弁護士、弁理士、公認会計士など難関資格者の就職先は法律事務所や特許事務所、監査法人などが典型的ですが、少しずつ一般企業で活躍する有資格者が増えています。
企業で働く場合には、資格をそのまま活かすケースだけでなく、資格者としての知識を活用して貢献することが求められます。
キャリアの可能性が広がり、働き方の多様化が進んでいます。
企業内で活かす法律・会計系資格
弁護士
司法試験の制度改革によって、弁護士の就職事情は大きく変化しています。
企業への転職希望者は多く、M&Aや商取引トラブルの複雑化に伴い企業内弁護士の活躍の場は広がっています。
日本企業より外資系企業で経験者を求める傾向があります。
企業内弁護士・法務系部門
企業の進める業務が法律に抵触しないかをチェックします。
取引先や関係先との間で問題が発生した場合には法的にどう処理するか検討します。
- 法的なチェック
- 法務リスクの対応
- 訴訟対応
受験資格
法科大学院の課程の修了または司法試験予備試験の合格により得られ、受験期間は受験資格を取得した日後の最初の4月1日から5年間です。
試験日
5月の4日間
試験内容
- 短答式:憲法、民法、刑法
- 論文式:公法系科目、民事系科目、刑事系科目、選択科目
合格率
20%程度
弁理士
弁理士は、知的財産権に関する業務を行うための国家資格です。
主に特許・意匠・商標の出願手続きを行います。
企業において出願等の知財業務を行う場合は弁理士資格は必要ではないので、弁理士の資格を持っていても、他の知財部員と同じ業務内容を行うこともあります。
企業内弁理士・知財系部門
自社の発明や商品を「特許権」「意匠権」「商標権」などの知的財産として権利化、保有知的財産を活用、管理します。
- 社内の技術を権利化
- 出願方針の策定
- ライセンス交渉
- 特許・実用新案、意匠、商標権に関する訴訟サポート
受験資格
制限なし
試験日
- 短答式筆記試験:7月
- 論文式筆記試験
・必須科目:8月
・選択科目:9月 - 口述試験:12月
試験内容
- 短答式
特許法、実用新案法、意匠法、商標法、工業所有権に関する条約、著作権法、不正競争防止法 - 論文式(短答式筆記試験の合格者のみ)
工業所有権に関する法令(特許法、実用新案法、意匠法、商標法)と選択科目
合格率
6~10%程度

公認会計士
会計監査に関する業務を行うための国家資格です。
会計監査のほかに財務業務やコンサルティング業務、税務業務を行います。
最近ではさらに金融とIT関連業務が加わり、多彩なキャリアの可能性があります。
内部監査・経理・財務系部門
- 業務監査
- 企業財務会計
- 連結決算・原価管理
- IPO
- システム監査
受験資格
制限なし
試験日
- 短答式試験:5月、12月
- 論文式試験:8月
試験内容
- 短答式
財務会計論、管理会計論、監査論、企業法 - 論文式(短答式試験合格者と免除者のみ)
会計学、監査論、企業法、租税法、経営学、経済学、民法、統計学
合格率
6~10%程度
USCPA(米国公認会計士)
USCPA(米国公認会計士)は、米国の公認会計士資格です。
米国の資格でありながら、日本でも多くの人がチャレンジしています。
州によって日本受験が可能です。
管理系部門
- 経理・財務部門
- 法務部門
- 内部監査部門
受験資格
USCPA試験の受験資格は、大きく「学位要件」と「単位要件」に分類することができます。
州ごとに各要件が異なります。
受験地
アラスカ州、バーモント州、モンタナ州、グアム、ワシントン州などは日本受験が可能です。
試験形式
コンピュータ形式の試験となり、受験者はコンピュータのモニター画面に出題される問題に対して解答を入力します。
- 受験者ごとに異なる問題が出題
- コンピューター上の各種機能を用いて解答
科目合格制度
USCPA試験では、1科目ずつの受験が可能で、各科目とも75点以上で合格となります。
科目合格の有効期限は18ヵ月で、この期間内に全4科目合格できていない場合には、合格科目が失効してしまいます。
合格率
40~50%
転職・就職情報
グローバル企業などで、専門性と英語力を両方証明できます。
海外駐在員や海外出張要員などの採用でも有利です。
日商簿記検定1級
日商簿記検定は経営管理に役立つ知識として、企業が応募者に最も求める資格のひとつです。
業種や規模を問わず必要な知識として、簿記検定合格者に対するニーズは根強く安定しています。
1級は「極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析を行うために求められるレベル」(日本商工会議所)です。
管理・営業系部門
- 企業の経理・財務部門
- 利益率を重視する営業職
- コスト管理を求められる管理職候補
- 取引先企業の経営状態を把握する幹部候補
受験資格
制限なし
試験日
- 統一試験:【1~3級】6月、11月【2・3級】2月
- ネット試験:随時
試験内容
- 1級:商業簿記・会計学、工業簿記・原価計算
- 2級:商業簿記、工業簿記
- 3級:商業簿記
合格率
- 1級:10%程度
- 2級:20~30%
- 3級:50%程度
合格基準
70%以上の得点率かつ1級は各科目40%以上
取得の難易度
簿記の勉強を本格的に始めて、半年~1年程度で2級。さらに2級合格者が半年程度の学習をして1級が受かるレベルです。

法律・会計系資格の取得方法
資格を取得するには、独学や資格・通信講座で勉強する方法があります。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、自分の状況やかけられる時間、費用に合わせて選択することになります。
難関資格を短期間で取得するためには、自分に合った資格・通信講座を上手に活用することをおすすめします。
法律・会計系資格講座
資格スクエア | 資格試験のオンライン講座【資格スクエア】 法律・会計資格試験に最短合格するための学習方法を、適正価格で提供しています。 |
LEC東京リーガルマインド | LEC学習センター |
クレアール | 資格★合格クレアール バリュープライスで資格試験の合格を目指せる映像講義 ![]() 国家資格、各種検定など資格のWebスクールです。教育訓練給付対象講座もあります。 |
ヒューマンアカデミー | ヒューマンアカデミーの通信講座 各種資格取得、就職・転職などキャリアアップを目指せる資格スクールです。講座によっては、最寄りの校舎で通学のスクーリングにも参加可能です。 |
まとめ
難関資格保有者の就職先として定番だった大手の法律事務所、監査法人に就職しても、一生勤務するというキャリアが一般的ではなくなってきています。
日商簿記検定1級は経理・財務部門だけでなく、実社会で幅広く応用することができる資格であり、難関資格保有者のキャリアパスはさらに多様化していくことが考えられます。


