成して成立すると考えられています。

身元保証人の情報は、合理的で必要性があるものに限って収集することができます。

身元保証契約の期間

身元保証契約の期間は5年を超えることができず、5年を超える期間の契約をしても、5年に短縮されます。

期間の定めがない場合には、原則として身元保証契約成立の日から3年間となります。

5年を経過した時点で、身元保証契約を更新することは可能です。

5年以内で契約更新を繰り返すこともできます。

身元保証契約の更新は可能ですが、身元保証書は入社初期における損害の賠償を目的としているため、実際には契約が更新されるケースはほとんどありません。

損害賠償責任の限定

身元保証人の責任は、一般の保証人とは異なり、法律によってかなり制限されています。

企業が被った損害は、必ずしも全額、賠償請求されるわけではありません。

身元保証人の損害賠償責任は、企業側の責任の有無、身元保証を引き受けた経緯、身元保証人の注意の程度、従業員の職務の変化などの事情を総合的に判断して、裁判所が決定します。

身元保証人の損害賠償金額について、裁判例からは損害額の全額を請求することはできないと判断される傾向になっています。

身元保証人に不利な特約をつけても無効になります。

身元保証書の限度額

2020年の民法の改正により、身元保証書に極度額(身元保証人が責任を負う金額の上限額)を定めることが義務付けられました。

極度額の定めのない契約は無効となります。

企業の通知義務と身元保証人の解除権

従業員に不誠実な行為があり、身元保証人に責任が生じるおそれがあるとき、または転勤や配置転換によって、身元保証人の監督が困難になるときには、企業は身元保証人に対して、通知を行う義務があります。

必要な通知を怠ると、損害賠償額が大幅に減額されます。

身元保証人は身元保証を継続できないと考える場合には、将来にむかって身元保証契約を解除することが認められています。

身元保証書の提出拒否

身元保証書の提出を拒否した場合、身元保証書が業務や手続きに必要不可欠な書類であれば、採用取り消し(解雇)が認められる場合があります。

身元保証書の提出拒否を理由とする採用取り消しについては、以下の点などを考慮して判断されます。

  1. 提出を求められた書類が業務や手続き(社会保険・各種手当など)をするにあたって必要性が高いかどうか
  2. 書類を提出しないことによって、雇用関係に重大な支障があるかどうか
  3. 書類の提出が採用条件となっているかどうか

入社時に提出を求められる書類

誓約書や身元保証書以外にも、入社時にはさまざまな書類の提出が求められます。

身元保証書と同様に業務や手続きで必要不可欠と認められるものについては、提出を拒否したことを理由として、採用が取り消される可能性もあります。

  • 誓約書
  • 身元保証書
  • 住民票記載事項証明書
  • 年金手帳
  • マイナンバー
  • 給与振込先口座
  • 雇用保険被保険者証
  • 源泉徴収票
  • 扶養控除等申告書 など

参考:厚生労働省WEBサイト

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  • 身元保証書の提出は一般的だが形骸化している面もある
  • 身元保証人は法律によって、保護されている
  • 実際に損害が発生したとしても、損害の全額を請求されるわけではない