医薬品・製薬会社の業界研究


医薬品・製薬業界は国内外で再編が続き、新薬開発への選択と集中を進めています。M&Aや業務提携、買収、譲渡などの動きが目立ちます。

新型コロナウイルスの感染拡大で、治療薬やワクチン開発に取り組む動きもありますが、業界全体としての影響は限定的と見られています。

医薬品・製薬会社の転職・就職で押さえておきたい業界の動向、売上高ランキング、採用市場をご紹介します。

スポンサーリンク

医薬品・製薬業界の最新動向(2021年)

医薬品業界

世界の主要メーカーでは、特許で保護された製品を独占販売することで高い収益を確保しています。医薬品の特許が切れると、同じ成分の後発医薬品(ジェネリック)が出回ります。

国内市場では、これまで高収益を支えてきた先発医薬品の特許切れなどにより、後発医薬品が急速に普及し、製薬会社には、市場縮小の懸念が強まっています。

海外企業

  1. ロシュ(スイス)
  2. ノバルティス(スイス)
  3. ファイザー(米)
  4. メルク(米)
  5. ジョンソン・エンド・ジョンソン(米)
  6. サノフィ(仏)
  7. アッヴィ(米)
  8. グラクソ・スミスクライン(英)
  9. 武田薬品工業(日)
  10. ブリストル・マイヤーズスクイブ(米)

医薬品メーカー

薬価制度改正の影響は大きく、国内市場は縮小していますが、欧州・米国など世界市場は成長しています。

武田薬品工業

世界トップ10入り。シェイアー(アイルランド)と経営統合し、メガファーマ(巨大製薬企業)入りを果たしました。

  • 従業員数:49,578人
  • 平均年齢:42歳

アステラス製薬

医療用医薬品に特化。主力製品が特許切れとなり、再生医療技術を強化しています。

  • 従業員数:15,883人
  • 平均年齢:43歳

大塚ホールディングス

新薬の開発に注力。食品や飲料事業でも広く認知されています。

  • 従業員数:32,992人
  • 平均年齢:44歳

第一三共

世界初の薬剤開発で成長。循環器領域からがん領域に開発重点をシフトしています。

  • 従業員数:15,348人
  • 平均年齢:43歳

エーザイ

アルツハイマー型認知症治療薬「アリセプト」でグローバル企業に成長しました。メルク(米)と抗がん剤で大型提携。

  • 従業員数:10,998人
  • 平均年齢:44歳

中外製薬

ロシュ傘下。バイオ医薬品の開発力の高さに強みがあります。

  • 従業員数:7,394人
  • 平均年齢:43歳

大日本住友製薬

住友化学傘下。がんや再生医療に重点を置いています。

  • 従業員数:6,457人

田辺三菱製薬

三菱ケミカルホールディングスの完全子会社化で上場廃止。抗リウマチ薬が主力です。

塩野義製薬

抗生物質に強みがあります。

  • 従業員数:5,222人
  • 平均年齢:42歳

大日本住友製薬

住友化学傘下。神経領域に強みがあります。

  • 従業員数:6,140人

協和キリン

キリンホールディングス傘下。抗体薬に強みがあります。

  • 従業員数:5,267人
  • 平均年齢:42歳

大衆薬メーカー

  • 大正製薬ホールディングス:大衆薬の国内最大手
  • ロート製薬:一般用目薬で世界首位
  • ゼリア新薬工業:滋養強壮剤など
  • 興和:多角経営

後発医薬品

特許が切れた医療用医薬品の成分をそのまま使ってつくたれた医薬品を後発医薬品と呼びます。成分や性能は同じですが、研究開発の費用を抑えられるため先発医薬品より低価格で販売されています。

医療費抑制策の一環として後発薬の普及が進められ、普及率は70%を超えました。医療現場では先発薬から後発薬への置き換えが進み、市場は成長を続けています。薬価改定により単価が引き下げられたことから、販売数量が増える一方で、収益率は低下しています。

後発薬の業界シェアは日医工、沢井製薬、東和薬品の3社で全体の3割超を占めています。

日医工

後発薬の国内首位。バイオ後発薬に参入し、米国での販売を目指しています。

  • 従業員数:1,954人
  • 平均年齢:40歳

沢井製薬

米国の大型後発薬企業を買収しました。

  • 従業員数:3,066人
  • 平均年齢:37歳

東和薬品

卸を通さない直販体制を軸に売上を拡大。循環器系に強みがあります。

  • 従業員数:3,325人
  • 平均年齢:37歳

武田テバファーマ

後発薬国内大手。外資の工場網に強みがあります。

  • 従業員数:1,300人
  • 平均年齢:38歳

Meiji Seikaファルマ

明治ホールディングス傘下。新薬と後発薬の両方を取り扱っています。

  • 従業員数:2,137人
  • 平均年齢:40歳

バイオ医療

遺伝子組み換えや細胞培養などのバイオ技術を活用して生み出された医薬品をバイオ医薬品といいます。抗体医薬や核酸医薬、再生医療などがあります。

国内ベンチャー企業と製薬大手の提携が活発化しています。法律改正に伴い、再生医療や細胞医療は実用化の加速が見込まれます。

国内バイオ企業

  • タカラバイオ
  • ペプチドリーム
  • そーせいグループ
  • リプロセル
  • メディシノバ

再生医療

病気やケガで機能しなくなった組織や臓器と置き換えるための再生医療。再生医療製品の実用化が加速し、研究の段階から産業化の段階に移りつつあります。

国内ではiPS細胞が注目を集めてきましたが、ES細胞も治験が進んでいます。

iPS・ES細胞

  • 武田薬品工業
  • 第一三共
  • 大日本住友製薬
  • アステラス製薬
  • 富士フイルムホールディングス
  • リプロセル
  • ヘリオス

体細胞など

  • 中外製薬
  • 田辺三菱製薬
  • テルモ
  • ニプロ
  • メディネット
  • サンバイオ
  • テラ
  • セルシード

医薬品・製薬業界の売上高ランキング

医薬品製造

順位企業名売上高(百万円)
1武田薬品工業2,097,224
2アステラス製薬1,306,348
3第一三共929,717
4エーザイ642,834
5中外製薬579,787
6大塚製薬554,073
7大日本住友製薬459,267
8田辺三菱製薬424,767
9塩野義製薬363,721
10協和キリン346,531
11MSD321,504
12小野薬品工業288,634
13ノバルティスファーマ263,278
14日本イーライリリー245,241
15バイエル薬品245,062
16参天製薬234,026
17アストラゼネカ221,102
18グラクソ・スミスクライン218,063
19大正製薬192,900
20アッヴィ178,738

医薬品卸売

順位企業名売上高(百万円)
1メディパルホールディングス3,181,928
2アルフレッサホールディングス2,640,511
3スズケン2,132,362
4東邦ホールディングス1,222,199
5アステム368,288
6バイタルネット272,080
7ケーエスケー265,911
8大木256,054
9中北薬品207,001
10ほくやく169,750
11日本ベーリンガーインゲルハイム153,988

(帝国データバンク『業界動向2020-Ⅰ』より)

医薬品・製薬業界の採用市場

製薬会社の組織

製薬会社の組織では、それぞれ専門性の高い業務を担っています。

医薬情報部門

医薬情報部門にはMRと呼ばれる営業部員が所属しています。一般的な営業職とは異なり、非常に専門性の高い職種です。

研究開発部門

研究開発部門は研究と開発に大別されます。薬学系、理学系の大学院卒業レベルの人が多く採用されます。

生産部門

生産部門では薬を製造する生産ラインの構築や品質管理を行います。機械、工学、薬学系の人材が求められます。

海外部門

医薬品業界では、海外事業の拡大が成長の鍵になっています。海外部門の重要性は高まり、担当者には優れたビジネスセンスが必要になっています。

医薬品業界の資格

医薬品業界では、高度な専門性が求められ、資格保有者が活躍しています。

薬剤師

薬剤師は医薬品業界の代表的な資格で、製薬会社の研究開発やMRなど幅広く活躍しています。

MR認定試験

MRは「Medical Representatives」の略で医薬情報担当者と呼ばれます。MRとして認定されるには、公益財団法人MR認定センターが実施する試験に合格して、6ヵ月の実務経験が必要になります。

受験資格は製薬会社などで導入教育を受けるか、MR認定センターの基礎教育を受講して修了認定を受けることが必要です。

  • 基礎教育:医薬品情報、疾病と治療、医薬概論
  • 実務教育:技能・実地、製品知識

医療経営士

医療機関をマネジメントする上で必要な医療および経営に関する知識と経営課題を解決する能力を有し、実践的な経営能力を備えた専門職です。

  • 財務的資源戦略
  • 知的・情報資源戦略
  • 物的・サービス戦略
  • 人的・資源戦略

医薬品業界の求人・転職

MRの求人は落ち着いていますが、新薬開発などのタイミングで求人ニーズが高まる可能性があります。研究職の求人ニーズは高い水準が続いています。

医薬品業界の転職活動

医薬品・製薬会社には外資系企業やグローバル企業が多く、業界や職種に精通した転職エージェントの利用が一般的になっています。

  • 非公開・好条件の求人紹介
  • 専任のキャリアコンサルタント
  • 企業ごとの書類作成・面接対策など

専門性の高い転職支援サービス

医薬品製造(化学工業)の給与

区分20~24歳25~29歳41.9歳(平均)
所定内労働時間156時間155時間155時間
残業14時間17時間12時間
月収246,000円290,900円386,000円
年間賞与等678,300円998,900円1,576,600円
年収3,630,300円4,489,700円6,208,600円

(厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」より)

まとめ

医薬品・製薬業界ではグローバル大手企業を中心に業界再編が進んでいます。求人ニーズはM&Aなどで大きく変動しますので、転職を検討するのであれば、業界の動向に精通した転職支援サービスを上手に活用して、チャンスを確実にすることをおすすめします。

工場・製造現場で有利なおすすめ資格
工場・製造現場では、技術と経験の積み重ねが重視されます。経験の浅い20代・第二新卒や未経験者であれば、資格を取得することでキャリアアップや収入アップの可能性が広がります。
医療機器産業の業界研究
医療機器には、専門化した独自の製品や技術をもとにオンリーワン企業が多くあります。医療機器産業の転職・就職で押さえておきたい業界の動向、売上高ランキング、採用市場をご紹介します。
転職・就職に役立つ業界天気図一覧(2021年)
採用市場と密接に関わる企業の業績。業界の動向は転職活動を進めるうえで、重要な情報のひとつです。2021年度の主要業界天気図を一覧にしました。

 

業界研究・業界地図
タイトルとURLをコピーしました