工場・製造業界では、技術と経験の積み重ねが重視されます。
経験の浅い20代・第二新卒や未経験者であれば、資格を取得することでキャリアアップや収入アップの可能性が広がります。
工場・製造現場で役立つおすすめ資格をご紹介します。
工場・製造現場で役立つ資格
危険物取扱者
危険物取扱者は、消防法にもとづく危険物を取り扱う際に必要となる国家資格です。
危険物取扱者には、甲種・乙種・丙種の3種類があり、それぞれ扱うことのできる危険物が異なります。
「乙種第4類」は社会的ニーズが高く、受験制限がないので人気です。
受験資格
- 甲種:大学などにおいて、化学に関する学科、課程を修めた卒業者など
- 乙種・丙種:制限なし
試験日
都道府県および試験区分により異なる
試験地
各都道府県
試験内容
- 甲種
・危険物に関する法令
・物理学および化学
・危険物の性質ならびにその火災予防および消火の方法 - 乙種
・危険物に関する法令
・基礎的な物理学および基礎的な化学
・危険物の性質ならびにその火災予防および消火の方法 - 丙種
・危険物に関する法令
・燃焼及び消火に関する基礎知識
・危険物の性質ならびにその火災予防および消火の方法
合格率
- 甲種:30%程度
- 乙種:40%程度
- 丙種:50%程度
問い合わせ
一般財団法人 消防試験研究センター
転職・就職情報
化学工場やガソリンスタントなど一定数量以上の危険物を貯蔵し、取り扱う施設では必ず危険物取扱者を置く必要がありますので、転職・就職で有利になります。
化学工場やガソリンスタンドだけでなく、化学系メーカー、製薬会社、印刷業界など幅広い業界で高いニーズがあります。
乙種第4類のおすすめテキスト&問題集
品質管理検定(QC検定)
品質管理検定は、品質管理に関する知識を客観的に評価する筆記試験です。
1級から4級まで設定されていて、学生から品質管理部門スタッフまで幅広く受検されています。
受検資格
制限なし
※1級~4級のどの級からでも受検できます。
試験日
年2回(9月、3月)
試験地
全国の主要都市
試験内容
マークシート方式
- 1級・準1級
品質管理活動の部門を横断して期待される手法全般 - 2級
職場で発生する品質問題について自主的に解決するために必要な知識 - 3級
職場で発生する品質問題について支援を受けながら改善できる知識 - 4級
社会人として最低限知っておくべき品質管理の知識
合格率
- 1級:10%程度
- 2級:25~45%程度
- 3級:50%程度
- 4級:85%程度
問い合わせ
一般財団法人 日本規格協会 品質管理検定センター
転職・就職情報
品質管理や技術系部門はもちろん製造業など品質に関係した活動をするすべての企業、職場全般で有効です。
QC検定の過去問題集
衛生管理者
衛生管理者は、事業場の作業環境の管理、労働者の健康管理、労働衛生教育の実施、健康保持増進措置などを行う国家資格です。
オフィスや工場で働く人の安全と健康を守る衛生管理者はあらゆる業種で求められる資格です。
受験資格
- 大学(短期大学を含む)または高等専門学校の卒業者で、その後1年以上の労働衛生の実務経験者
- 高等学校または中等教育学校の卒業者で、その後3年以上の労働衛生の実務経験者
- 10年以上の労働衛生の実務経験者
- その他の受験資格は安全衛生技術試験協会サイトを参照
試験日
毎月(各地区安全衛生技術センターにより異なる)
試験地
全国の各地区安全衛生技術センター
試験内容
- 第一種
・労働衛生:有害業務に係るもの/有害業務に係るもの以外のもの
・関係法令:有害業務に係るもの/有害業務に係るもの以外のもの
・労働生理 - 特例第一種
・労働衛生:有害業務に係るものに限る
・関係法令:有害業務に係るものに限る - 第二種
・労働衛生:有害業務に係るものを除く
・関係法令:有害業務に係るものを除く
・労働生理
合格率
- 第一種:40%程度
- 第二種:50%程度
問い合わせ
公益財団法人 安全衛生技術試験協会
転職・就職情報
一定以上の規模の事業所には選任が必要となる資格ですので、取得することでキャリアアップで有利になります。
選任を必要としない事業所であっても、その知識は工場で大いに活用できます。
衛生管理者試験の過去問題集
フォークリフト運転者
フォークリフト運転者は、フォークリフト運転技能講習、または、フォークリフト運転特別教育を受けて、修了試験に合格すれば取得できる資格です。
受験資格
18歳以上
技能講習の内容
- 学科
・フォークリフトの荷役に関する装置の構造および取扱いの方法に関する知識
・フォークリフトの運転に必要な力学に関する知識
・走行に関する装置の構造および取扱いの方法に関する知識
・関係法令 - 実技
・走行の操作
・荷役の操作
合格率
非公開
問い合わせ
都道府県労働局長登録教習機関
転職・就職情報
鉄鋼業や製造業でニーズが高く、資格手当を支給する会社も多くあります。
指定機関で講習を受け、修了試験に合格すれば取得できるので、取得しやすくニーズもある有利な資格といえます。
玉掛技能者
玉掛を行うために必要な資格です。
フックで資材などを吊り上げて移動するのが玉掛けの作業です。
クレーンのある現場では必須の技能です。
都道府県労働局長登録の教習機関で、技能講習と修了試験が実施されています。
受験資格
18歳以上
技能講習の内容
- 学科
・クレーン等に関する知識
・クレーン等の玉掛けに必要な力学に関する知識
・クレーン等の玉掛の方法
・関係法令 - 実技
・クレーン等の玉掛
・クレーン等の運転のための合図
合格率
非公開
問い合わせ
都道府県労働局長登録教習機関
転職・就職情報
玉掛の資格だけでは、クレーンを動かすことはできませんが、運転士と玉掛け作業の場所が離れている場合、同一人物が両方の作業を行うことは現実的でないため、運転士の資格と独立して玉掛け作業の資格が存在しています。
クレーンとセットで取得することが望ましいといえますが、現実には玉掛技能者のみの資格で作業することも多くあります。
クレーン・デリック運転士
クレーン・デリック運転士は、つり上げ荷重が5トン以上の天井クレーン、橋形クレーン、ジブクレーン、ガイデリック、スチフレッグデリック、ジンポールなどの各種クレーンおよびデリックを運転するために必要な資格です。
受験資格
制限なし(免許交付は18歳以上)
試験日
毎月1~2回程度
試験地
全国の各地区安全衛生技術センター
試験内容
- 学科
・クレーンおよびデリックに関する知識
・原動機及び電気に関する知識
・クレーンの運転のために必要な力学に関する知識
・関係法令 - 実技
・クレーンの運転
・クレーンの運転のための合図
合格率
50%程度
問い合わせ
公益財団法人 安全衛生技術試験協会
転職・就職情報
クレーン技術は工場、倉庫などで広くニーズがあり、転職・就職にも強い資格といえます。
クレーン・デリック運転士おすすめテキスト&問題集
ボイラー技士
ボイラー技士は工場、ビル、船舶、病院、学校などで資格の必要なボイラーを取扱い、点検や安全管理を行う国家資格です。
特級、1級、2級の区分があります。
受験資格
- 特級:1級ボイラー技士免許を受けた人など
- 1級:2級ボイラー技士免許を受けた人など
- 2級:制限なし
試験日
毎月1~2回程度
試験地
全国の各地区安全衛生技術センター
試験内容
- ボイラーの構造に関する知識
- ボイラーの取扱いに関する知識
- 燃料及び燃焼に関する知識
- 関係法令
合格率
- 特級:15~20%
- 1級:55~60%
- 2級:50%程度
問い合わせ
公益財団法人 安全衛生技術試験協会
転職・就職情報
資格を必要としないボイラーも普及していますが、作業現場の安全のために資格取得者を求める傾向は強く、転職や就職で有利になります。
ボイラー技士おすすめテキスト&問題集
電気主任技術者
電気主任技術者は、電気設備の工事、保守、運用などの保安を監督するために必要となる国家資格です。
電気主任技術者の資格には3種類あり、電気工作物の電圧等によって必要な資格が定められています。
一次試験は科目合格制をとっていて、合格科目の有効期間は3年間です。
受験資格
制限なし
試験日
【第一種・第二種】
- 一次試験:8月
- 二次試験:11月
【第三種】
- 上期試験:8月
- 下期試験:翌年3月
試験地
【第一種・第二種】
北海道、宮城県、東京都、愛知県、石川県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県
【第三種】
47都道府県
試験内容
【第一種・第二種】
- 一次試験
①理論
電気理論、電子理論、電気計測および電子計算
②電力
発電所および変電所の設計および運転、送電線路および配電線路(屋内配線を含む)の設計および運用ならびに電気材料
③機械
電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクスならびに電力システムに関する情報伝送および処理
④法規
電気法規(保安に関するものに限る)および電気施設管理 - 二次試験
①電力・管理
発電所および変電所の設計および運転、送電線路および配電線路(屋内配線を含む)設計および運用ならびに電気施設管理
②機械・制御
電気機器、パワーエレクトロニクス、自動制御、メカトロニクス
【第三種】
①理論②電力③機械④法規
※試験は科目ごとに合否が判定され、一部の科目だけ合格した場合は、翌年と翌々年の試験で合格科目は免除されます。
合格率
- 第一種:5%程度
- 第二種:7%程度
- 第三種:10%程度
問い合わせ
一般財団法人 電気技術者試験センター
転職・就職情報
工場などに設置されている高圧電気設備の保守・管理のために選任することが法律上義務付けられていますので、安定したニーズがあり、求人も多くあります。
難しい資格ですが、社会的な評価は高く、キャリアアップを目指すことができます。
電験三種の過去問題集
技能士・技能検定
技能士・技能検定は働くうえで必要とされる技能を検定し、特定の職種(作業)について一定の基準に達していると国が評価する国家検定制度です。
金属加工関係、一般機械器具関係、電気・精密機械器具関係などの技能士・技能検定があります。
金属・機械・電機系の技能士
- 機械加工技能士
- 仕上げ技能士
- 機械検査技能士
- 機械保全技能士
- 電子回路接続技能士
- 電子機器組立て技能士
- 電気機器組立て技能士 など
受験資格
都道府県が実施する職種の技能検定を受験するには、原則として実務経験が必要となります。
検定職種に関する職業訓練や学歴で短縮されるものがあります。
- 特級:1級合格後5年以上
- 1級:7年以上
- 2級:2年以上
- 3級:なし
- 単一等級:3年以上
3級は検定職種に関する職業訓練を受けていたり、学科に在籍していれば実務経験がなくても受験することができます。
試験日
- 実技試験:【前期】6月~9月【後期】12月~翌年2月
- 学科試験:【前期】7月~9月【後期】1月~2月
職種ごとに試験日は異なります。
試験内容
- 実技試験
・製作等作業試験
・判断等試験、計画立案等作業試験 - 学科試験
・真偽式
・多肢選択式
実技試験と学科試験が行われ、両方の試験に合格する必要があります。
どちらか一方のみ合格した場合は、次回以降は不合格となった試験のみ受験し、合格すれば技能士になることができます。(特級については5年以内)
問い合わせ
中央職業能力開発協会、都道府県職業能力開発協会、指定試験機関
転職・就職情報
技能士・技能検定は関係する職種において確かな技能レベルを証明することに役立ちます。
合格者の評価は高く、転職や就職、キャリアアップに有利です。
まとめ
工場・製造系の仕事では、技能があることは大きな強みになります。
資格手当や収入アップも期待できます。
取得するには時間や費用はある程度かかりますが、取っておく価値はあるといえるでしょう。
【参考】
・厚生労働省ウェブサイト
・ハローワークインターネットサービス
・各試験実施機関ウェブサイト