裁量労働制とは

キーワード解説

裁量労働制

裁量労働制とは、一定の業務に従事する従業員について、業務遂行の手段や時間配分を裁量に委ね、労働時間の計算を実労働時間ではなく、みなし労働時間で行う制度のことです。

裁量労働制においては、実際に働いた時間にかかわらず、あらかじめ定めた一定の時間の労働を行ったものとみなされます。

例えば、労使でみなし労働時間を1日8時間と定めた場合には、1日10時間勤務したとしても時間外労働にはなりませんが、1日1時間しか勤務しなかったとしても、8時間労働したものとみなされます。

裁量労働制であっても、休日出勤や深夜労働をした場合は、割増賃金が支払われます。

労働基準法上、裁量労働制は、対象となる業務に応じて「専門業務型裁量労働制」と「企画業務型裁量労働制」に区別されています。

従来は、労働時間の長さに比例した賃金が妥当であるとされてきましたが、社会の変化により、労働の量よりも質や内容に応じて、賃金を定めることが適切である働き方が増加してきました。

従業員の能力を十分に発揮できるような自律的で自由度の高いフレキシブルな働き方の実現に向けて、労働時間の管理のあり方は見直しが進む傾向にあります。

裁量労働制の対象者

  • 専門業務型裁量労働制
    制限なし
  • 企画業務型裁量労働制
    ・対象業務を適切に遂行するための知識、経験を有すること
    ・3年ないし5年程度の職務経験

裁量労働制導入の要件

  • 専門業務型裁量労働制
    ・労使協定の締結・届出
    ・対象とする業務、みなし労働時間の決定
  • 企画業務型裁量労働制
    ・労使委員会の決議
    ・決議の届出

裁量労働制の同意

  • 専門業務型裁量労働制
    個別の同意は必要とされていない
  • 企画業務型裁量労働制
    対象者の個別の同意が必要

労働基準監督署への報告

  • 専門業務型裁量労働制
    報告は必要とされていない
  • 企画業務型裁量労働制
    決議の日から6ヵ月以内に1回、定期報告が必要

専門業務型裁量労働制の対象業務

「専門業務型裁量労働制」は、以下の業務に限り、事業場の過半数労働組合または過半数代表者との労使協定を締結することにより導入することができます。

  1. 新製品、新技術の研究開発等の業務
  2. 情報処理システムの分析または設計の業務
  3. 記事の取材または編集の業務
  4. デザイナーの業務
  5. 放送番組、映画等のプロデューサーまたはディレクターの業務
  6. コピーライターの業務
  7. システムコンサルタントの業務
  8. インテリアコーディネーターの業務
  9. ゲーム用ソフトウェアの制作の業務
  10. 証券アナリストの業務
  11. 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
  12. 大学における教授研究の業務
  13. 公認会計士の業務
  14. 弁護士の業務
  15. 建築士(一級建築士・二級建築士及び木造建築士)の業務
  16. 不動産鑑定士の業務
  17. 弁理士の業務
  18. 税理士の業務
  19. 中小企業診断士の業務

企画業務型裁量労働制の対象業務

「企画業務型裁量労働制」は、企業の本社等の中枢部門で企画、立案等の業務を自らの裁量で遂行する従業員について対象とすることができます。

制度がより有効に機能するよう、制度の導入に当たり、労使の十分な話合いを必要とすることなどの基本的な枠組みは維持しつつ、導入・運用についての要件・手続が緩和されています。

  • 事業運営上の重要な事項を扱う業務
  • 企画、立案、調査、分析の業務
  • 業務の性質上、業務を遂行するためにはその方法を大幅に本人の裁量に委ねる必要がある業務
  • 業務遂行の手段や方法、時間配分について会社が具体的な指示をしない業務

参考:厚生労働省「労働時間・休日」

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  • コアタイムの設定はできない
  • 1日10時間労働でも1日1時間労働でも社員の自由
  • 業務の進め方は社員の裁量なので細かい指示はできない
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