医薬品・製薬会社の業界研究


医薬品・製薬業界は国内外で再編が続き、新薬開発への選択と集中を進めています。

新型コロナウイルスの感染拡大では、受診抑制などの影響が出ています。

治療薬やワクチン開発に取り組む動きもありますが、薬価引き下げなど業界全体としては厳しい環境が続いています。

医薬品・製薬会社の転職・就職で押さえておきたい業界の動向、売上高ランキング、採用市場をご紹介します。

医薬品・製薬業界の最新動向(2022年)

医薬品業界

世界の主要メーカーでは、特許で保護された製品を独占販売することで高い収益を確保しています。

医薬品には医師が処方する「医療用医薬品」と薬局などで購入できる「一般用医薬品」などがあります。

新薬(先発医薬品)の特許が切れると、同じ成分の「後発医薬品(ジェネリック)」が出回ります。

国内市場では、これまで高収益を支えてきた先発医薬品の特許切れなどにより、後発医薬品が急速に普及し、製薬会社には、市場縮小の懸念が強まっています。

世界の医薬品メーカー

  1. ロシュ(スイス)
  2. ノバルティス(スイス)
  3. アッヴィ(米)
  4. ジョンソン・エンド・ジョンソン(米)
  5. ブリストル・マイヤーズスクイブ(米)
  6. メルク(米)
  7. サノフィ(仏)
  8. ファイザー(米)
  9. グラクソ・スミスクライン(英)
  10. 武田薬品工業(日)

日本の医薬品メーカー

欧州・米国など世界市場は成長していますが、国内では薬価制度改正の影響が大きく、市場は縮小傾向です。

国内大手は新薬開発を急いでいます。

武田薬品工業

世界トップ10入り。シェイアー(アイルランド)と経営統合し、メガファーマ(巨大製薬企業)入りを果たしました。

  • 従業員数:47,099人
  • 平均年齢:42歳

アステラス製薬

医療用医薬品に特化。主力製品が特許切れとなり、再生医療技術を強化しています。

  • 従業員数:15,455人
  • 平均年齢:43歳

第一三共

世界初の薬剤開発で成長。循環器領域からがん領域に開発重点をシフトしています。

  • 従業員数:16,033人
  • 平均年齢:43歳

大塚ホールディングス

新薬の開発に注力。食品飲料事業でも広く認知されています。

  • 従業員数:33,151人
  • 平均年齢:45歳

中外製薬

ロシュ傘下。バイオ医薬品の開発力の高さに強みがあります。

  • 従業員数:7,555人
  • 平均年齢:43歳

エーザイ

アルツハイマー型認知症治療薬「アリセプト」でグローバル企業に成長しました。メルク(米)と抗がん剤で大型提携。

  • 従業員数:11,237人
  • 平均年齢:44歳

大日本住友製薬

住友化学傘下。がんや再生医療に重点を置いています。住友ファーマへ社名変更予定。

  • 従業員数:6,822人
  • 平均年齢:43歳

田辺三菱製薬

三菱ケミカルホールディングスの完全子会社化で上場廃止。抗リウマチ薬が主力です。

  • 従業員数:6,728人

協和キリン

キリンホールディングス傘下。抗体薬に強みがあります。

  • 従業員数:5,423人
  • 平均年齢:43歳

塩野義製薬

抗生物質に強みがあります。

  • 従業員数:5,485人
  • 平均年齢:41歳

大衆薬メーカー

  • 大正製薬ホールディングス:大衆薬の国内最大手
  • ロート製薬:一般用目薬で世界首位
  • ゼリア新薬工業:滋養強壮剤など
  • 興和:多角経営のひとつとして医薬品

後発医薬品

特許が切れた医療用医薬品の成分をそのまま使った医薬品を後発医薬品と呼びます。

成分や性能は同じですが、研究開発の費用を抑えられるため先発医薬品より低価格で販売されています。

医療費抑制策の一環として後発薬の普及が進められ、普及率は70%を超えました。

医療現場では先発薬から後発薬への置き換えが進み、市場は成長を続けています。

薬価改定により単価が引き下げられたことから、販売数量が増える一方で、収益率は低下しています。

後発薬の業界シェアは日医工、沢井製薬、東和薬品の3社で全体の3割超を占めています。

日医工

後発薬の国内首位。バイオ後発薬に参入し、米国での販売を目指しています。

  • 従業員数:2,725人
  • 平均年齢:40歳

サワイグループホールディングス(沢井製薬)

米国の大型後発薬企業を買収しました。

  • 従業員数:3,456人
  • 平均年齢:37歳

東和薬品

卸を通さない直販体制を軸に売上を拡大。循環器系に強みがあります。

  • 従業員数:3,456人
  • 平均年齢:37歳

武田テバファーマ

後発薬国内大手。日医工に工場を売却しました。

  • 従業員数:350人
  • 平均年齢:38歳

Meiji Seikaファルマ

明治ホールディングス傘下。新薬と後発薬の両方を取り扱っています。

  • 従業員数:5,951人
  • 平均年齢:40歳

バイオ医療

遺伝子組み換えや細胞培養などのバイオ技術を活用して生み出された医薬品をバイオ医薬品といいます。

抗体医薬や核酸医薬、再生医療などがあります。

国内ベンチャー企業と製薬大手の提携が活発化しています。

法律改正に伴い、再生医療や細胞医療は実用化の加速が見込まれます。

タカラバイオ

バイオ研究支援大手。遺伝子治療薬の自社開発を進めています。

  • 従業員数:1,539人
  • 平均年齢:41歳

ペプチドリーム

特殊なペプチドを用いた独自の創薬技術。製薬大手と共同研究を進めています。

  • 従業員数:128人
  • 平均年齢:38歳

そーせいグループ

新薬候補の化合物を多数保有しています。

  • 従業員数:190人
  • 平均年齢:46歳

国内バイオ企業

  • リプロセル
  • メディシノバ
  • リボミック
  • アンジェス
  • サンバイオ

再生医療

病気やケガで機能しなくなった組織や臓器と置き換えるための再生医療。

再生医療製品の実用化が加速し、研究の段階から産業化の段階に移りつつあります。

iPS細胞

  • 武田薬品工業
  • 第一三共
  • 大日本住友製薬
  • 富士フイルムホールディングス
  • 協和キリン
  • ヘリオス

iPS以外の細胞

  • アステラス製薬
  • 中外製薬
  • テルモ
  • ニプロ
  • ロート製薬
  • サンバイオ
  • テラ
  • セルシード

医薬品卸と小売り

医薬品は卸を通して医療機関調剤薬局ドラッグストアなどに流通します。

医薬品卸

医薬品卸は医薬品メーカーから仕入れた医薬品を販売する専門商社です。

MS(医薬品卸販売担当者)と呼ばれる営業職が商品の提案や販売を行います。

調剤薬局

薬局では処方せんに基づいて調剤する医療用医薬品や一般用医薬品を販売しています。

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ドラッグストア

ドラッグストアでは一般用医薬品を中心に健康食品や日用品を取り扱っています。

薬局を併設するドラッグストアが増えています。

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医薬品・製薬業界の売上高ランキング

医薬品製造

順位企業名売上高(百万円)
1武田薬品工業3,197,812
2アステラス製薬1,249,528
3第一三共962,516
4中外製薬786,946
5エーザイ645,942
6大塚製薬554,757
7大日本住友製薬515,952
8田辺三菱製薬333,681
9MSD321,987
10協和キリン318,352
11小野薬品工業309,284
12塩野義製薬297,177
13アストラゼネカ281,394
14ノバルティスファーマ257,439
15日本イーライリリー251,328
16ファイザー251,009
17参天製薬249,605
18バイエル薬品232,043
19グラクソ・スミスクライン206,958
20中外製薬工業203,956

医薬品卸売

順位企業名売上高(百万円)
1メディパルホールディングス3,211,125
2アルフレッサホールディングス2,603,169
3スズケン2,128,218
4東邦ホールディングス1,210,274
5アステム367,981
6大木283,753
7バイタルネット258,801
8ケーエスケー256,431
9中北薬品196,711
10ほくやく163,038
11日本ベーリンガーインゲルハイム

(帝国データバンク『業界動向2022-Ⅰ』より)

医薬品・製薬業界の採用市場

製薬会社の組織

製薬会社の組織では、それぞれ専門性の高い業務を担っています。

医薬情報部門

医薬情報部門にはMRと呼ばれる営業部員が所属しています。

一般的な営業職とは異なり、非常に専門性の高い職種です。

研究開発部門

研究開発部門は研究と開発に大別されます。

薬学系、理学系の大学院卒業レベルの人が多く採用されます。

生産部門

生産部門では薬を製造する生産ラインの構築や品質管理を行います。

機械、工学、薬学系の人材が求められます。

海外部門

医薬品業界では、海外事業の拡大が成長の鍵になっています。

海外部門の重要性は高まり、担当者には優れたビジネスセンスが必要になっています。

医薬品業界の資格・職種

医薬品業界では、高度な専門性が求められ、有資格者が活躍しています。

薬剤師

薬剤師は医薬品業界の代表的な資格で、製薬会社の研究開発やMRなど幅広く活躍しています。

MR認定試験

MRは「Medical Representatives」の略で医薬情報担当者と呼ばれます。

MRとして認定されるには、公益財団法人MR認定センターが実施する試験に合格して、6ヵ月の実務経験が必要になります。

受験資格は製薬会社などで導入教育を受けるか、MR認定センターの基礎教育を受講して修了認定を受けることが必要です。

  • 基礎教育:医薬品情報、疾病と治療、医薬概論
  • 実務教育:技能・実地、製品知識

CRA(臨床開発モニター)

製薬会社の立場から医療機関で行われる治験が正しく行われているかどうかモニタリングします。

医薬品の知識が求められるので、薬剤師やMR、看護師、臨床検査技師などの資格や経験が活かせます。

CRC(治験コーディネーター)

医療機関の立場から治験が適切に行われているかをチェックします。

看護師や薬剤師などが担当することもあります。

医薬品業界の求人・転職

MRの求人は落ち着いていますが、新薬開発などのタイミングで求人ニーズが高まる可能性があります。

研究職の求人ニーズは高い水準が続いています。

医薬品・製薬会社には外資系企業やグローバル企業が多く、転職エージェントの利用が一般的になっています。

医薬品製造(化学工業)の給与

区分20~24歳25~29歳41.6歳(平均)
所定内労働時間164時間167時間164時間
残業10時間13時間9時間
月収238,200円283,000円383,900円
年間賞与等650,600円959,100円1,439,500円
年収3,509,000円4,355,100円6,046,300円

(厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」より)

医薬品業界の転職活動

転職エージェントの転職支援サービスを利用すると、業界や職種に精通したキャリアコンサルタントが転職をサポートしてくれます。

非公開・好条件の求人紹介だけでなく、専任のキャリアコンサルタントによる企業に応じた書類作成や面接対策などのサポートで、選考通過率のアップが期待できます。

キャリアごとの転職支援

まとめ

医薬品・製薬業界ではグローバル大手企業を中心に業界再編が進んでいます。

求人ニーズはM&Aなどで大きく変動しますので、転職を検討するのであれば、業界の動向に精通した転職支援サービスを上手に活用して、チャンスを確実にすることをおすすめします。

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