建築士は建物の設計・施工・工事監理を行う建築のプロフェッショナルです。
資格は一級、二級、木造の3つに分かれていて、建物の規模や用途、構造に応じて、取り扱える業務範囲が定められています。
資格や免許がたくさんある建設業界のなかでもメジャー国家資格で、資格取得者は高く評価されます。
建築士の資格についてご紹介します。
建築士とは
建築士とは、建築士法に基づく資格で、建築物の設計及び工事監視等の業務を行う技術者のことです。
建築士でなければ一定の建築物の設計・工事監理を行ってはならないこととされています。(業務独占)
建築士の資格
建築士免許は、業務の対象となる建築物の用途、規模、構造に応じて、一級建築士、二級建築士、木造建築士に分類されます。
建築士でなければ建築士名称を使用することはできません。
また建築士であっても免許のない種別の建築士名称を使用することは禁止されています。(名称独占)
対象となる建築物
- 戸建て住宅
- 集合住宅
- 特殊住宅
- 公共建築
- 事務所建築
- 商業建築
- 教育研究施設
- 図書館・美術館・博物館・動物園・植物園
- スポーツ施設
- 医療施設
- レクリエーション施設
- 福祉施設
- 文化施設
- 宗教施設
- 生産施設
- 記念施設
- 環境施設
- 交通施設
- 通信施設
一級建築士
全ての構造・規模・用途の建築物について、設計・工事監理を行うことができます。
二級建築士
比較的小規模な建築物についてのみ、設計・工事監理を行うことができます。
木造建築士
より小規模な建築物についてのみ、設計・工事監理を行うことができます。
キャリアでの活かし方
- 設計事務所
- ゼネコン
- 住宅メーカー
- 工務店
- デベロッパー
- 公務員 など
建築設計の仕事
建築設計の仕事は専門化しています。
建築物の種類や規模により、個人や組織単位など建築士の関わり方は変わってきます。
設計・工事監理
- 意匠設計
建物のデザインを設計 - 構造設計
建物の強度を - 設備設計
建物の設備 - 積算
建築施工のコスト面 - 工事監理
- 調整
総合的な管理・運営
建築士試験
建築士になるには、建築士試験に合格して、それぞれの種別の免許を受ける必要があります。
試験を受けるには、学歴や資格などの条件があります。
受験資格のない人が社会人になってから建築士を目指すのであれば、多くは専門教育を受けることが必要になるでしょう。
受験資格
- 一級建築士試験
・大学、短大、高専等において建築に関する指定科目を修めて卒業した人
・二級建築士
・建築設備士 など - 二級建築士試験
・大学、短大、高専等において建築に関する指定科目を修めて卒業した人
・高校において建築に関する指定科目を修めて卒業した人
・建築に関する専門教育を受けていない場合、建築実務経験7年以上 など - 木造建築士試験
二級建築士試験と同じ
試験日
- 一級・木造:【学科】7月【設計製図】10月
- 二級:【学科】7月【設計製図】9月
試験地
都道府県ごとに指定された都市
試験内容
【一級建築士試験】
- 学科:計画、環境・設備、法規、構造、施工
- 設計製図:あらかじめ公表された設計課題についての設計製図
【二級建築士試験・木造建築士試験】
- 学科:建築計画、建築法規、建築構造、建築施工
- 設計製図:あらかじめ公表された設計課題についての設計製図
合格率
- 一級:10%程度
- 二級:20~25%程度
- 木造:30~40%程度
問い合わせ
公益財団法人 建築技術教育普及センター
構造設計一級建築士制度
一級建築士の独占業務の対象となる建築物で、高度な専門能力を必要とする一定規模以上の建築物の構造設計については、構造設計一級建築士自ら設計を行うか、構造設計一級建築士による法適合確認(法律で定められた基準を満たしているかどうかの確認)を受ける必要があります。
構造設計一級建築士講習
- 受講資格
「一級建築士」として5年以上の構造設計の業務経験者 - 講習
・講義
構造設計総論、構造関係法令及び法適合確認、構造設計の基礎、耐震診断・耐震補強、構造設計各論
・修了考査
構造関係規定に関する科目、建築物の構造に関する科目
設備設計一級建築士制度
高度な専門能力を必要とする一定規模以上の建築物の設備設計については、設備設計一級建築士自らが設計を行うか、設備設計一級建築士による法適合確認を受ける必要があります。
設備設計一級建築士講習
- 受講資格
「一級建築士」として5年以上の設備設計の業務経験者 - 講習
・講義
電気設備の設計技術、空調・換気設備の設計技術、給排水衛生設備の設計技術、輸送設備の設計技術、建築設備関係法令、建築設備設計総論、法適合確認
・修了考査(記述式、製図)
設備関係規定に関する科目、建築設備に関する科目
建築士の定期講習
建築士事務所に所属している一級建築士、二級建築士、木造建築士には、3年ごとに定期講習を受講することが義務づけられています。
また構造設計一級建築士と設備設計一級建築士については、建築事務所に所属しているか否かにかかわらず、3年ごとに定期講習を受講することが義務づけられています。
定期講習
- 一級建築士・二級建築士・木造建築士の定期講習
- 構造設計一級建築士の定期講習
- 設備設計一級建築士の定期講習
国際的な資格審査
一級建築士として登録を受け、定められた要件を満たし、能力が認められることで、国際的に活動できる称号を使用することができるようになります。
APECアーキテクト
「APECアーキテクト」は、一級建築士登録後に3年以上の複雑な建築物の設計等の責任ある立場での実務経験をもつなどの要件を満たした登録者に与えられる称号です。
APECアーキテクト・プロジェクトに参加している国や地域においてもアーキテクトとして認められ、それぞれの国の面接審査に合格すれば、一般に課される試験などを受けることなく、現地で建築設計等の業務を行えるようになります。
APECエンジニア
「APECエンジニア」は、一級建築士の登録を受け、大学のエンジニアリング課程等を修了後に2年以上の責任のある立場での実務経験をもつなどの要件を満たした建築構造技術者に与えられる称号です。
技術者としての能力がAPEC域内で実質的に同等と認められます。
IPEA国際エンジニア
一定の要件を満たした技術者は、IPEA加盟エコノミー間において同等であるとされ、「IPEA国際エンジニア」の称号を使用することができます。
建築士の受験資格
建築士試験を受けるには、学歴や資格、実務経験などの条件があります。自分に合ったルートを選択することが重要になります。
実務経験がなく、専門教育を受けていない人は、大学などで単位を修得することで受験資格を得ることができます。
通信制のある大学などであれば、社会人が働きながらでも学ぶことができます。
大学・短期大学・高等専門学校等の必要単位(二級・木造)
- 建築設計製図(3)
- 建築計画(2)
- 建築環境工学(3)
- 建築設備(1)
- 構造力学(3)
- 建築一般構造(3)
- 建築材料(3)
- 建築生産(1)
- 建築法規(1)
- 複合・関連課目:適宜
1.~9.の計10単位と10.との合計20単位以上で受験資格を得ることができます。
単位数により免許登録時に必要となる実務経験年数は変わってきます。
建築士の試験対策
建築士の試験対策としては、独学や資格・通信講座などを受講して勉強する方法があります。学習の状況やかけられる時間、費用などに応じて自分に合った方法を選ぶことが大切です。
テキストや過去問題集が市販されていますので、独学でも合格を目指すことはできます。
独学に不安があったり、働きながら効率的に学習を進めたい人は通信講座を上手に活用することをおすすめします。
二級建築士の対策テキスト
社会人におすすめの通信講座
スタディングは、忙しい社会人でも効率的に試験対策ができるオンライン資格講座です。
合格点をクリアするための最小限の学習カリキュラムになっています。
【建築士講座】
一級建築士学科・製図総合コース、一級建築士製図対策コース、二級建築士学科・製図総合コース
- わかりやすいビデオ/音声講座
- 過去問分析に基づく必要最小限のカリキュラム
- スマホで演習できる学科対策
- 動画で学習できる製図対策
- 圧倒的な低価格
まとめ
建築士の求人ニーズは高く、採用条件の常にランキング上位です。設計事務所や建設会社などでは、従業員に一級の取得を奨励しています。
その他にもハウスメーカーや工務店、リフォーム会社、不動産会社、建設設備・資材メーカーなど関連業界のキャリアで活かすことができます。
【参考】
・国土交通省ウェブサイト
・公益財団法人 建築技術教育普及センター