マンション管理士は、マンション管理業務を行うための国家資格です。
マンション管理士の資格は、マンション管理会社だけでなく、マンションに関連する業界、不動産業界などへの転職や就職、キャリアアップに活用できます。
管理業務主任者や宅地建物取引士など関連する資格とのダブル・トリプル取得を目指すことができ、取得メリットの高い資格といえます。
マンション管理士の資格の取り方と勉強法をご紹介します。
マンション管理士とは
マンション管理を行うための資格
マンション管理士と管理業務主任者は、マンション管理に携わる資格ですが、それぞれの役割は異なります。
管理業務主任者
管理業務主任者は、マンション管理業者が管理組合に対して管理委託契約に関する重要事項の説明や管理事務報告を行う際に必要な国家資格です。
マンション管理士がマンションの管理運営において、適切な助言等の支援を行うのに対して、管理業務主任者は、マンション管理業者の事務所ごとに設置が義務づけられ、マンション管理業務の的確な実施を行います。
マンション管理士
マンション管理士は、マンション管理に関するさまざまな問題について、専門的知識や経験をもとに解決を支援する国家資格です。
管理組合の運営、建物構造上の技術的問題などマンションの管理に関して、マンション管理組合や区分所有者の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うなど、アドバイザーとしての役割を担います。
マンション管理士の職業
職業 | 割合 |
会社員(マンション管理業) | 19.9% |
会社員(不動産業) | 14.7% |
会社員(建設業・製造業) | 7.3% |
会社員(その他の業種) | 12.8% |
自営業 | 9.9% |
公務員・団体職員 | 6.0% |
マンション管理士として就業 | 4.6% |
主婦 | 1.0% |
学生 | 0.1% |
無職 | 14.4% |
その他 | 8.3% |
(公益財団法人マンション管理センター「マンション管理士の業務についてのアンケート調査結果(平成30年)」より)
マンション管理士試験
マンション管理士になるには、マンション管理士試験に合格し、マンション管理士として登録することが必要です。
受験資格
制限なし
試験日
年1回(11月)
試験地
札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪市、広島市、福岡市、那覇市並びにこれら周辺地域
試験内容
マークシート方式による四肢択一式
- マンションの管理に関する法令及び実務に関すること
- 管理組合の運営の円滑化に関すること
- マンションの建物及び附属施設の構造及び設備に関すること
- マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関すること
合格率
8%程度
問い合わせ
公益財団法人 マンション管理センター
資格取得の勉強法
マンション管理士の資格を取得するには、独学や資格・通信講座で勉強する方法があります。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、自分の状況やかけられる時間、費用に応じて最適な方法を選ぶことが大切です。
独学に不安があったり、働きながら効率的に資格取得を目指すのであれば、試験に対応したお手頃価格の通信講座を上手に活用することをおすすめします。
資格の取得期間
マンション管理士試験と管理業務主任者試験の出題範囲は重複していますので、それぞれの試験勉強はどちらの資格にも役立ちます。
保有資格や基礎知識の有無にもよりますが、管理業務主任者の資格で6ヵ月くらいの準備期間が必要とされています。
ダブル取得やはじめて不動産関係の勉強をする人は、1年程度の余裕をもって計画を立てることをおすすめします。
短期合格のポイント
管理業務主任者試験では管理組合から受託する管理業務について問われ、マンション管理士試験では総合的な知識が問われます。
出題傾向を把握して、出題の多い分野で確実に正解することが短期合格のポイントです。
設備関係分野からの出題は、難しいものが多く、深入りするのではなく、頻出問題をしっかり押さえて得点していくことが重要になります。
効率的な勉強法
- テキストの内容を理解して、条文を読む
- 問題集を繰り返し解く
- 法律用語や専門用語を理解する
- 模擬試験を受ける
マンション管理士・管理業務主任者のテキスト
マンション管理士のテキスト
マンション管理士の過去問題集
マンション管理士・管理業務主任者の通信講座
試験内容が重なる管理業務主任者とダブル合格を目指す人は、両方の試験に合格できるように対策されているコースをおすすめします。
ダブル取得を目指せる管理業務主任者
管理業務主任者とマンション管理士は、試験範囲が重なっているためダブル取得が可能な資格です。
管理業務主任者になるには、管理業務主任者試験に合格して、管理業務主任者として登録することが必要です。
受験資格
制限なし
試験日
年1回(12月)
試験地
札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡、那覇
試験内容
四肢択一式
- 管理業務の委任契約に関すること
- 管理組合の会計の収入および支出の調定ならびに出納に関すること
- 建物および附属設備の維持または修繕に関する企画または実施の調整に関すること
- マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関すること
- その他、管理事務の実施に関すること
※マンション管理士試験の合格者は4.が免除される
合格率
20%程度
問い合わせ
一般社団法人 マンション管理業協会
資格のダブル・トリプル取得
マンション管理士は、宅地建物取引士の知識があると取得しやすい資格ですので、管理業務主任者と併せて3つすべての資格取得を目指す人もいます。
転職や就職に資格を活かしたい場合には、自分の目指す業界や職種で有効な資格から取得することをおすすめします。
宅地建物取引士
宅地建物の取引に必要な国家資格です。
不動産取引の際の重要事項説明は、宅地建物取引士だけに認められた業務です。
合格率から考えると管理業務主任者→宅建→マンション管理士の順に難しくなりますので、その順で取りやすいといえます。
マンションリフォームマネジャー
マンションリフォームマネジャーは、マンションリフォームのスペシャリストを認定する資格です。
マンション管理のさまざまな業種に活躍の場を広げることができます。
まとめ
管理業務主任者とマンション管理士はどちらもマンション管理の専門家として高いニーズがあります。
また問題解決においては、関連する資格者とのかかわりも多くあります。
建築士や福祉住環境コーディネーターなどもマンション管理の業務範囲を広げることに役立つ資格です。
【参考】
・国土交通省ウェブサイト
・一般社団法人マンション管理業協会
・公益財団法人マンション管理センター