映画産業は製作、配給、興行によって成り立っています。低迷が続いた時代もありましたが、アニメのヒットなど新たな動きが見られるようになっています。
転職・就職で押さえておきたい映画業界の動向、収入高ランキング、採用市場をご紹介します。
映画・アニメ業界
映画はコンテンツビジネスの基幹産業です。
映画業界には映像を制作する事業、映画を配給する事業、映画に関連するサービスを提供する事業があり、製作、配給、興行によって成り立っています。
それぞれの事業で革新が進み、新たな動きが見られるようになっています。
国内の映画業界は、新型コロナウイルスの影響による映画館の座席数制限や時短営業で、厳しい状況が続きましたが、回復傾向にあります。
邦画アニメのヒット作が続き、海外市場の拡大が進んでいます。
【邦画の流通】
- 企画・出資:自社製作、共同製作
- 製作・配給:大手3社、その他の映画製作会社・独立系配給会社
- 興行:大手3社直系・系列、独立系興行会社、外資系興行会社
国内の映画製作・配給
日本の映画産業では大手3社の製作会社が制作、配給、興行のすべてに関与する構造になっていますので、大手3社が圧倒的なシェアを占めています。
洋画の場合には、ハリウッドメジャーの製作会社系列で日本法人の配給会社や独立系洋画配給会社、日本の大手3社の関連会社や配給部門で配給事業を行っています。
東宝
配給、興行収入で業界トップ。
テレビ局やスタジオジブリと組んだヒット映画などで好調が続いています。
優良不動産を多く所有し、映画事業を支える収益源になっています。
- 従業員数:3,239人
- 平均年齢:40歳
- 映画館:TOHOシネマズ
東映
業界2位。
映像関連事業は映画製作、配給、興行、ビデオ事業、テレビ事業となっていて、それぞれの事業が順調に推移しています。
- 従業員数:1,093人
- 平均年齢:43歳
- 映画館:ティ・ジョイ
松竹
業界大手。
映画関連事業は映画製作、配給、興行、ビデオ事業、テレビ事業で、映画館も拡大しています。
- 従業員数:1,464人
- 平均年齢:43歳
- 映画館:松竹マルチプレックスシアターズ
KADOKAWA
映画やソフト事業を展開。
「角川映画」の作品を製作、配給しています。
自社のマンガや小説のアニメ化にも力を入れています。
- 従業員数:5,349人
- 平均年齢:42歳
アニプレックス
ソニーグループ(ソニー・ミュージックエンタテインメント)の子会社。
アニメーションを主とした映像・音楽作品の企画製作、劇場作品の配給などを行っています。
『鬼滅の刃』を企画・製作し、東宝と共同で「劇場版 『鬼滅の刃』無限列車編」を公開しました。
- 従業員数:250人
国内の制作・配給
- 日活
- ギャガ
- アスミック・エース
洋画の配給
洋画の配給はハリウッドメジャーの製作会社が系列の配給会社の日本法人を通して公開する場合と、日本の配給会社が直接買い付けた作品を公開する場合があります。
ハリウッドメジャー
- ワーナー・ブラザーズ
- ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
- ザ・ウォルト・ディズニー・カンパニー
- NBCユニバーサル
- パラマウント・ピクチャーズ
インディペンデント系
- ギャガ・コミュニケーションズ
- シネカノン
- アスミック・エース
映画館
同一施設内に複数のスクリーンを持つ映画館(シネコン)が急速に増加しています。
導入期には外資系企業のシネコンが多かったのですが、日本企業による合併など再編が活発化しています。
映画館の形態
- 邦画系列映画館
- 拡大興行・全国チェーン
- 単館・ミニシアター
- シネコン
映画興行
- イオンエンターテイメント
- ユナイテッド・シネマ
- 東急レクリエーション
- 東京テアトル
アニメ
日本のアニメ作品は海外でも評価され、アニメ市場は拡大を続けています。
アニメ作品の本数は多くないものの、興行に占める割合は高く、存在感を示しています。
アニメ市場
- 劇場用コンテンツ
- テレビ放映用コンテンツ
- レンタル用コンテンツ、アニメビデオ・DVD
アニメ制作
- 東映アニメーション
- スタジオジブリ
- IGポート
- トムス・エンタテインメント
- バンダイナムコフィルムワークス
- 日本アニメーション
- OLM
- 京都アニメーション
- 手塚プロダクション
映画制作・配給の収入高
順位 | 企業名 | 収入高 (百万円) |
1 | 東宝 | 228,367 |
2 | KADOKAWA | 221,208 |
3 | アニプレックス | 179,026 |
4 | 東映 | 117,539 |
5 | ウォルト・ディズニー・ジャパン | 88,325 |
6 | 松竹 | 71,835 |
7 | 東映アニメーション | 57,020 |
8 | 東北新社 | 52,758 |
9 | ワーナーブラザースジャパン | 38,000 |
10 | バンダイナムコミュージックライブ | 35,720 |
11 | AOI Pro. | 22,600 |
12 | アスミック・エース | 18,603 |
13 | バンダイナムコフィルムワークス | 15,304 |
14 | トムス・エンタテインメント | 11,920 |
15 | ソニー・ピクチャーズエンタテインメント | 8,493 |
映画興行の収入高
順位 | 企業名 | 収入高 (百万円) |
1 | TOHOシネマズ | 57,666 |
2 | イオンエンターテイメント | 40,142 |
3 | 東急レクリエーション | 22,376 |
4 | 松竹マルチプレックスシアターズ | 21,602 |
5 | ユナイテッド・シネマ | 17,336 |
(帝国データバンク『業界動向2023-Ⅰ』より)
映画業界の職種
映画界には特有のさまざまな職種があります。
それぞれに専門性と経験が求められます。
プロデューサー
映画の企画・立案から資金調達、制作、配給、二次使用、製作費回収、利益配当に至るまで映画における最高責任者です。
映画の製作には時間がかかり、公開後の管理も含めて、非常に重い責任を担っています。
監督
主に撮影現場の責任者です。
撮影現場ではカット割りやセット・背景、構図、演技などの演出や技術指導まで、制作の責任者として、現場全体を指揮します。
撮影・照明
映像面での責任者が撮影監督(カメラマン)です。
監督のイメージに合うようにカメラワークを決定していきます。
照明監督には、撮影の光と影をコントロールすることが求められます。
美術・衣裳
映画の舞台を作り上げるのが美術の仕事です。
作品の時代などを考証し、本物のように作ります。
衣裳担当には、役の身分や職業にふさわしい衣裳を選び出すことが求められます。
音楽・字幕
映画を効果的に演出するために曲を作るのが映画音楽家です。
海外の映画に日本語字幕を付けるのが字幕翻訳家です。
字数や用語などの制限があるなか、自然なセリフにするセンスが求められます。
バイヤー・宣伝
世界中の映画祭や見本市で映画の上映権を買い付けるのが映画バイヤーです。
作品を見極める力、交渉力、語学力などが求められます。
配給会社の営業
配給会社の営業部では買い付けた作品を全国の映画館に配給するほか、「ソフトの貸出業務」としてテレビ局などへ提供しています。
映像・音声・文字情報制作業の給与
区分 | 20~24歳 | 25~29歳 | 43.1歳 (平均) |
所定労働時間 | 168時間 | 166時間 | 160時間 |
残業 | 10時間 | 10時間 | 9時間 |
月収 | 257,800円 | 295,200円 | 448,300円 |
年間賞与等 | 352,900円 | 730,600円 | 1,366,900円 |
年収 | 3,446,500円 | 4,273,000円 | 6,746,500円 |
(厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」より)
アニメ業界の人材育成
映画界におけるアニメの存在感は高まっていますが、アニメ業界は人材不足が深刻です。
若手アニメーターの離職率が高く、人材流出を防ぐために、早く昇進させるという対応策をとるところもあります。
政府や自治体はアニメを重要産業と位置付け、人材育成の支援に力を入れるようになっています。
若手アニメーター育成プロジェクト
文化庁は2010年から継続的に「若手アニメーター等人材育成事業」を推進しています。
この事業は若手アニメーターを実際の制作を通じて技量を向上させることを目的としています。
アニメ作品の制作はアニメ制作会社が行っています。
アニメ・マンガ人材養成官学連携事業
文部科学省では毎年度「成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進事業」を推進しています。
専門学校や大学などのアニメ分野教育機関、一般社団法人日本動画協会、アニメ制作会社・アニメ関連企業、アニメ分野の専門家などが連携して行っています。
アニメ人材育成支援事業
アニメ人材の育成を支援している地方自治体もあります。
東京都の練馬区は多数のアニメ制作会社が立地する国内で最大のアニメ産業集積地域として、アニメ産業の振興事業を行っています。
具体的には事業資金を提供して、アニメーター養成講座を実施しています。
アニメを実践的に学べるスクール
アニメやイラストを学べる アミューズメントメディア総合学院は、独自のシステムによって、アニメ、イラスト、ゲームなどコンテンツを創り、在学中から商品として市場に送り出す事ができる業界屈指のスクールです。
まとめ
映画界におけるアニメの重要度や期待が高いにもかかわらず、人材不足や流出が大きな問題になっています。
国が支援を強化するなど、若手人材の育成を急いでいます。

【参考】
・総務省ウェブサイト
・文部科学省ウェブサイト
・一般社団法人日本映画製作者連盟
・日本経済新聞出版『日経業界地図2023年版』
・東洋経済新報社『四季報業界地図2023年版』