FASS検定(経理・財務スキル検定)は、経理・財務分野における実務知識・スキルについて客観的な指標にもとづいて習得度を5段階で評価する検定試験です。
経理・財務職の転職では、この資格を取得しておくことで、実務能力を客観的に証明することができます。
FASS検定(経理・財務スキル検定)の資格について、試験内容と勉強法をご紹介します。
FASS検定(経理・財務スキル検定)の資格
経済産業省の取り組み
経済産業省は、経理・財務部門の組織・人員配置の最適化、人材の円滑な移転を促進するために「経理・財務サービス・スキルスタンダード」を開発し、経理・財務人材の育成事業に取り組んできました。
取り組みの概要
- 経理・財務業務プロセス標準化への取り組み
「経理・財務業務マップ」完成
「経理・財務サービス・スキルスタンダード」完成 - 経理・財務人材育成プロジェクトへの取り組み
「経理・財務スキル検定プログラム開発プロジェクト」完了
FASS検定(経理・財務スキル検定)スタート
FASSフォーラム・ジャパン始動 - 内部統制分野への業務領域拡大への取り組み
「経理・財務サービス・スキルスタンダード2.0開発プロジェクト」完了
FASSアカデミー始動 - グローバル経理・財務人材育成への取り組み
FASSベーシック検定(経理・財務ベーシック検定)スタート
FASS検定(経理・財務スキル検定)とは
FASS検定(経理・財務スキル検定)は、経理・財務分野における客観的な実務知識・スキルの習得度を測る検定試験です。
経済産業省は、「経理・財務サービス・スキルスタンダード」の開発を⾏い、経理・財務⼈材育成事業を展開してきました。
検定試験は、経済産業省の委託を受けた日本CFO協会が実施・運営しています。
FASS検定(経理・財務スキル検定)は、経理・財務の実務に特化した唯一の検定試験で、スキルレベルを客観的かつ信頼性をもって測定する手段として、高い評価を得るようになっています。
検定試験は、合否ではなく、A~Eの5段階で評価が行われますので、自分に合ったスキルアップ目標を明確にすることができます。
資産・決算・税務・資金の4つの分野から出題され、分野ごとの評価が出るので、自分の課題がわかりやすくなっています。
対象者
経理・財務部門の実務経験者やこれから経理・財務部門で就業しようとしている人
役職別受験者
検定の受験者は、6割超を一般社員が占めています。
役職 | 割合 |
一般社員 | 66% |
課長・係長 | 27% |
その他 | 7% |
経験年数別受験者
検定の受験者は、7割が経験年数10年未満の未経験~ミドルクラスです。
年数 | 割合 |
経験なし | 9% |
1年未満 | 9% |
1年以上3年未満 | 18% |
3年以上5年未満 | 16% |
5年以上8年未満 | 13% |
8年以上10年未満 | 7% |
10年以上 | 28% |
(「経済産業省 経理・財務人材育成事業 公式サイト」より)
FASS検定(経理・財務スキル検定)の試験内容
FASS検定(経理・財務スキル検定)の概要
経理・財務スキル検定(FASS)は誰でも受験できますが、経理・財務部門の実務経験者や就業希望者が対象です。
受験資格
制限なし
出題範囲
出題範囲は「経理・財務サービス・スキルスタンダード」のうち、定型業務として標準化された業務が対象です。
「FASS」試験本体は、資産・決算・税務・資金の4分野から構成されています。
試験本体に回答後、任意で「オプション科目」に回答することができます。
分野 | 主な業務 |
資産分野 | 売掛債権 買掛債務管理 在庫管理 固定資産管理 ソフトウェア管理 |
決算分野 | 月次業績管理 単体決算業務 連結決算業務 外部開示業務 |
税務分野 | 税効果計算業務 消費税申告業務 法人税申告業務 連結納税申告業務 税務調査対応 |
資金分野 | 現金出納管理 手形管理 有価証券管理 債務保証管理 貸付金管理 借入金管理 社債管理 デリバティブ取引管理 外貨建取引管理 資金管理 |
オプション科目
FP&A(経営企画スキル)が追加されました。
スコアレベル
試験結果については、合否ではなく、スコアに応じて5段階(A~E)で評価されます。
(満点:800点)
レベル | スコア | 評価 |
A | ~689点 | 経理・財務分野について、業務全体を正確に理解し、自信をもって経理・財務部門の業務を遂行できるスキルをもっている。 |
B | 688~641点 | 経理・財務分野のほとんどの業務を理解し、業務を遂行できるスキルをもって いる。分野によって、知識の正確さに個人差があるものの、業務を妨げるような ことはなく、適切に対応できるスキルをもっている。 |
C | 640~561点 | 経理・財務分野について、日常の業務を行うための基本的なスキルが身についているが、自己の経験以外の業務への対応力について差が見られる。日常の業務であれば、業務を理解して、支障なく対応できるスキルをもっている。 |
D | 560~441点 | 分野によって、知識の正確性に差があり、不十分な部分が多いが、支援を受け ながら、最低限の業務を行うスキルをもっている。 |
E | 440点~ | 経理・財務分野について、部分的にしか理解できていない。今後の努力を期待する。 |
試験結果(2023年9月末現在)
- レベルA:16%
- レベルB:16%
- レベルC:29%
- レベルD:28%
- レベルE:11%
試験日
上期(5月1日~7月31日)/下期(11月1日~翌1月31日)の二期制
※同一期間内で複数回受験することはできません。
試験地
全国にある試験センターでコンピューターでの受験
問い合わせ
一般社団法人 日本CFO協会
FASS検定(経理・財務スキル検定)の勉強法
FASS検定(経理・財務スキル検定)の試験対策
FASS検定(経理・財務スキル検定)の資格を取得するには、独学や資格・通信講座で学習する方法があります。
実務経験やレベル、かけられる費用などに合わせて、自分に合った教材や学習スタイルを選択することが大切です。
FASSのテキスト&問題集
FASSの認定テキスト(上)
FASSの認定テキスト(下)
FASSの問題集
経理・財務スキル検定(FASS)対策講座
経理の仕事に役立つ講座が学べる動画サイト【経理実務の学校】では、日本CFO協会発行「経理・財務スキル検定公式学習ガイド」をもとに作成されたFASS検定対策講座が開講されています。
FASS検定の出題形式に対応し、パソコンやスマートフォン、タブレットでも学習できる動画講座です。
講座の内容
- 「経理・財務」実務講座
- 会計士や税理士などの講師陣
- FASS検定対策から税務分野未経験者までおすすめ
> 初月無料で日商簿記3,2、経理の仕事に役立つ150以上の動画が学べるサイト【Accountant’s library】
まとめ
FASS検定(経理・財務スキル検定)は、特に20代におすすめの資格です。
社内教育として導入する企業も多く、転職・就職活動では、経理・財務部門に求められる実務能力を客観的に証明することができます。
【参考】
・経済産業省 経理・財務人材育成事業 公式サイト
・一般社団法人 日本CFO協会