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作業療法士を活かせる仕事

作業療法士は、動作能力を維持・改善するための作業療法を通じて、その人らしい生活ができるための支援を行っています。

作業療法士が活躍しているのは、主に病院や診療所などの医療施設です。

日本作業療法士協会調べでは75%の人が病院・診療所などの医療施設で働いていますが、社会の高齢化に伴い、介護施設や福祉施設で働く作業療法士も年々増えています。

作業療法士の資格を活かせる仕事とキャリアアップについてご紹介します。

作業療法士の資格を活かせる仕事

作業療法士とは

作業療法士(OT)は、身体または精神に障害のある人に対し、日常生活の作業を組わせて行うことで社会復帰の支援を行います。

作業療法は、基本的な動作能力から応用的な動作能力、社会的な適応能力までを維持・改善し、「その人らしい」生活をすることを目標としています。

キャリアでの活かし方

  • 医療分野
  • 介護・福祉分野
  • 労働分野
  • 保健分野
  • 教育分野
  • 司法分野 など

作業療法士の業務

作業療法士は、病院をはじめ地域の介護施設、福祉施設、教育の現場など幅広い分野で活躍しています。

主業務別の割合

  • 臨床:93.9%
  • 教育:3.0%
  • 研究:0.1%
  • 行政:0.5%
  • 相談:0.4%
  • その他:0.6%
  • 管理職:1.5%

対象疾患別の割合

  • 循環器系の疾患:51.0%
    ・高血圧性疾患
    ・虚血性心疾患
    ・その他の心疾患
    ・脳血管疾患
    ・動脈硬化症
    ・痔核
    ・その他の循環器系の疾患
  • 精神及び行動の障害:17.5%
    ・血管性及び詳細不明の認知症
    ・精神作用物質使用による精神及び行動の障害
    ・統合失調症、統合失調症性障害及び妄想性障害
    ・気分「感情」障害(躁うつ病を含む)
    ・神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害
    ・精神遅滞
    ・心理的発達及び小児/青年期に通常発達する行動/情緒の障害
    ・その他の精神及び行動の障害
  • 損傷、中毒及びその他の外因の影響:9.6%
    ・骨折
    ・頭蓋内損傷及び内蔵の損傷
    ・中毒
    ・その他
  • 神経系の疾患:7.7%
    ・パーキンソン病
    ・アルツハイマー病
    ・てんかん
    ・脳性麻痺及びその他の麻痺性症候群
    ・自律神経系の障害
    ・その他の神経系の疾患
  • 介護保険分類:5.6%
    ・虚弱老人
  • 筋骨格系及び結合組織の疾患:4.4%
    ・炎症性多発性関節障害
    ・関節症
    ・脊髄障害
    ・椎間板障害
    ・頚腕症候群
    ・腰痛及び坐骨神経痛
    ・その他の脊柱障害
    ・肩の障害
    ・骨の密度及び構造の障害
    ・その他の筋骨格系及び結合組織の疾患
  • その他の介護保険分類によるもの:2.3%
  • 呼吸器系の疾患:0.8%
  • 新生物:0.5% など

(日本作業療法士協会「2019年度日本作業療法士協会会員統計資料」より)

医療分野

医療機関で行われるリハビリテーションには、病状に応じて段階があります。

病気やケガをした直後の急性期リハビリテーション、ある程度状態が安定した頃に行われる回復期のリハビリテーション、状態がほぼ固定した段階で行われる生活期のリハビリテーションです。

治療と回復の段階に応じて、身体機能を元に戻す訓練から身体機能の回復と維持、日常生活動作の訓練を行います。

作業療法士の勤務先の内訳は、一般病院、精神科病院、特定機能病院、診療所などです。

医療関連施設

  • 一般病院
    ・一般病床
    ・療養型病床
    ・介護療養型病棟
    ・地域包括ケア病棟
    ・回復期リハビリテーション病棟
  • 特定機能病院
  • 精神病院
  • 地域医療支援病院
  • リハビリ専門病院
  • 一般診療所 など

福祉分野

医療分野に次いで多くの作業療法士が活躍しているのが、福祉分野です。

身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者、高齢者、子どもなどを対象として、作業療法を行うことで、身体や心の機能に働きかけます。

福祉施設の職員には、医師、看護師、理学療法士、言語聴覚士、臨床心理士、社会福祉士、精神保健福祉士、介護職員、介護支援専門員など多くの専門家がいます。

介護関連福祉施設

  • 老人福祉施設
  • 介護老人保健施設
  • 訪問看護ステーション など

児童福祉施設

  • 障害児通所施設
    ・児童発達支援センター
    ・通所支援事業所
  • 障害児入所施設 など

教育・職業訓練分野

教育分野には、障がいのある子どもを対象にした仕事と、作業療法士を目指す学生を対象にした仕事があります。

職業訓練分野では、障がいをもつ人が職業生活を送るうえで必要となる対人関係、役割意識、生活習慣など基本的な能力を身につけることを目的に行います。

教育機関

  • 特別支援学校
  • 作業療法士の養成校

職業訓練施設

  • 就労支援事業所
  • 地域活動支援センター など

保健行政分野

保健行政分野では、地域住民の健康維持と相談支援を担っています。

地方公務員の試験には、一括採用試験のほかに、作業療法士という専門職を募集している自治体もあります。

行政機関

  • 保健所、保健センター
  • 精神保健福祉センター
  • 児童相談所 など

作業療法士のキャリアアップ

作業療法士のキャリア

作業療法士のキャリアは進む分野により専門性が変わってきます。

医療分野でキャリアを築くのであれば、医学的な知識や技術を磨いて、専門性を高めることがキャリアアップにつながります。

日本作業療法士協会では、作業療法士が専門職として知識と技術の向上を図っていくために、生涯教育制度を実施しています。

また介護や福祉分野に携わっていくのであれば、介護支援専門員(ケアマネジャー)や社会福祉士といった資格を取得することが役立ちます。

基礎研修制度

基礎研修制度では、作業療法士として臨床実践に臨むにあたり、基礎的で共通の知識の学習と生涯学習の意義や方向性の理解を深め、臨床実践の基礎を学習します。

  1. 作業療法生涯教育概論
  2. 作業療法における協業・後輩育成
  3. 職業倫理
  4. 保健・医療・福祉と地域支援
  5. 実践のための作業療法研究
  6. 作業療法の可能性
  7. 日本と世界の作業療法の動向
  8. 事例報告と事例研究
  9. 事例検討
  10. 事例報告

認定作業療法士制度

認定作業療法士制度は、国民に質の高い作業療法サービスを提供することを目的として創設されました。

「認定作業療法士」には、作業療法の啓発と普及に貢献し、医療・保健・福祉の発展に寄与することを期待されています。

  1. 5年以上の臨床経験
  2. 生涯教育基礎研修の修了
  3. 研究研修の受講
  4. 管理運営研修の受講
  5. 専門領域研修の受講
  6. 修了試験の合格
  7. 事例報告3例以上

申請に基づき、審査に合格すると「認定作業療法士」の認定を受けることができます。

専門作業療法士制度

専門作業療法士制度では、「認定作業療法士」のうち特定の専門作業療法分野において高度かつ専門的な作業療法実践能力を持つ作業療法士について「専門作業療法士」として認定しています。

  1. 認定作業療法士であること
  2. 4実践(研修実践、臨床実践、研究実践、教育と社会貢献の実践)の修了
  3. 専門作業療法士資格認定審査(試験)に合格

介護支援専門員(ケアマネジャー)

  • 作業療法士として5年以上の実務経験
  • 介護支援専門員試験に合格

作業療法士の給与・待遇

作業療法士の給与は、施設の種類や地域によって変わってきます。

また同じ施設でも職種により別の給与体系が設定されています。

基本的には経験年数が長いほど高くなる傾向があります。

病院などでは認定・専門作業療法士の資格を持っていると、資格手当がつく場合もあります。

作業療法士の給与

区分20~24歳25~29歳35.6歳
(平均)
所定内労働時間164時間161時間162時間
残業4時間5時間5時間
月収251,700円270,300円300,900円
年間賞与394,600円628,100円714,400円
年収3,415,000円3,871,700円4,325,200円

(厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」より)

作業療法士の転職活動

作業療法士など医療技術者の有効求人倍率は高水準が続いています。

特に介護分野での求人が増加し、作業療法士が不足しています。

今後は、訪問リハビリテーションなど在宅医療に関連した仕事でも求められるようになっていくことが考えられます。

作業療法士の活躍の場は新しい分野でも増えていくでしょう。

作業療法士の活躍の場は広がっていますので、自分だけで転職活動するよりも、業界に精通したプロのサポートを受けて可能性を広げることをおすすめします。

作業療法士の転職支援

各地の医療機関や施設に精通した専門の転職アドバイザーが、希望に合った作業療法士の求人を紹介してくれます。

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まとめ

作業療法は病院や施設で行われることがほとんどでしたが、リハビリテーションが地域に広がることで、医療以外の分野でも作業療法士のニーズが高まってきています。

今後も作業療法士に対するニーズや期待は確実に高まりますので、活躍の場は増えるといえるでしょう。

 

【参考】
・厚生労働省ウェブサイト
・一般社団法人日本作業療法士協会