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建設・ゼネコンの業界研究【概要・企業・動向】-転職・就職に

東京オリンピック・パラリンピック開催を追い風に、大型再開発が進むなど、建設業界では好調な状況が続いてきました。

オリンピック後も大型再開発や国土強靭化の工事など建設需要は継続しています。

転職・就職で押さえておきたい建設業界の動向、売上高ランキング、採用市場をご紹介します。

建設業界の最新動向(2023年)

建設業とは

建設業とは、注文や自社の建設によって工事を行う事業のことです。

総合建設では、土木施設や建築物の完成を請け負ったり、自社で建設します。

建設工事の専門化、分業化に対応するために、建設業界は重層下請け構造になっています。

スーパーゼネコンから全国のゼネコン、ゼネコンの下請けとして専門工事業者、さらに実際の設備工事を下請けする協力業者が連なります。

建設業界は、戦後から高度成長期、バブル期を通して、日本の発展とともに成長してきました。

その後は、デフレ経済や建設投資の減少などにより、厳しい状況が続いていましたが、東日本大震災からの復興や東京オリンピックなどによって建設需要が高まりました。

その後も建設需要は継続していますが、各社は不動産開発やインフラなど事業の拡大を進めています。

建設業の種類

建設業として許可を受けられるのは、2つの総合的な工事とその他の専門工事の業種に分類されます。

  • 土木一式工事業
    総合的な企画・指導・調整のもとに土木工作物を建設する工事
  • 建築一式工事業
    総合的な企画・指導・調整のもとに建築物を建設する工事
  • 専門工事業
    その他の専門工事

スーパーゼネコン

ゼネコン(総合建設会社)が手掛ける工事は土木、建築に大別されます。

日本の建設大手5社は「スーパーゼネコン」と呼ばれます。

首都圏を中心に高層ビル新築やインフラ改修需要が拡大していますが、建設技術者の不足が課題になっています。

BIM(3次元設計施工)を活用したデジタル化を進め、生産性向上を急いでいます。

鹿島

ダムやトンネルなど土木に強み。

不動産開発やM&Aも積極的に進めています。

  • 設立:1930年
  • 本社:東京都
  • 従業員数:19,295人
  • 平均年齢:44歳

大林組

都市開発に強み。東京スカイツリーを建設。

不動産開発にも力を入れています。

  • 設立:1936年12月
  • 本社:東京都
  • 従業員数:15,470人
  • 平均年齢:43歳

大成建設

新国立競技場などのプロジェクトに参画。

大型土木から戸建て住宅まで幅広く手掛けています。

  • 設立:1917年12月28日
  • 本社:東京都
  • 従業員数:14,518人
  • 平均年齢:43歳

清水建設

民間建築が主力。

環境エネルギー関連にも力を入れています。

  • 設立:1937年
  • 本社:東京都
  • 従業員数:19,661人
  • 平均年齢:43歳

竹中工務店

関西地盤の非上場企業。あべのハルカスを設計・施工。

建築専門で土木は子会社が担当しています。

  • 設立:1909年
  • 本社:大阪府
  • 従業員数:13,212人

準大手・中堅ゼネコン

ゼネコンには、建設工事に関する総合的な技術力を持ち、現場をマネジメントして、工事を完成させる役割があります。

長谷工コーポレーション

マンション建築で首位。

管理や仲介、リフォームも展開しています。

  • 設立:1946年8月22日
  • 本社:東京都
  • 従業員数:7,460人
  • 平均年齢:41歳

戸田建設

公共施設の建築に強み。

大規模再開発でも多数の実績があります。

  • 設立:1936年7月10日
  • 本社:東京都
  • 従業員数:5,751人
  • 平均年齢:44歳

インフロニア・ホールディングス

前田建設、前田道路などが統合して発足。

  • 設立:2021年10月1日
  • 本社:東京都
  • 従業員数:7,149人
  • 平均年齢:40歳

三井住友建設

橋梁建設などに強み。

マンション建築にも定評があります。

  • 設立:1941年10月14日
  • 本社:東京都
  • 従業員数:5,420人
  • 平均年齢:46歳

フジタ

大和ハウス工業傘下の旧大和小田急建設と合併。

都市開発などに力を入れています。

  • 設立:2002年10月
  • 本社:東京都
  • 従業員数:3,494人

熊谷組

トンネルなど大型土木に強み。

マンション建築にも力を入れています。

  • 設立:1938年1月6日
  • 本社:東京都
  • 従業員数:4,338人
  • 平均年齢:44歳

安藤ハザマ

土木のハザマと民間建築が主力の安藤建設が合併。

  • 本社:東京都
  • 従業員数:3,669人
  • 平均年齢:46歳

西松建設

ダムやトンネルなど土木で実績。

不動産開発も行っています。

  • 設立:1937年9月20日
  • 本社:東京都
  • 従業員数:3,106人
  • 平均年齢:44歳

東急建設

東急グループ。

渋谷駅前再開発に力を入れています。

  • 設立:2003年4月10日
  • 本社:東京都
  • 従業員数:3,012人
  • 平均年齢:45歳

高松コンストラクショングループ

関西地盤に全国展開。

マンションの高松建設と土木の青木あすなろ建設が中核です。

  • 設立:1965年6月
  • 本社:大阪府、東京都
  • 従業員数:4,731人
  • 平均年齢:50歳

中堅ゼネコン

  • 鴻池組:積水ハウスが子会社化
  • 奥村組:エネルギー関連事業に注力
  • 福田組:新潟地盤に全国展開
  • 淺沼組:公共施設に実績
  • 大豊建設:特殊工法による大型土木に実績
  • 佐藤工業:トンネル工事の名門
  • 飛鳥建設:土木中心の老舗

鉄道系

  • 鉄建建設:駅舎、トンネルなどの土木建築で実績
  • 東鉄工業:JR東日本グループ

海洋土木(マリコン)

マリコンは建設会社のなかでも特に海洋土木工事を中心に請け負う会社です。

港湾施設の建設、護岸、海底工事、浚渫・埋立、橋梁の建設、海底トンネルの建設などを手掛けます。

海洋土木各社

  • 五洋建設:海洋土木首位
  • 東亜建設工業:海洋土木主体。海外に積極展開
  • 東洋建設:海洋土木大手。東南アジアに強み
  • 若築建設:海洋土木中堅。陸上土木展開

建築設計

建築工事における意匠設計、構造設計、設備設計や工事監理業務を行います。

建築設計事務所は建築士の資格によって、設計できる範囲が決められています。

大手建築設計会社

  • NTTファシリティーズ
  • 日建設計
  • 三菱地所設計
  • 日本設計
  • 久米設計

ハウスメーカー

ハウスメーカーは、建設業でありながら、製造業の特徴を持っています。

ゼネコンとの提携が進んでいます。

戸建て住宅

顧客の要望による注文住宅や建物を建ててから売る分譲住宅があります。

新築戸建てだけでは成長に限界があるため、マンションやリフォーム、中古住宅売買、海外事業の強化など収益源の多様化が進んでいます。

  1. 大和ハウス工業
  2. 積水ハウス
  3. 飯田グループホールディングス
  4. 住友林業
  5. オープンハウスグループ
  6. 旭化成ホームズ
  7. 積水化学工業
  8. 一条工務店
  9. ミサワホーム
  10. パナソニックホームズ

建設業界の売上高ランキング

建設業上位1~40位

順位企業名売上高
(百万円)
1鹿島建設2,079,695
2大林組1,922,884
3大成建設1,543,240
4清水建設1,482,961
5竹中工務店989,054
6長谷工コーポレーション909,708
7前田建設工業682,912
8戸田建設501,509
9五洋建設458,231
10熊谷組425,216
11フジタ419,487
12三井住友建設403,275
13安藤・間340,293
14西松建設323,754
15日鉄テックスエンジ268,053
16高松コンストラクショングループ263,907
17東急建設258,083
18奥村組242,458
19東亜建設工業219,814
20鴻池組205,201
21福田組179,846
22大豊建設156,520
23東洋建設152,524
24鉄建建設151,551
25淺沼組135,478
26佐藤工業122,729
27日本国土開発117,803
28飛鳥建設117,665
29東鉄工業114,718
30ピーエス三菱109,639
31ライト工業109,504
32錢高組101,903
33ナカノフドー建設96,470
34大鉄工業94,469
35矢作建設工業93,090
36岩田地崎建設89,587
37若築建設89,164
38大日本土木84,343
39イチケン83,776
40名工建設82,957

(帝国データバンク『業績動向2023-Ⅰ』より)

建設業界の採用市場

建設会社の業務

建設業界では、企画から完成までに多くの業務が関わっています。

建築・土木の営業

建築工事の営業は、建築主から直接受注する場合と建築設計事務所からの紹介で受注する場合があります。

競争が厳しくなり、競争入札が増加しています。

土木工事の営業は、官公庁の発注情報を入手することが重要です。

入札制度は工事受注の不透明さを排除し、透明化が図られています。

技術系の営業担当者が増えています。

技術・開発

技術は現場の施工における技術的な支援を行うことが仕事です。

開発は新しい工法や建設材料を開発することが主な仕事です。

建築設計

建築設計の仕事は、基本設計から詳細設計まで意匠、構造、設備の各担当が連携しながら進めていきます。

施工管理

施工管理は、専門工事会社を現場で指導しながら工事を完成まで導くことが仕事です。

施工管理者は、作業の安全から品質管理まで細部にわたって確認することが求められます。

建設業界の求人・転職

建設業界では建設人材の不足が課題になっています。

特に技術者の不足が深刻で、建築施工管理技士、土木施工管理技士、建築士、電気工事士などの技能資格があれば、チャンスが豊富です。

未経験・第二新卒の採用にも意欲的ですので、業界未経験者にも、チャンスがあります。

研修制度や資格取得支援制度、ワークライフバランスの実現、産休・育休制度、福利厚生の充実など、働く環境の整備も進んでいます。

ただし、景気の影響を受けやすい業界ですので、採用活動にも影響が出る可能性はあります。

建設業(総合工事)の給与

区分20~24歳25~29歳45.7歳
(平均)
所定内労働時間174時間172時間172時間
残業16時間19時間11時間
月収254,300円305,400円369,400円
年間賞与等459,200円957,700円1,034,600円
年収3,510,800円4,622,500円5,467,400円

(厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」より)

建設業界の転職活動

エージェントサービスを利用すると、業界や職種に精通したコンサルタントのサポートを受けることができます。

非公開・独自案件の求人紹介だけでなく、書類作成や面接対策のアドバイスなどで選考通過率のアップが期待できます。

  • キャリアの可能性を広げるコンサルティング
  • 専門性の高いコンサルタント
  • 企業との調整・交渉の代行 など

まとめ

建設業界は景気の動向に左右されやすい業界ですが、常に乗り切る対策を立てているともいえます。

少子高齢化による建設人材の不足が深刻になり、離職を減らすために、待遇改善や働きやすい環境づくりなど人材確保の取り組みに力を入れています。

建設系の技術・技能には、多くの国家資格と検定資格があります。

建設会社は社員の資格取得を奨励していますので、専門性やキャリアの方向性に応じてスキルアップしていくことをおすすめします。



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【参考】
・総務省ウェブサイト
・国土交通省ウェブサイト
・一般社団法人日本建設業連合会
・日本経済新聞出版『日経業界地図2023年版』
・東洋経済新報社『四季報業界地図2023年版』

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