中小企業診断士は民間で活躍する経営コンサルタントと位置づけられています。中小企業診断士の約半数は、一般企業、金融機関などに勤務する企業内診断士です。
中小企業診断士はさまざまな分野に展開できますので、20代・第二新卒のキャリアチェンジやキャリアアップにおいて活用できる資格です。
企業内で役立つ中小企業診断士の資格についてご紹介します。
中小企業診断士の資格
中小企業診断士とは
中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家の国家資格です。
経営コンサルタントには独立系のコンサルタントとコンサルティング会社などに勤務するコンサルタントがいます。独立系は4割程度で、他の士業と比較すると少なくなっています。
若手の資格取得者は少なく、20代・第二新卒がキャリアチェンジやキャリアアップの転職を目指すには有効といえます。
中小企業診断士の職業
順位 | 職業 | 構成比 |
1 | 民間企業(金融機関以外) | 32.3% |
2 | 経営コンサルタント(他資格なし) | 27.6% |
3 | 経営コンサルタント(他資格あり) | 16.0% |
4 | 金融機関 | 8.2% |
5 | 公的機関・団体等 | 4.8% |
6 | コンサルティング会社勤務等 | 3.4% |
7 | 資格は持っているが活動・勤務していない | 2.4% |
8 | 公務員 | 1.5% |
(中小企業診断協会「企業内診断士の実態調査」より)
中小企業診断士になるには
中小企業診断士試験に合格する
中小企業診断士試験は「中小企業支援法」に基づく国家試験です。科目合格制が取り入れられていて、3年以内にすべての科目で合格すれば第1次試験合格となります。
受験資格
- 第1次試験:制限なし
- 第2次試験(筆記):第1次試験合格者は合格年と翌年まで受験資格を得られる
- 第2次試験(口述):第2次試験の筆記合格者のみ
試験日
- 第1次試験:8月
- 第2次試験(筆記):10月
- 第2次試験(口述):12月
第1次試験
- 経済学・経済政策
- 財務・会計
- 企業経営理論
- 運営管理(オペレーション・マネジメント)
- 経営法務
- 経営情報システム
- 中小企業経営・中小企業政策
第2次試験
- 筆記試験:組織人事、マーケティング・流通、生産・技術、財務・会計
- 口述試験:試験官との質疑応答
試験科目の一部免除
- 科目合格による免除
- 他資格保有等による免除
合格基準
- 第1次試験の合格基準は、総点数の60%以上であって、かつ1科目でも満点の40%未満のないこと
- 第1次試験の有効期間は2年間
- 科目合格の有効期間は3年間
科目合格率(2019年度)
科目 | 合格率 |
経済学・経済政策 | 25.8% |
財務・会計 | 16.3% |
企業経営理論 | 10.8% |
運営管理(オペレーション・マネジメント) | 22.8% |
経営法務 | 10.1% |
経営情報システム | 26.6% |
中小企業経営・中小企業政策 | 5.6% |
合格率(2019年度)
- 第1次試験:30.2%
- 第2次試験:18.3%
実務補修
中小企業診断士として正式に登録するには、中小企業診断士第2次試験に合格後、3年以内に実務補習を15日以上受けるか、診断実務に15日以上従事することが必要になります。就業中の人は有給休暇などを取得して仕事を休まなくてはなりません。
問い合わせ
一般社団法人 中小企業診断協会
中小企業診断士養成課程を修了する
中小企業大学校では中小企業診断士養成課程を実施しています。約6ヵ月の研修期間を修了すると、中小企業診断士の登録資格を得ることができます。費用と時間が捻出できれば、半年でほぼ確実に資格を取得できる方法といえます。
応募資格
- 第1次試験の合格者
- 2年以上の実務経験者
- 6ヵ月の研修が受講可能であることなど
研修場所
中小企業大学校 東京校(東大和市) ※入寮可
選考方法
- 書面審査
- 面接審査
中小企業診断士の試験対策
中小企業診断士の試験勉強
中小企業診断士の資格を取得するには、独学や通学・通信講座で勉強する方法がありますが、第1次試験と第2次試験、合格状況によって最適な方法は違ってきます。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、自分の状況やかけられる時間、費用に合わせて選択することになります。
準備期間
第2次試験までの合格準備期間としては、2~3年が多いようです。第2次試験は対策期間が短い1年目は不利になりやすく、多くの場合、2年目の受験で合格を目指すのが標準的になっています。
通学・資格スクール
通学・資格スクールにはさまざまな講座がありますので、自分に合ったコースを選択することが大切です。
通信講座
通信講座にはWEBやDVD講座、スクーリングなど通学に近いスタイルで受講できる講座が増えています。
独学
独学でも第1次試験に合格することは可能です。第2次試験では、情報収集のために勉強会などの活用が重要になります。
短期合格のポイント
- 過去問を分析して出題傾向をつかむ
- 頻出テーマを中心に学習する
- 過去問題集を繰り返す
働きながら、短期間で効率的に資格取得を目指すのであれば、お手頃価格の通信講座を上手に活用することをおすすめします。

まとめ
20代・第二新卒が中小企業診断士の資格を取得して、すぐに独立して経営コンサルタントとして経営者にアドバイスができるようになるわけではありません。
社内でのキャリアアップとして幹部を目指したり、キャリアチェンジや転職に活用するための資格としておすすめします。

