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警備会社の業界研究【概要・動向】

警備会社は事故の警戒や防止の業務を請け負います。

警備業界では、深刻化する人手不足の解消に向けた取り組みが活発化し、警備大手はドローンやAIを活用するなど警備の効率化を進めています。

転職・就職で押さえておきたい警備業界の概要と動向(2025年)についてご紹介します。

警備業界

警備業とは、事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地などにおける盗難等の事故の発生の警戒や防止、人身の安全の確保、または貴重品等の運搬を行う際の盗難等の事故の発生の警戒や防止の業務を請け負う事業のことです。

警備業務

警備業務は、大きく「施設警備」「雑踏交通警備」「運搬警備」「身辺警備」に分けられます。

施設警備では、警備員を常時設置する「常駐警備」のほか、ビルや住宅にセンサーを設置し異常を検知すると警備員が現場に急行する「機械警備」があります。

需要としては施設警備、雑踏交通整備が多く、施設警備では機械警備が一般化しています。

警備業務の区分

  • 1号業務
    施設における盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務
  • 2号業務
    人や車両の雑踏する場所またはこれらの通行に危険がある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務
  • 3号業務
    運搬中の現金、貴金属、美術品等に係る盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務
  • 4号業務
    人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務

業界の動向

人手不足への対応として、ITを駆使した警備力強化に取り組んでいます。AIを用いた顔認証や不審者発見などの技術開発が進み、実用化・普及を急いでいます。

企業や富裕層だけでなく、戸建てやマンションなどでも防犯システムの導入が増えています。

サイバーセキュリティや介護、海外分野の開拓にも積極的です。

機械警備の対象施設は増え、市場を拡大することが見込まれています。

警備会社

警備業界は警備員100人未満の事業者が約9割を占めていますが、機械警備が拡大するなかで、セコムと綜合警備保障の大手2社による寡占化が進んでいます。

各社は機械警備システムの機能向上に力を入れています。

セコム(SECOM)

警備業界の最大手。

データセンターを保有し、機械警備のパイオニアです。医療、保険、不動産など多角的に展開しています。

  • 設立:1962年7月7日
  • 本社:東京都
  • 売上高:1兆1,547億円
  • 従業員数:64,744人
  • 平均年齢:44歳

綜合警備保障(ALSOK)

常駐警備は業界首位。

金融機関向けが強みです。家庭向けにも力を入れています。

  • 設立:1965年7月16日
  • 本社:東京都
  • 売上高:5,214億円
  • 従業員数:34,669人
  • 平均年齢:41歳

セントラル警備保障(CSP)

JR東日本系の警備会社。

売上高の約30%がJR関連です。機械警備を強化しています。

  • 創業:1966年3月10日
  • 本社:東京都
  • 売上高:680億円
  • 従業員数:6,539人
  • 平均年齢:45歳

アサヒセキュリティ(ASS)

セコムの完全子会社。

小売り・サービス業の集配金・売上金管理が強みです。

  • 設立:1998年5月15日
  • 本社:東京都
  • 売上高:507億円
  • 従業員数:5,984人

全日警(ANK)

常駐警備が6割の警備会社。

機械警備や警備輸送も展開しています。

  • 設立:1966年10月8日
  • 本社:東京都
  • 売上高:388億円
  • 従業員数:4,868人

セノン(SENON)

セコム系の警備会社。

常駐警備、機械警備のほか、空港警備に強みがあります。

  • 設立:1969年5月16日
  • 本社:東京都
  • 売上高:373億円
  • 従業員数:7,900人

東洋テック

関西を地盤とする警備会社。

  • 設立:1966年1月5日
  • 本社:大阪府
  • 売上高:210億円
  • 従業員数:1,953人
  • 平均年齢:43歳

セコム上信越

新潟、群馬、長野3県を地盤とする警備会社。

2021年にセコムの完全子会社となりました。

  • 設立:1967年5月25日
  • 本社:新潟県
  • 売上高:224億円
  • 従業員数:952人

トスネット

東北を地盤とする警備会社。

東日本を中心に常駐警備を展開しています。

  • 設立:1977年3月30日
  • 本社:宮城県
  • 売上高:94億円
  • 従業員数:3,258人

警備業務の資格

警備業務検定は、警備業務に必要な知識や能力を認定する警備業法で定められた国家資格です。

警備業務の中で特定の警備業務を行う場合には検定合格証明書の交付を受けている警備員に警備業務を実施させなければならないと定められています。

警備業務検定には1級と2級があり、資格を取得するには、公安委員会が行う検定を受験する方法と、登録講習機関が行う講習会を受講して修了考査に合格する方法があります。

空港保安警備業務検定

空港警備に必要な知識・能力を認定する資格です。

施設警備業務検定

オフィスビルや商業施設、イベント会場などの警備に必要な知識・能力を認定する資格です。

交通誘導警備業務検定

工事現場や通行止めでの歩行者の誘導、駐車場警備などに必要な知識・能力を認定する資格です。

雑踏警備業務検定

スポーツ、コンサートなどの会場やレジャー施設など多数の人が集まる場所の警備に必要な知識や能力を認定する資格です。

貴重品運搬警備業務検定

銀行などの金融機関の現金輸送、貴金属など貴重品の運搬などに必要な知識・能力を認定する資格です。

核燃料物質等危険物運搬警備業務検定

核燃料物質に関する事故や盗難の発生を防止するために必要な知識・能力を認定する資格です。

受検資格

  • 1級:2級合格後に1年以上の警備業務経験者など
  • 2級:制限なし

検定内容

  • 学科試験:択一式
  • 実技試験:学科試験の合格者のみ
警備業務に有利なおすすめ資格
警備員にかかわる資格は警備業法に基づく国家資格とスキルアップに活用できる民間資格があります。警備員に有利なおすすめ資格をご紹介します

まとめ

人手不足の警備業界では、新卒採用や通年採用を活発に行っています。幅広い事業・職種がありますが、まずは警備業務やセンター業務などの定型業務を習得するのが一般的です。

警備需要は法人だけでなく、マンションや賃貸物件にも広がっています。犯罪件数の増加により家庭向けサービス市場は拡大傾向です。

今後も機械警備を中心に警備需要は安定的に推移することが見込まれ、人手不足のなか業務の効率化が急がれています。

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【参考】
・総務省
・警察庁
・一般社団法人全国警備業協会
・各企業ウェブサイト
・日本経済新聞出版『日経業界地図2025年版』
・東洋経済新報社『四季報業界地図2025年版』