アパレル業界では、少子高齢化の影響で顧客のニーズにきめ細かく対応した品揃えが売り上げに直結するようになっています。
縮小傾向が続くアパレル市場に、新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけました。
アパレルの転職・就職で押さえておきたい業界の動向、売上高ランキング、採用市場をご紹介します。
アパレル業界の最新動向(2021年)
アパレル業界とは
アパレル業界には原料の生産、商品の生産、小売への流通という流れがあります。長い間、それぞれの役割により分業化されてきました。
しかし、メーカーによる小売店への直販や企画開発から生産、販売までを一体化したSPA(製造小売り)が台頭し、こうした流通経路は変化しています。
アパレル業界の構成
アパレルメーカー
主要な販路である百貨店や専門店の売り上げ減が続き、ネット販売や新業態の構築で成長策を模索しています。
新型コロナウイルスの感染拡大により大手でも苦戦を強いられています。
オンワードホールディングス
総合アパレルメーカー大手。「23区」「組曲」など百貨店向けブランドが中心です。国内外店舗の大量閉鎖を決定しています。
- 従業員数:5,153人
- 平均年齢:46歳
ワールド
総合アパレルメーカー大手。「アンタイトル」「タケオ キクチ」など。構造改革を経て再上場を果たしています。
- 従業員数:9,683人
- 平均年齢:47歳
TSIホールディングス
レディース大手。東京スタイルとサンエー・インターナショナルが経営統合。
- 従業員数:5,501人
- 平均年齢:43歳
三陽商会
主力だった「バーバリー」のライセンス契約終了。EC支援企業を買収し、売上拡大を図っています。
- 従業員数:1,650人
- 平均年齢:40歳
イトキン
「ミッシェルクラン」など婦人服大手。
- 従業員数:2,137人
レナウン
経営不振により、中国企業の子会社化。2020年5月に経営破綻。
- 従業員数:905人
- 平均年齢:45歳
ルックホールディングス
婦人アパレル中堅。海外ブランドに強みがあります。
- 従業員数:1,554人
- 平均年齢:46歳
ワコールホールディングス
婦人下着首位。三愛の水着事業を買収して水着市場にも参入しています。
- 従業員数:20,984人
- 平均年齢:47歳
グンゼ
インナーやストキッキングなどを展開。
- 従業員数:6,185人
- 平均年齢:43歳
SPA、流通
業績を伸ばしている企業では、低価格衣料を強みとして、付加価値を高めているのが特徴です。
価格競争が激化するなか、生き残りには、安さだけでなく、独自の強みやビジネスモデルが必要となっています。
ファーストリテイリング
SPA国内最大手。ユニクロやジーユーを世界展開しています。
- 従業員数:56,611人
- 平均年齢:38歳
しまむら
低価格帯のカジュアル衣料店。アジアへも進出しています。
- 従業員数:3,162人
- 平均年齢:41歳
アダストリア
ポイントやトリニティアーツなどが経営統合。カジュアル衣料が主力です。
- 従業員数:5,715人
- 平均年齢:32歳
ユナイテッドアーズ
セレクトシップ首位。メンズ・レディース衣料や雑貨を展開しています。
- 従業員数:4,848人
- 平均年齢:32歳
パルグループホールディングス
ファッション衣料・雑貨。
- 従業員数:3,418人
- 平均年齢:46歳
ライトオン
ジーンズ中心。「リーバイス」「エドウィン」などを展開しています。
- 従業員数:1,040人
- 平均年齢:32歳
ワークマン
作業服チェーン大手。
- 従業員数:305人
- 平均年齢:37歳
紳士服
- 青山商事:紳士服業界トップ
- AOKIホールディングス:紳士服業界2位
- コナカ:紳士服郊外店のほか、都市型スーツセレクトショップも展開
- はるやまホールディングス:紳士服の郊外店を西日本中心に展開
- タカキュー:イオンと提携
子供服
- 西松屋チェーン:ベビー・子供用衣料・雑貨を展開
- 赤ちゃん本舗:ベビー・子供用衣料店を展開
- 三起商行:子供服ブランド「ミキハウス」を展開
海外ファストファッション
- インディテックス:「ZARA」などを展開。アパレル世界最大手
- へネス&マウリッツ:「H&M」
- ギャップ:「GAP」「BANANA REPUBLIC」
- アバクロンビー&フィッチ
アパレル業界の売上高ランキング
順位 | 企業名 | 売上高(百万円) |
1 | ファーストリテイリング | 2,130,060 |
2 | しまむら | 545,996 |
3 | 青山商事 | 250,300 |
4 | ワールド | 249,861 |
5 | オンワードホールディングス | 240,652 |
6 | アダストリア | 222,664 |
7 | TSIホールディングス | 165,009 |
8 | ユナイテッドアローズ | 158,918 |
9 | グンゼ | 140,706 |
10 | 西松屋チェーン | 138,167 |
11 | パルグループホールディングス | 130,474 |
12 | AOKI | 114,404 |
13 | ワコール | 103,989 |
14 | ストライプインターナショナル | 91,467 |
15 | ビームス | 82,706 |
16 | ライトオン | 76,623 |
17 | タキヒヨー | 64,815 |
18 | レナウン | 63,664 |
19 | バロックジャパンリミテッド | 63,324 |
20 | クロスプラス | 62,901 |
(帝国データバンク『業界動向2020-Ⅰ』より)
アパレル業界の採用市場
アパレル業界ならではの職種
アパレル業界には業界特有のさまざまな職種があり、専門性を生かして活躍しています。
デザイナー
ブランドや企業のデザイナーとして、ブランドのテイストや雰囲気に合わせた企画・デザイン提案の業務を行います。
パタンナー
デザイナーが作成したデザイン画をもとに洋服の型紙(パターン)を作る仕事です。デザイナーと二人三脚で業務を進めます。
バイヤー
商品別の販売予算や利益予算まで責任を持つ仕入れ担当者です。売れ筋商品を見極めて買い付ける仕事であるため、トレンドに敏感であることが求められます。
マーチャンダイザー(MD)
消費者のニーズを把握し、商品の仕入れ計画や価格数量、価格設定など商品に関する管理責任者です。小売りではバイヤーと同じように、ショップの顧客層に合った商品を選んで陳列します。
ビジュアル・マーチャンダイザー(VMD)
ショップのコンセプトやブランドイメージを表現して、売上に繋がる商品配置やレイアウト、在庫・生産数などを元に売り場作りをする仕事です。
エリアマネジャー(スーパーバイザー)
担当するエリア内にある複数の店舗を担当し、運営や管理を支援、指導するのがエリアマネジャー、スーパーバイザー(SV)の仕事です。百貨店であればフロアマネジャーが類似した職種といえます。多くの場合、販売経験のある人が担当します。
プレス
ファッション業界における広報担当者です。雑誌やテレビなどのメディアに商品をPRするのが仕事です。商品を貸し出して撮影やテレビで露出してもらいます。
ファッションアドバイザー
ファッションアドバイザーは、接客を通して、店の商品を売る販売職です。商品の種類や店舗の特性などによって、接客方法はさまざまです。
豊富な商品知識やファッション情報を持ち、コーディネートの提案ができること、顧客のニーズを的確につかむことが求められます。


アパレル業界の求人・転職
アパレル業界の採用市場は活発でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大により大手各社もリストラを進めています。
業界内での動きが多いので、転職にはアパレル業界の動向に精通した専門の転職支援サービスの利用をおすすめします。

アパレルメーカー(繊維工業)の給与
区分 | 20~24歳 | 25~29歳 | 45.1歳(平均) |
所定内労働時間 | 169時間 | 169時間 | 169時間 |
残業 | 12時間 | 13時間 | 9時間 |
月収 | 190,100円 | 211,000円 | 238,400円 |
年間賞与等 | 292,600円 | 392,000円 | 482,500円 |
年収 | 2,573,800円 | 2,924,000円 | 3,343,300円 |
(厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」より)
まとめ
アパレル不況が続くなか、百貨店やショッピングセンターの低迷を補うために、各社はインターネット通販やレンタルなど新事業での顧客開拓に力を入れています。海外進出にも積極的です。

