中途採用における異業種・同職種、同業種・同職種の転職は、成功の可能性が高いチャレンジです。
それだけに経験者の面接では、
「なぜこの職種なのか」
「なぜこの業界なのか」
「なぜこの会社なのか」
について、明確な理由が求められます。
同じ職種に応募する経験者採用の面接では、自分の考えやキャリアに合った回答をまとめておくことが大切です。
同職種の転職面接でよくされる定番の質問に対して、どのように回答することが望ましいか、具体例とともにご紹介します。
経験者採用・転職の面接
経験者採用・転職の面接は、書類選考を通過した人に対して行われるのが一般的です。
応募書類からは把握できない職務遂行に必要となる適性や能力を評価するために行われます。
企業は応募書類の内容とギャップがないかを確認して、採用基準をクリアするかどうかを総合的に判断します。
応募者は求人内容が自分の認識と合っているかを確認して、入社するかどうかを判断します。
【採用面接の目的】
- 応募者の職務経験や要望と企業の採用条件・労働条件などの情報交換をする
- 会話のなかから応募書類や求人票からだけではわからない情報を得る
- 情報を総合的に判断して採用・入社を決定する
Q.この職種を選んだ理由を教えてください
職種に対する考えを通じて、業務の理解や入社後のイメージを描けているかが確認されています。
転職理由やキャリアプランなどとの整合性に注意して回答する必要があります。
回答例1
「入社後の研修を経て、営業部に配属となりました。
はじめはなかなか成績も上がらず、向いていないと思うこともありましたが、上司や先輩のアドバイスもあって、努力を続けるうちに成績も上げられるようになり、仕事を楽しめるようになりました。
今後もさらに営業職でキャリアを積んでいきたいと考えています。」
回答例2
「コンピューターが好きだったこと、専門的な分野でスキルを磨きたかったことから、システムエンジニアの仕事を選びました。
厳しいことも多いですが、責任のある仕事を任され、自分でも適性があると理解しています。
情報処理技術者試験の取得を進めており、さらに専門性を高めていきたいと考えています。」
解説
この質問では、職種の適性を聞かれています。
その職種を選んだ理由から、意欲的に取り組んでいるかを確認する質問です。
自分の意思とは関係なくその仕事に就き、あとから適性に気づいたケース、強みや興味などの適性から、自分の意思で選んだケースがあります。
いずれのケースもその仕事に就いた理由だけでなく、実例や成果を用いて適性があることをアピールします。
資格取得やスキルアップなど積極的な取り組みも効果的です。
Q.今後のキャリアプランを聞かせてください
具体的に多いのは「5年後、10年後」など特定の期間後にどうなっているかを問う形式です。
転職することで何を実現したいのか、なりたい自分像を伝えます。
回答例1
「現在は国内営業として働いていますが、学生時代の専攻でもあるマーケティングに関わる仕事をしたいと考えております。
また将来的には海外赴任を希望していますので、英語だけでなく、中国語など語学力アップに努めています。」
回答例2
「オンライン取引やマイナンバーなどの運用が盛んになるなか、ネット犯罪の巧妙化が進み、セキュリティの重要性が非常に高まっています。
これまでの経験を活かして、今後はセキュリティ分野に力を入れていきたいと考えています。」
解説
この質問では、キャリアプランから仕事に対する姿勢と会社への適応度が確認されます。
目標をもって自立して仕事をしているか、本人が希望するキャリアパスを応募企業で実現できるかを問う質問です。
経験者採用の面接では、事前に情報を収集して、自分のキャリアプランを応募企業に合わせて回答するのが最善のアピールです。
Q.この業界を選ぶ理由を教えてください
異業種で未経験の業界へのチャレンジであっても、応募する業界の動向については、積極的に情報収集しておくことが必要です。
単なるイメージやあこがれではなく、自分なりの考え方を準備しておきます。
NG回答例
「業界の経験はありませんが、学生の就職活動のときから強い関心があり、業界研究をしておりました。
今の仕事でも取引先がこちらの業界ですので、適応できると考えています。
わからないことは、勉強していきたいと思います。」
OK回答例
「これまでは販売店として商品の営業に携わってきましたが、完成品だけでなく、企画段階から関わっていきたいという思いが強くなり、応募いたしました。
未経験の業界ですが、取り扱う商品、営業という職種は経験がありますので、貢献できると考えています。」
解説
この質問では、業界・業種についての志望動機を聞かれています。
異業種・同職種の転職には、チャンスが多くありますが、職種によってはリスクを伴いますので、説得力のある動機の説明が求められます。
NG回答例では、以前から興味があったこと、一緒に仕事をしたことが業界を変える理由になっていますが、抽象的で説得力に欠ける内容です。
OK回答例では、業界を変えなければ実現できない理由がわかります。
Q.この業界のなかから当社を選ぶ理由を教えてください
希望する業界・業種には多数の同業他社が存在しています。
応募企業が業界内でどういったポジションにあるか、強みは何かといった客観的要素を踏まえ、応募企業でしかできないことをまとめます。
NG回答例
「子どもの頃から、御社の商品に親しみをもっていて、ブランドは常に意識してきました。
この業界であれば、ぜひ御社で働きたいと思っていましたので、求人を知ってすぐに応募いたしました。」
OK回答例
「国内市場でのブランド力、商品構成、価格帯から考えると、世界市場を拡大するチャンスが十分にあると考えています。
ご縁があって採用されるとしたら、グローバルでのマーケティング業務に力を発揮し、貢献したいと考えて、応募いたしました。」
解説
この質問では、企業についての志望動機を聞かれています。
未経験の業界を選んだなかで、特にこの企業を選ぶ明確な理由が求められます。
NG回答例では、あいまいな表現で、単なるあこがれによる応募と判断されてしまいます。
OK回答例では、業界の調査を事前に行い、自分のキャリアプランと合っていることが応募した理由だとわかります。
面接の準備
面接の準備として模擬面接をおすすめします。模擬面接とは、入室から質疑応答、退室まで面接の一連の流れを、実際と同じように練習してみることです。
実際の面接では、準備していても緊張などから思い通りにいかないことも多いものです。想定される質問に対して声に出して回答する練習をしておきましょう。
オンライン面接を行う企業が増えていますので、オンラインに対応できる準備も必要になってきています。
チェックポイント
- 姿勢
- 表情
- 声の大きさ
- 話すスピード(早口になっていないか)
- 回答のわかりやすさ
- 回答時間(1つの質問に1分が目安)
オンライン対応
- パソコンやアカウントの準備
- 安定した回線と静かな場所
- カメラや音声の確認
- 面接開始前の接続準備
- 接続トラブルに備えた確認
まとめ
同職種・キャリアアップの転職では、応募職種のニーズと自分の経験、強み、キャリアプランを合致させて説明することで、信憑性、説得力が高まります。
新卒採用ではないので、抽象的な表現ややる気系の答え方は評価されません。
未経験の業界への応募では、業界の研究をしっかり行い、面接官に入社を希望する強い意思を伝えることが大切です。
【参考】
・厚生労働省ウェブサイト
・ハローワークインターネットサービス