間接差別とは

キーワード解説

間接差別

間接差別とは、性別以外の事由を要件とする措置のうち、実質的に性別を理由とする差別につながるおそれがあるもののことです。

  1. 性別以外の事由を要件とする措置であって、
  2. 他の性の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の不利益を与えるものを、
  3. 合理的な理由がないときに講ずること

をいいます。

男女雇用機会均等法では、募集採用において「性別にかかわりなく、均等な機会を与えなければならない」と規定し、男女の差別を禁止しています。

男女差別には、性別そのものを理由とする「直接差別」、性別が理由にはなっていなくても、実質的に性別を理由とする差別になる「間接差別」があります。

「間接差別」は、外見上は性別とは関係のない規定や基準等が、一方の性のグループに相当程度の不利益を与え、その基準等に職務との関連性や合理性、正当性が認められないものを指しています。

男女が差別されることなく、活躍できる社会の実現に向けて、直接的な差別だけでなく、間接的な差別に対しても、十分な配慮が求められるようになっています。

男女雇用機会均等法による規制

企業がどのような採用を行うかは、原則として自由に決定することができますが、性別を理由とする差別は禁止されています。

  1. 募集・採用の対象から男女のいずれかを排除すること
  2. 募集・採用の条件を男女で異なるものにすること
  3. 採用選考で可否を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取り扱いをすること
  4. 募集・採用で男女いずれかを優先すること
  5. 求人内容の説明や募集・採用情報の提供について男女で異なる取り扱いをすること
  6. 結婚していることを理由に職種の変更や定年について男女で異なる取り扱いをすること

禁止される直接差別の例

  1. 募集・採用
    ・営業職を男性、事務職を女性に限定して採用すること
    ・正社員を男性、契約社員を女性に限定して採用すること
  2. 配置
    ・外勤は男性、内勤は女性のみと限定すること
  3. 昇進
    ・女性のみ年齢制限をつけること
  4. 福利厚生
    ・女性は自宅通勤のみとして、社宅利用を認めないこと

厚生労働省令で定める措置

厚生労働省令で定める3つの措置については、合理的な理由がない場合は間接差別として禁止されます。

厚生労働省令で定めるもの以外については、均等法違反にはなりませんが、裁判において違法と判断される可能性はあります。

禁止される間接差別の例①

身長、体重または体力などを募集または採用の要件にすること

  • 募集・採用にあたって、一定の身長・体重・体力を満たしていることを要件とすること
  • 複数ある採用の基準のなかに、身長・体重・体力要件が含まれていること
  • 採用選考において、身長・体重・体力要件を満たしていない応募者は特に優秀な評価をされている場合にのみ対象とすること

【該当例】

  • 荷物を運搬する業務を内容とする職務について、必要以上に強い筋力を要件とする場合
  • 荷物を運搬する業務を内容とする職務ではあるが、運搬するための設備・機械等が導入されていて、通常の作業において筋力を必要としない場合に、一定以上の筋力があることを要件をする場合
  • 単なる受付、出入者のチェックのみを行うなど防犯を本来の目的としていない警備員の職務について、身長や体重が一定以上あることを要件とする場合

禁止される間接差別の例②

募集、採用、昇進、職種の変更をする際に、合理的な理由がないにもかかわらず、転居をともなう転勤要件を設けること

  • 募集、採用、昇進または職種の変更にあたって、転居をともなう転勤に応じることができる者のみを対象とすること、または複数ある採用・昇進の基準のなかに、転勤要件が含まれていること
  • 職種の変更にあたって、転居をともなう転勤に応じることができる者のみを対象とすること、または複数ある職種変更の基準のなかに、転勤要件が含まれていること

【該当例】

  • 広い範囲に展開する支店、支社がなく、支店、支社を展開する計画もない場合
  • 広い範囲に展開する支店、支社はあるが、長期間にわたり、特別な事情により本人が転勤を希望した場合を除き、転居をともなう転勤の実態がほとんどない場合
  • 広い範囲に展開する支店、支社はあるが、異なる地域の支店、支社での勤務経験を積むこと、生産現場の業務を経験すること、地域の特殊性を経験することなどが従業員の能力の育成・確保に特に必要であるとは認められず、かつ組織運営上、転居をともなう転勤を含む人事ローテーションを行うことが特に必要であるとは認められない場合

禁止される間接差別の例③

転勤の経験があることを、昇進の要件にすること

  • 一定の役職への昇進にあたって、転勤経験者のみを対象とすること
  • 複数ある昇進の基準のなかに、転勤経験要件が含まれていること
  • 昇進の選考において、転勤の経験がない者は特に優秀な評価がされている場合にのみ対象とすること
  • 転勤経験者についてのみ、昇進のための試験を全部または一部免除すること

【該当例】

  • 広い範囲に展開する支店、支社がある企業において、異なる地域の支店、支社における勤務経験が特に必要であるとは認められず、転居とともなう転勤を含む人事ローテーションを行うことが特に必要であるとは認められないのに、転居をともなう転勤経験を昇進の要件とする場合
  • 特定の支店の管理職として職務を遂行する上で、異なる支店での経験が特に必要であるとは認められないのに、異なる支店での経験を昇進の要件とする場合

男女差別禁止の例外

男女で異なる取り扱いをしても違反とならない例外があります。

  1. 芸術・芸能など業務の遂行上、必要と認められる職務
  2. ポジティブ・アクション

ポジティブ・アクション

「ポジティブ・アクション」とは、職場における事実上の男女間の格差を是正する目的で、女性を有利に扱う措置のことです。

ポジティブ・アクションは性別の差別的な取り扱い禁止の例外として認められています。

ただし、事実上生じている格差を解消しようとする目的ではなく、単に女性を優遇する措置は認められません。

女性優遇が認められる例

  1. 募集・採用
    ・女性の応募を促すために、女性求職者を対象とした説明会を実施すること
  2. 配置
    ・配置のために必要な資格試験を女性社員のみに奨励すること
  3. 昇進
    ・昇進の基準を満たす社員のなかから、女性社員を優先して昇進させること

参考:厚生労働省「間接差別の禁止」

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  • 企業には採用の自由があるが男女差別は禁止されている
  • ポジティブ・アクションは男女雇用機会均等法の違反とならない