医療・病院の業界研究


病院業界では、医療の質と量を維持しながら経営を合理化していくことが課題となっています。医師不足が深刻な問題となるなか、医療従事者は増加傾向です。

病院など医療機関の転職・就職で押さえておきたい基礎知識、業界の動向、売上高をご紹介します。

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医療・病院の基礎知識と動向

医療機関の種類

医療機関は病院と診療所に大きく分けられます。

病院

病院は入院可能なベッドが20床以上ある施設です。病院は一般病院(特定機能病院、地域医療支援病院、療養病床を有する病院)、精神科病院、結核療養所に分類されます。

診療所

診療所は19床以下の施設です。診療所は有床、療養病床を有する一般診療所、無床に分類されます。

国立・大学病院

国が開設する病院には独立行政法人によって運営される病院や国立高度専門医療センター等があります。

国立病院機構

国立病院の多くは陸海軍病院、傷痍軍人・傷病軍人療養所、結核療養所などの軍事関連施設が発祥で、その後、国立病院や国立療養所になりました。現在は独立行政法人に移行しています。

国公私立大学附属病院

大学病院は診療・医療だけでなく、教育と研究の場でもあります。また地域・社会貢献でも大きな役割を担っています。特定機能病院の指定のほか、がん診療連携拠点病院、高度救命救急センター、総合周産期母子医療センター、難病医療拠点病院としても承認されてます。

公的病院グループ

公的医療機関に参加している病院も数多くあります。

赤十字病院

日本赤十字社が運営しています。本社が東京にあり、支部が全国都道府県にあります。支部には医療施設、血液事業施設、社会福祉施設があり、国内外の災害救護や医療支援、血液供給などを行っています。

済生会

明治天皇の済生勅語により設立されました。病院や介護老人保健施設、老人・児童福祉施設、訪問看護ステーションなどを積極的に行っています。

JA厚生連

JAの厚生事業として農山村地域での保健・医療・高齢者福祉事業を推進しています。厚生連病院の約4割は人口5万人未満の市町村に立地しています。

労災病院

労働者健康安全機構が運営しています。再編、統廃合を実施し、現在は全国に34の病院があります。

地域医療機能推進機構(JCHO)

社会保険病院、厚生年金病院、船員保険病院の運営を継承し、JCHOが直接運営する病院グループになりました。

民間病院

民間病院は、個人の医師や医療法人が経営しています。グループ化と個人経営の二極化が進んでいます。

徳洲会グループ

医療法人徳洲会を中心する日本最大の医療・介護事業グループです。離島・僻地医療に積極的に取り組み、病院やクリニックを開設してきました。

IMS(イムス)グループ

IMSグループは板橋中央総合病院を中心とした病院経営・医療事業グループです。全国に病院や診療所、介護施設等を運営しています。

上尾中央医科グループ

埼玉県のほか東京都、千葉県、神奈川県、山梨県などに病院と老人保健施設、クリニック、訪問看護、訪問介護ステーションなどがあります。

国際医療福祉大学・高邦会グループ

福岡県が発祥で、複数の医療福祉施設と医療福祉の大学を運営しています。

病院の経営

一般病院のうち民間病院は黒字を確保していますが、国公立病院は厳しい経営が続いています。一般診療所は黒字を維持していますが、収益は減少傾向です。

医療業の収入

順位商号年商(百万円)
1日本赤十字社1,216,258
2独立行政法人国立病院機構1,013,787
3社会福祉法人 恩賜財団済生会657,596
4独立行政法人地域医療機能推進機構372,535
5医療法人 徳洲会254,974
6公益(社)地域医療振興協会124,895
7医療法人 沖縄徳洲会124,587
8愛知県厚生農業 協同組合連合会122,600
9社会福祉法人 聖隷福祉事業団116,103
10長野県厚生農業 協同組合連合会99,281
11(株)エスアールエル98,590
12(株)ビー・エム・エル92,309
13新潟県厚生農業 協同組合連合会89,500
14医療法人財団 明理会89,000
15(株)LSIメディエンス86,924
16学校法人 自治医科大学84,725
17北海道厚生農業 協同組合連合会84,627
18医療法人 明芳会83,500
19国立研究開発法人 国立がん研究センター76,000
20茨城県厚生農業 協同組合連合会65,790

(帝国テータバンク『全国企業あれこれランキング2020』より)

医療・病院の採用市場

病院の求人・転職

医療職の求人ニーズは高水準が続いています。医師不足が深刻な問題となり、医師の紹介業が活発になりました。専門化する医療職の転職では転職エージェント(人材紹介会社)を利用する割合が高くなっています。

医療職の有効求人倍率

職業新規求人倍率有効求人倍率
医師・薬剤師等7.063.73
保健師・助産師等4.052.60
医療技術者5.363.55
その他の保健医療の職業4.072.31
保健医療サービスの職業5.053.61
全数2.681.53

(厚生労働省「令和元年12月分一般職業紹介状況」より)

病院の医療部門

病院組織は診療に関わる「医療部門」と、診療を行わない「事務部門」に大きく分けられます。

医師

医師は診療から検査、回診、手術、カルテ作成、当直などを行います。内科、循環器科、神経科、小児科、整形外科、脳神経外科、皮膚科、泌尿器科など直接、患者を診察する医師だけでなく、手術中の麻酔管理をする麻酔科医、検査画像から診断する放射能科医、採取した細胞分析や病理解剖を行う病理医などが専門分野で活躍しています。

医師の転職・アルバイト・スポット求人おすすめエージェント
医師は希望の転職・就職を実現しやすい状況ですが、自分だけでは見つけられない求人が多くあります。医師の転職・非常勤アルバイト・スポット求人におすすめの専門エージェントをご紹介します。

看護師

看護師は医師の指示のもと診察補助を行います。外来、病棟、手術など働く場所で、仕事の内容が異なります。効率的な診療やチーム医療で重要な役割を果たしています。専門化が進み、専門分野でキャリアを積むケースが増えています。

看護師転職エージェントおすすめランキング
看護師の転職市場はとても活発で、専門の転職支援サービスの利用が欠かせません。はじめての転職や第二新卒看護師にも利用しやすい看護師転職エージェントをランキングでご紹介します。

リハビリ指導員

社会の高齢化が進み、リハビリ指導の重要性が増しています。理学療法士(PT)は身体障害や機能が低下した人に対して回復を目的としたトレーニングを行います。

作業療法士(OT)は次の段階である社会復帰を目指して創作活動やレクリエーションを行います。言語機能や聴覚の訓練を行う言語聴覚士(ST)のニーズも高まっています。

理学療法士・作業療法士の転職エージェントおすすめランキング
理学療法士・作業療法士などのリハビリ専門職は20代の転職も多い職種です。リハビリ専門職のよりよいキャリアをサポートするPT・OT・ST転職エージェントをランキングでご紹介します。

医療部門の主な資格

  • 医師
  • 看護師、准看護師
  • 助産師、保健師
  • 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士
  • 医療ソーシャルワーカー

病院の事務部門

事務部門は事務長を中心にして、さまざまな組織が設置されています。

医療事務

受付や診療報酬請求書を作成するレセプト請求業務を行います。医師の助手業務などもあり、幅広く病院の業務をサポートします。アウトソーシングによる専門会社も増えています。

医療事務おすすめ資格の試験内容と勉強法
医療事務は代表的なものだけでも10種類以上の民間資格があります。医療事務で有利な資格は?取得しておきたい医療事務のおすすめ資格について、試験内容と勉強法をご紹介します。

経理・会計

経理・会計、出納管理、未収金管理を担当する部門です。

人事・総務

医師や看護師など医療職の人材確保が厳しさを増し、事務部門に専門の担当を設置する病院が増えています。有資格者の採用には医療知識も必要となってくることから、業界経験者が求められます。

事務系アウトソーシング

医療費抑制政策による人員削減で医療事務のアウトソーシング化が進みました。医療事務代行業界はニチイ学館と日本医療事務センターが全体の7割近くを占めています。

まとめ

医療と介護の一体化改革が進むことで、病院業界での働き方はさらに多様化していくと考えられます。医療職の活躍の場は、ますます広がっています。

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