建物の建設、内装、インフラ工事、メンテナンス、リフォームなど生活に欠かせない仕事が多い建設・土木業界。
業界の転職は売り手市場で、特に技術者の求人は高い水準を維持しています。技術系の資格者は引く手あまたの状況です。
転職・就職に有利なおすすめ建築・土木系資格をご紹介します。
建築・土木系の資格
建築士
建築士は建物の設計・施工・工事監理を行う建築のプロフェッショナルです。資格は一級、二級、木造の3つに分かれていて、建物の規模や用途、構造に応じて、取り扱える業務範囲が定められています。建築業界のメジャー国家資格で、多様な領域で活躍しています。
キャリア活用法
建築士の業務範囲
- 一級:全ての構造・規模・用途の建築物について、設計・工事監理を行える
- 二級:比較的小規模な建築物についてのみ、設計・工事監理を行える
- 木造:より小規模な木造建築物についてのみ、設計・工事監理を行える
受験資格
- 一級:大学で指定科目を修めた卒業者で実務経験2年以上など
- 二級:大学、専門学校などで指定科目を修めた卒業者。建築の専門教育を受けていない場合、実務経験7年以上など
- 木造:二級と同じ
試験日
- 一級・木造:【学科】7月【設計製図】10月
- 二級:【学科】7月【設計製図】9月
試験内容
- 学科:計画、環境・設備、建築法規、建築構造、建築施工
- 設計製図:設計課題についての設計製図
合格率
- 一級:10%程度
- 二級:20~25%程度
- 木造:30~40%程度
問い合わせ
公益財団法人 建築技術教育普及センター
転職・就職情報
建築士の求人ニーズは高く、採用条件の常にランキング上位です。設計事務所や建設会社などでは、社員に一級の取得を奨励しています。建築士の設計業務の人気は意匠設計、構造設計、設備設計の順で、転職・就職のハードルも高くなります。
一級建築士の過去問題集
建築設備士
建築設備士は建築設備全般についての知識と技術をもち、建築士に対して高度化・複雑化した建築設備の設計・工事監理に関する適切なアドバイスを行える資格者です。
受験資格
- 大学、専修学校(専門課程、修業年限4年以上で120単位以上修了)を卒業後、建築設備に関する実務経験2年以上
- 短期大学、高等専門学校、専修学校(専門課程、修業年限2年以上で60単位以上修了)を卒業後、建築設備に関する実務経験4年以上
- 高等学校、専修学校(専門課程)を卒業後、6年以上の建築設備に関する実務経験
- 一級建築士、一級電気工事施工管理技士、一級管工事施工管理技士、空気調和・衛生工学会設備士、第1種、第2種または第3種電気主任技術者の資格を持ち、建築設備に関する実務経験2年以上
- 建築設備に関する実務経験9年以上
- これらと同等以上の知識及び技能を有すると認められる者
試験日
- 一次試験:6月
- 二次試験:8月
試験内容
- 一次試験:学科
- 二次試験:設計製図
合格率
20%程度
問い合わせ
公益財団法人 建築技術教育普及センター
転職・就職情報
建築設備士は4年以上の実務経験で一級建築士試験、実務経験なしでも二級建築士と木造建築士の受験資格が得られます。建設業界、空調・衛生設備関係の転職・就職やキャリアアップに有利です。
建築設備士学科試験の過去問題集
建築施工管理技士
建築施工管理技士は鉄筋工事や大工工事、内装仕上げ工事など建築工事の施工計画を作成し、現場での工程管理や品質管理、安全管理などを指導監督するための国家資格です。
受験資格
- 大学、短期大学、高等専門学校、高等学校の卒業者
- 二級建築士、建築施工管理技術検定2級の資格取得者(1級のみ)
- 建築設備に関する実務経験者
※それぞれに応じて実務経験年数が必要。1級受験者は実務経験年数に「指導監督的実務経験」を1年以上含む。
試験日
- 1級:【学科】6月【実地】10月
- 2級:【学科】6月・11月【実地】11月
試験内容
学科と実地
合格率
- 1級:【学科】40~50%【実地】35~45%
- 2級:【学科】40~50%【実地】30~40%
問い合わせ
一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部
転職・就職情報
建設・土木系企業でのニーズが高く、建設業界の転職・就職に有利です。資格手当や給与でも優遇されています。
建築施工管理技士学科試験の過去問題集
土木施工管理技士
土木施工管理技士は建設技術者の国家資格です。土木工事には、河川、港湾、道路、鉄道、上下水道工事など公共施設も多く、資格者のニーズは非常に高いです。
受験資格
- 大学、短期大学、高等専門学校、高等学校の卒業者
- 土木施工管理技術検定2級の合格者(1級のみ)
- 専任の主任技術者として1年以上の経験者(1級のみ)
- 1級で15年以上、2級で8年以上の実務経験者
試験日
- 1級:【学科】7月【実地】10月
- 2級:【学科】2月・10月【実地】10月
試験内容
学科と実地
合格率
- 1級:【学科】55%程度【実地】35%程度
- 2級:【学科】50%程度【実地】30%程度
問い合わせ
一般財団法人 全国建設研修センター
転職・就職情報
施工現場での安全性や工程、品質が重視される傾向が高まり、実務経験者の転職は特に有利な状況です。業界での評価も高くなっています。
土木施工管理技士の過去問題集
電気工事士
電気工事士は住宅や店舗、工場などの電気工事に従事する技術者の業務独占の国家資格です。工事自体の需要が多いので、人気が高く、建設業界の資格者のニーズも安定しています。
受験資格
制限なし
試験日
- 第一種:【筆記】6月【技能】9月
- 第二種:【筆記】6月・9月【技能】7月、12月
試験内容
- 筆記:マークシート、四肢択一
- 技能:作業用工具を使用し、配線図で与えられた問題を一定時間内に完成させる
合格率
- 第一種:30%程度
- 第二種:35~45%程度
問い合わせ
一般財団法人 電気技術者試験センター
転職・就職情報
配線設備工事やメンテナンスなど建設にかかわる多くの業種でニーズがあり、この資格だけでも転職・就職に有利です。
電気工事士筆記試験のおすすめテキスト
インテリアコーディネーター
インテリアコーディネーターは建築物内部のインテリアをプロデュースする専門家で、女性に人気の民間資格です。
キャリア活用法
受験資格
制限なし
試験日
- 一次:10月
- 二次:12月
試験内容
- 一次:択一式筆記試験(学科)
- 二次:筆記試験(プレゼンテーション・論文)
合格率
20%程度
問い合わせ
公益社団法人 インテリア産業協会
転職・就職情報
合格者の約6割はインテリア関連に携わっていることから、業界経験者のキャリアアップに向く資格といえます。最近の住宅市場は中古物件のリノベーションが注目を集め、インテリアコーディネーターの活躍の広がりに期待がもてます。
インテリアコーディネーターの公式テキスト
インテリアプランナー
インテリアプランナーはインテリア空間の計画・設計・工事監理からメンテナンス、コンサルティングまで行う専門家の民間資格です。
時代や社会背景を踏まえて、プランを提案し、実現することが求められます。
キャリア活用法
- デザイン事務所
- 施工会社
- 設計事務所
- 建設会社
- 住宅販売会社
- 住宅リフォーム会社
- 家具メーカー
- 家電メーカー
受験資格
- 学科:制限なし
- 設計製図:学科試験の合格者
※登録するには学歴・実務制限あり
試験日
- 学科:6月
- 設計製図:11月
試験内容
- 学科:インテリア計画、インテリア装備、インテリア施工、インテリア法規、建築一般
- 設計製図:建築物における空間の使われ方、生活のイメージが判るようなインテリア設計
合格率
- 学科:50~60%
- 設計製図:30%程度
問い合わせ
公益財団法人 建築技術教育普及センター
転職・就職情報
成長する住宅リフォーム業界ではインテリアリフォームの拡大が見込まれています。インテリアに関するエキスパートとして活躍が期待されます。
インテリアプランナーのガイドブック
福祉住環境コーディネーター
福祉住環境コーディネーターは高齢者や障がい者の居住空間を提案するための公的資格です。
検定試験は3級から1級まで設定されていて、全国の商工会議所が年2回、実施しています。
受験資格
2・3級は制限なし。
※ただし1級は申込登録の時点で2級に合格していること
試験日
- 1級:11月
- 2・3級:7月、11月
試験内容
- 1級
・これからの社会に求められる福祉住環境整備
・福祉住環境コーディネーター1級の目標と役割
・地域で支える高齢者ケア
・地域で支える障害者ケア ほか - 2級
・高齢者・障害者を取り巻く社会状況と住環境
・福祉住環境コーディネーターの役割と機能
・障害のとらえ方
・リハビリテーションと自立支援 ほか - 3級
・少子高齢社会と共生社会への道
・福祉住環境整備の重要性・必要性
・在宅生活の維持とケアサービス
・高齢者の健康と自立 ほか
合格率
- 1級:10%程度
- 2級:30%程度
- 3級:60%程度
問い合わせ
東京商工会議所 検定センター
転職・就職情報
福祉と建築をつなぐ将来性のある資格として、建築業界、医療業界、福祉業界で活用できます。他の建築や福祉系の資格とセットでアピール力が増します。
福祉住環境コーディネーターの公式テキスト
宅地建物取引士
宅地建物取引士は不動産取引において、物件の法的な説明をして、説明書面と契約書面にサインするのは、宅地建物取引士のみに認められた業務です。宅建は不動産業界はもちろん一般ビジネスパーソンにとっても、基本的な法律知識が身につく国家資格として人気です。
キャリア活用法
- 不動産会社
- 建設会社
- ハウスメーカー
- マンション管理会社
- 銀行・保険会社など
受験資格
制限なし
試験日
年1回(10月)
試験内容
学科試験(マークシート方式)
合格率
15%程度
問い合わせ
一般財団法人 不動産適正取引推進機構
転職・就職情報
試験内容が法律の基礎的な内容なので、不動産業界だけでなく、建設業界でもビジネス―パーソンとしてのスキルアップをアピールできます。
宅地建物取引士のおすすめテキスト
建築・土木系の資格を取得する方法
建築・土木系の資格を取得するためには、大学や専門学校、資格・通信講座、独学などで勉強する方法があります。
資格によっては、大学や専門学校の卒業が受験資格になっているものもあります。
目指す資格や、自分の状況、かけられる時間、費用などに合わせて、勉強する方法を選択することになります。
資格取得の勉強法
専門性の高い技術系の資格や技能を短期間で効率的に取得するには、試験に対応した資格・通信講座を上手に活用することをおすすめします。
技術系通信講座
多くの企業も利用する技術講座専門のJTEXでは、資格取得や技能向上のための技術系通信講座を数多く取り扱っています。
現場で役立つ専門性の高い通信教育講座を提供していて、技能検定の学科試験が免除となる認定訓練講座もあります。
大学・専門学校
大学、短期大学、専門学校、通信制大学、塾・予備校など幅広い学校が掲載されている情報サイトでは、資格や所在地など希望する条件で学校を検索して、資料請求、願書請求、オープンキャンパス予約が簡単にできます。
まとめ
建設・土木業界は仕事自体がなくなることはなく、資格も安定して高い人気があります。求人ニーズが高い建築・土木系資格は実務経験とセットで強力な武器になります。


