最低賃金とは

キーワード解説

最低賃金

最低賃金とは、最低賃金法に基づき国が定める使用者(企業)が労働者(従業員)に支払わなければならない最低限度の賃金のことです。

最賃」とも略されます。

最低賃金は毎年改定され、10月に発効されます。

最低賃金には、都道府県ごとに設定される「地域別最低賃金」と、特定の産業について設定される「特定(産業別)最低賃金」の2種類があります。

地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金の両方が適用される場合には、どちらか高いほうの最低賃金額以上の賃金が支払われなければなりません。

最低賃金は、正社員だけでなく、パートタイマーやアルバイトなどの非正規社員を含めるすべての従業員に適用され、雇用形態に関わらず、最低賃金を下回ることは禁じられています。

最低賃金を下回る賃金については、従業員の同意があっても法律違反となります。

パートタイマーやアルバイトの時給が最低賃金に設定されている場合は、毎年改定される最低賃金を下回っていないかの確認が必要になります。

派遣社員については派遣先の最低賃金が適用されます。

最低賃金を下回る労働契約は無効となり、最低賃金の水準に引き上げられます。

【令和6年度】

  • 全国加重平均額:1,055円(昨年1,004円)
  • 引上げ率:5.1%

地域別最低賃金

産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用される最低賃金として、各都道府県に1つずつ、全部で47件の最低賃金が定められています。

具体的な金額は「地域別最低賃金の全国一覧」から確認することができます。

特定最低賃金

特定地域内の特定の産業について、関係労使が基幹的労働者を対象として、地域別最低賃金より金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認めるものについて設定されています。

最低賃金の対象から外れるもの

最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金に限定されますので、次の賃金は除外されます。

  1. 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  2. 1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  3. 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
  4. 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
  5. 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金(深夜割増賃金など)
  6. 精皆勤手当、通勤手当、家族手当

最低賃金減額の特例

一般の従業員と労働力が著しく異なるような場合には、使用者が都道府県労働局の許可を受けることを条件として、個別に最低賃金を減額する特例が認められています。

  • 精神または身体の障害により著しく労働能力が低い人
  • 試用期間中の者、認定職業訓練を受けている人のうち一定の人
  • 所定労働時間が特に短い人
  • 軽易な業務や断続的労働に従事する人

最低賃金と完全歩合制

完全歩合制や出来高払制の賃金が最低賃金を下回っていれば、最低賃金で算定した賃金との差額を請求することができます。

最低賃金のチェック方法

支払われている賃金が最低賃金額以上になっているかどうかを調べるには、賃金額を時間当たりの金額に換算して、最低賃金(時間額)と比較して確認します。

  • 時間給制
    時間給 ≧ 最低賃金額(時間額)
  • 日給制
    日給 ÷ 1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)
    ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には
    日給 ≧ 最低賃金額(日額)
  • 月給制
    月給 ÷ 1ヵ月の平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)
  • 出来高払制その他の請負制
    計算された賃金の総額を、当該賃金計算期間に出来高払制その他の請負制によって労働した総動労時間数割った時間額に換算して、最低賃金額(時間額)と比較
  • 組み合わせの場合
    それぞれ上記の方法により時間額に換算して、合計した金額と最低賃金額(時間額)を比較

最低賃金の改定

最低賃金は、最低賃金審議会において、賃金の実態調査結果などを十分に参考にしながら審議を行い、決定されます。

地域別最低賃金については、中央最低賃金審議会から示される引き上げ額の目安を参考にしながら、地方最低賃金審議会での地域の実情を踏まえた審議・答申を得てから、異議申出の手続きをして、都道府県労働局長により決定されます。

特定産業最低賃金については、関係労使の申出に基づき地方最低賃金審議会(または中央最低賃金審議会)が必要と認めた場合に、地方最低賃金審議会(または中央最低賃金審議会)の審議・答申を得てから、異議申出の手続きをして、都道府県労働局長(または厚生労働大臣)により決定されます。

参考:厚生労働省ウェブサイト

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最低賃金は生存権保障のために国が賃金額の最低限度を定めたものであり、最低賃金を下回る労働契約は無効