キーワード解説
インターンシップ
インターンシップとは、就職する前に職業意識を高めるために実際の職場で就業体験をしてみる実習・研修制度のことです。
新卒採用前に実施されることが多いインターンシップですが、転職・再就職におけるインターシップの活用も進んでいます。
1日だけのものから、就業体験にワークショップやプレゼンテーションなどを組み合わせたものなども実施されています。
インターンシップは採用選考の場ではありませんが、求職者側にとっては、企業や業界への理解を深め、自分との相性や適性を見極めることができるというメリットがあります。
企業側にとっては、企業イメージの向上や入社後のミスマッチを回避するなどのメリットがあります。
インターンシップを行うインターン生は、業務についての指揮命令を受けず、職場見学や職業体験として実習・研修を行っている場合には、労働基準法上の労働者には該当しません。
しかし、実際の業務に従事して、企業とインターン生との間に使用従属関係が認められるような場合には、労働基準法上の労働者に該当すると考えられます。
インターン生が労働基準法上の労働者に該当する場合、インターン生に対して、賃金の支払いや労働時間に応じた割増賃金の支払いが発生します。
インターン生が労働者とみなされるインターンシップを行う場合には、企業とインターン生との間で、労働契約を締結したうえで、インターンシップを実施することが必要になります。
労働者の判断基準
厚生労働省の通達では、見学・体験的なもので業務の指揮命令を受けていないなど、使用従属関係が認められなければ労働者には該当せず、直接、業務に従事するなど使用従属関係が認められる場合は労働者に該当すると考えられています。
インターン生が労働者とみなされるかどうかは以下の基準などを総合的に考慮して判断されます。
- 仕事の依頼、業務の指揮命令
- 業務遂行上の指揮監督の有無
- 勤務場所、勤務時間の拘束性
- 報酬の額や性質
- 専属性の程度 など
労働者に該当する場合
インターン生が労働者に該当する場合には、労働基準法や最低賃金法など労働関係の法令が適用されます。
企業が労働者に該当するインターン生を受け入れる場合には、労働時間を把握して、最低賃金以上の報酬を支払う必要があります。
労災保険も適用されますので、インターンシップ中に業務上の理由でけがをしたような場合には労災保険が給付されます。
雇用保険は原則として適用されません。
健康保険・厚生年金保険は、2ヵ月を超えて就業する場合に正社員の所定労働時間および所定労働日数の4分の3以上であれば適用されます。
インターンシップが2ヵ月以内の短期間に実施される場合には適用されません。
労働者に該当しない場合
インターン生が労働者に該当しない場合には、労働関係の法令は適用されませんので、企業は労働時間を把握したり、報酬を支払う必要はありません。
労働保険(雇用保険・労災保険)や社会保険(健康保険・厚生年金保険)も適用されません。
インターンシップ中にけがをした場合は、労災保険ではなく健康保険の対象となります。
労働者に該当しない場合であっても、企業には安全配慮義務があります。
職業体験型
職業体験型のインターンシップは、実際の職場での職業体験を通じて、求職者の職業意識の向上や今後の就職活動の支援などを主な目的として、実施されています。
採用活動型
採用活動型のインターンシップは、インターンシップ自体が採用活動につながっているもので、新卒採用前に多く実施されています。
就職活動の早期化・長期化を避けるために、経団連の指針としては採用選考活動の解禁前にインターンシップを採用活動そのものとして行うことは妥当ではないとされています。
解禁後にインターンシップを実施して採用に直結させることには特に問題ありません。
経団連の指針には法的な効力があるわけではなく、経団連に所属していない企業や中小企業のなかには、インターンシップを積極的に活用している企業もあります。
一律の採用選考活動については見直しが進んでいることから、採用活動型のインターンシップについても柔軟な活用が進むと考えられます。
企業PR型
企業PR型のインターンシップは、企業の認知度を高めたり、企業のイメージアップを図ることなどを目的として行われています。
事業参画型
事業参画型のインターンシップは、企業の新規事業やプロジェクトのメンバーとして、業務に取り組みます。
実践中心に数週間から数ヵ月の期間で行われています。
実務実習型
実務実習型のインターンシップは、医療や福祉関係の養成校などにおいて、教育課程の一環として行われています。
免許取得のための実習などがあります。
インターンシップに参加するメリット
- 職場の雰囲気を知ることができる
- 職業適性や将来設計について考えられる
- スキル・経験が身につく
- 企業・業界研究に役立つ
- 採用選考でアピールできる
参考:経済産業省、文部科学省、厚生労働省「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」
- インターンシップは、自己理解を深め、企業、業界、仕事を理解するための学びや育成の場
- インターン生が、労働者とみなされない場合と労働者とみなされる場合がある