中小企業診断士は経営コンサルタントの国家資格です。
経営コンサルタントとして活動する中小企業診断士は約半数で、残りの半数は、一般企業や金融機関などに勤務する企業内診断士です。
中小企業診断士の知識はさまざまなビジネスで活用できますので、20代・第二新卒のキャリアチェンジやキャリアアップ、副業において役立つ資格です。
さまざまなビジネスシーンで活かせる中小企業診断士の資格についてご紹介します。
中小企業診断士の資格
中小企業診断士とは
中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家の国家資格です。
企業の現状を分析して、成長戦略の策定や実行のアドバイスをすることが主な業務です。
経営コンサルタントには独立系のコンサルタントとコンサルティング会社などに勤務するコンサルタントがいます。
独立系は4割程度で、他の士業と比較すると少なくなっています。
中小企業診断士には、専門的知識を活用したアドバイス業務から、企業と行政、企業と金融機関などとのパイプ役、中小企業への施策の適切な支援まで幅広く対応できる知識や能力が求められています。
若手の資格取得者はまだ少ないので、20代・第二新卒がキャリアチェンジやキャリアアップの転職を目指すには有効な資格といえます。
中小企業診断士合格者の勤務先
- 民間企業(金融機関以外)
- 政府系以外の金融機関
- 公務員
- 税理士・公認会計士等自営業
- 経営コンサルタント事業所等
- 政府系金融機関
- 税理士・公認会計士以外の自営業
- 学生
- 独立行政法人・公益法人等
- 中小企業支援機関
(中小企業診断協会「令和4年度中小企業診断士第2次試験の結果発表」より)
中小企業診断士の資格を取るには
中小企業診断士になる流れ
中小企業診断士になるには、まず中小企業診断士第1次試験に合格することが必要です。
第1次試験に合格後、中小企業診断士として登録されるには2つの方法があります。
- 中小企業診断士第2次試験に合格して、実務補修を修了するか、診断実務に従事する
- 中小企業基盤整備機構または登録養成機関が実施する養成課程を修了する
中小企業診断士試験から登録まで
- 中小企業診断士第1次試験⇒中小企業診断士第2次試験⇒実務実習または診断実務従事⇒中小企業診断士登録
- 中小企業診断士第1次試験⇒中小企業基盤整備機構または登録養成機関が実施する養成課程
中小企業診断士試験
中小企業診断士試験は「中小企業支援法」に基づく国家試験です。
中小企業者が適切な経営の診断および経営に関する助言を受けるにあたり、経営コンサルタントの選定を容易にするため、経済産業大臣が一定のレベル以上の能力をもった人を登録するための制度です。
第1次試験(選択式)と第2次試験が実施され、第2次試験の合格者には口述試験(面接)が行われます。
科目合格制がとられていて、3年間で7科目に合格すれば第1次試験合格となり、第2次試験の受験資格を得ることができます。
第1次試験
中小企業診断士になるために必要が学識を有しているかどうかを判定するために、企業経営に関する7科目の筆記試験(多肢選択式)を行います。
- 受験資格:制限なし
- 試験日:8月
- 試験地:札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡、那覇
- 試験内容:筆記試験(多肢選択式)
①経済学・経済政策
②財務・会計
③企業経営理論
④運営管理(オペレーション・マネジメント)
⑤経営法務
⑥経営情報システム
⑦中小企業経営・中小企業政策 - 科目免除:申請により試験科目の一部が免除されます。
・科目合格による免除
・他資格等保有による免除 - 合格率:30%程度
第2次試験
第1次試験の合格者について、中小企業診断士となるために必要な応用能力を有するかどうかを判定するために、診断および助言に関する実務の事例並びに助言に関する能力について、筆記試験と口述試験を行います。
- 受験資格
・筆記試験:第1次試験の合格者(第1次試験合格の有効期間は2年)
・口述試験:第2次試験筆記試験の合格者 - 試験日
・筆記試験:10月
・口述試験:翌年1月 - 試験地:札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡
- 試験内容
・筆記試験:中小企業の診断および助言に関する実務の事例について
・口述試験:試験官との質疑応答 - 合格率:18%程度
合格基準
- 第1次試験の合格基準は、総点数の60%以上であって、かつ1科目でも満点の40%未満のないこと
- 科目合格の有効期間は3年間
- 第1次試験の有効期間は2年間
中小企業診断士実務補修
中小企業診断士実務補修は、中小企業診断士試験合格者を対象に15日間の実習方式で行われます。
この実務補修は1グループを受講者6人以内で編成し、指導員の指導のもと、実際に企業に対して、経営診断・助言を行います。
3つの企業に対して、現場診断・調査、資料分析、診断報告書の作成、報告会を行います。
中小企業診断士として正式登録するためには、中小企業診断士第2次試験合格後、3年以内に実務補習を15日以上受けるか、診断実務に15日以上従事することが必要になります。
在職中の人は仕事との日程調整が必要になります。
問い合わせ
一般社団法人 中小企業診断協会
中小企業診断士養成課程
中小企業診断士養成課程は、中小企業基盤整備機構(中小企業大学校)または登録養成機関で実施しています。
約6ヵ月の養成期間を修了すると、中小企業診断士「第2次試験の合格」と「実務補習」に代わるものとして、中小企業診断士の登録資格を得ることができます。
費用と時間が捻出できれば、半年間でほぼ確実に中小企業診断士の資格を取得できる方法といえます。
応募条件
- 中小企業診断士第1次試験の合格者
- 2年以上の実務経験者
- 6ヵ月の研修が受講可能であること など
選考方法
- 書面審査:設定されたテーマについての小論文
- 面接審査:書面審査の合格者に実施
研修内容
- 研修課目:中小企業診断士養成課程のカリキュラム
- 授業:演習と実習
- 修得審査:修得水準の審査基準により審査
- 修了要件:評価基準を満たすこと
研修場所
中小企業基盤整備機構の場合:中小企業大学校 東京校(東大和市)※入寮可
中小企業診断士の資格勉強
資格取得の勉強法
中小企業診断士試験に合格して資格を取得するには、独学や資格・通信講座で勉強する方法があります。
第1次試験と第2次試験、科目合格の状況によって最適な方法は変わってきます。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、学習の状況やかけられる時間、費用などに応じて自分に合った方法を選ぶことが大切です。
資格の取得期間
第2次試験までの合格準備期間としては、2~3年が多いようです。
第2次試験は対策期間が短い1年目は不利になりやすく、多くの場合、2年目の受験で合格を目指すのが標準的になっています。
通学・資格スクール
通学・資格スクールにはさまざまな講座がありますので、自分に合ったコースを選択することが大切です。
通信講座
通信講座にはWEBやDVD講座、スクーリングなど通学に近いスタイルで受講できる講座が増えています。
独学
第1次試験は独学でも合格を目指すことができます。
第2次試験の対策では情報収集も重要ですので、勉強会などに参加することをおすすめします。
短期合格のポイント
- 過去問を分析して出題傾向をつかむ
- 頻出テーマを中心に学習する
- 過去問題集を繰り返す
忙しいビジネスパーソンが短期間で効率的に資格取得を目指すのであれば、お手頃価格の通信講座を上手に活用することをおすすめします。
まとめ
20代・第二新卒が中小企業診断士の資格を取得して、すぐに独立して経営コンサルタントとして経営者にアドバイスができるようになるわけではありません。
20代では社内でのキャリアアップとして幹部を目指したり、キャリアチェンジや転職に活用するための資格としておすすめします。
【参考】
・経済産業省ウェブサイト
・中小企業庁ウェブサイト
・一般社団法人中小企業診断協会ウェブサイト