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中央省庁の基礎知識と概要【予算・定員・採用】

日本の行政機構は内閣の下、内閣所管の組織と府省庁という中央省庁から成る「1府13省庁」の体制です。

外局として庁や委員会を設置している省庁もあります。

全国各地には、地方支分部局が置かれています。

中央省庁の転職・就職で押さえておきたい基礎知識、2022年度の概要についてご紹介します。

中央省庁の基礎知識(2023年度概要)

国の行政機関・内閣

財政再建など課題は多く、対応が急がれますが、財政赤字が続き、コロナ禍で歳出が急増しました。

こども家庭庁が2023年に内閣府外局として発足しました。

内閣

内閣には、内閣官房、内閣法制局、人事院が置かれ、内閣の下に行政機関として1府13省庁の体制となっています。

人事院

人事院は国家公務員の採用、任免など人事政策を担当します。

人事行政に関する公正の確保および国家公務員の利益の保護等に関する事務をつかさどる中立・第三者機関として、設けられました。

復興庁

復興庁は東日本大震災の復興を担当しています。

震災から10年となる2020年度末に廃止される予定でしたが、2030年度末まで延長されました。

  • 予算:5,522億円(-267億円)
  • 定員:218人

デジタル庁

デジタル庁は2021年9月に新設されました。

国・地方のDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を目的としてIT分野を担当します。

  • 予算:4,951億円(+231億円)
  • 定員:497人

内閣府

内閣府は省庁の枠を超えた案件を担当し、重要課題に取り組みます。

内閣府には、宮内庁、金融庁、消費者庁、公正取引委員会、国家公安委員会、個人情報保護委員会、こども家庭庁が設置されています。

  • 予算:4兆8,959億円(+9,526億円)
  • 定員数:15,906人

内閣府本府

内閣府には、大臣官房、政策統括官、賞勲局、男女共同参画局、地方支分局として沖縄振興局が置かれています。

金融庁

金融庁は金融行政・監督などを行います。

金融制度に関する企画・立案や銀行など民間金融機関の検査、監督などを担当しています。

消費者庁

消費者庁は消費者行政を担当します。

消費者の安全、食品表示、消費者被害の防止などの問題に取り組んでいます。

国家公安委員会

国家公安委員会は内閣府の外局として設置されている国の警察行政機関です。

国家公安委員会の管理下に警察庁があります。

総務省

総務省は地方行財政、選挙、消防防災、情報通信、郵政行政など、国家の基本的仕組みに関わる諸制度、国民生活の基盤となる行政機能を担当しています。

総務省には内部部局と外局として消防庁、公害等調整委員会があります。

  • 予算:16兆8,625億円(+4,001億円)
  • 定員数:4,810人

内部部局

大臣官房のほか、行政管理局、行政評価局、自治行政局、自治財政局、自治税務局、情報通信国際戦略局、情報流通行政局、総合通信基盤局、統計局で構成されています。

外局

外局として、消防庁と公害等調整委員会が置かれています。

消防庁は国の消防や防災対策を統括し、公害等調整委員会では公害紛争のあっせんや調定、仲裁、裁定等を行っています。

法務省

法務省は法秩序を維持し、法律を管理しています。

法務省には内部部局、特別の機関として検察庁、地方支分部局、外局などがあります。

  • 予算:7,250億円(-187億円)
  • 定員数:55,222人

内部部局

大臣官房のほか、民事局、刑事局、矯正局、保護局、人権擁護局、訟務局および入国管理局の7局制となっています。

地方支分部局

地方には法務局、矯正管区、地方更生保護委員会、保護観察所、地方入国管理局があります。

検察庁

特別の機関として、検察庁が刑事事件の捜査、起訴・不起訴の処分、刑の執行指揮などの事務を行っています。

外局

外局として、公安調査庁と公安審査委員会が置かれています。

公安調査庁では治安上の脅威の情報収集、公安審査委員会は破壊活動を行った団体への処分審査を担当しています。

外務省

外務省は外国政府や国際機関との交渉を行う窓口を担当しています。

日本が国際社会の一員として役割を担い、責任を果たすための課題に直接対応します。

外務省は内部部局と世界各地に置かれている在外公館で構成されています。

  • 予算:7,434億円(+530億円)
  • 定員数:6,604人

内部部局

大臣官房のほか、総合外交政策局、アジア大洋州局、北米局、中南米局、欧州局、中東アフリカ局、経済局、国際協力局、国際法局、領事局で構成されています。

在外公館

在外公館には大使館、総領事館、政府代表部があります。

担当する国や地域について情報収集や調査のほか、国際会議などの対応、在留邦人の保護などを行っています。

財務省

財務省は財政、税制、国庫、通過、外国為替などを担当しています。

財務省には内部部局と外局として国税庁、地方支分部局として財務局と税関があります。

  • 予算:35兆4,762億円(+4兆3,074億円)
  • 定員数:72,467人

内部部局

大臣官房のほか、主計局、主税局、関税局、理財局、国際局で構成されています。

国税庁

外局として国税庁が置かれています。

庁全体の仕事を総合調整する長官官房、国税を賦課する課税部、徴収を担当する徴収部、調査査察部で構成されています。

文部科学省

文部科学省は教育行政、科学技術、学術、文化、スポーツに関する行政を担当しています。

文部科学省には、内部部局、外局としてスポーツ庁と文化庁があります。

  • 予算:5兆2,941億円(+122億円)
  • 定員数:2,148人

内部部局

大臣官房のほか、生涯学習政策局、初等中等教育局、高等教育局、科学技術・学術政策局、研究振興局、研究開発局と国際統括官で構成されています。

外局

外局として文化庁とスポーツ庁が置かれています。

文化庁では芸術や文化財の保護を行っています。

スポーツ庁ではスポーツに関する施策を推進しています。

厚生労働省

厚生労働省は医療、社会福祉、年金制度、介護保険、失業対策など国民生活の基盤を担当しています。

厚生労働省は内部部局と地方支分部局、外局として中央労働委員会があります。

  • 予算:33兆1,686億円(-3,474億円)
  • 定員数:23,856人

内部部局

大臣官房のほか、医政局、健康局、医薬・生活衛生局、労働基準局、職業安定局、職業能力開発局、雇用均等・児童家庭局、社会・援護局、老健局、保険局、年金局で構成されています。

中央労働委員会

外局として中央労働委員会が置かれています。

労働組合の資格審査、不当労働行為の審査、労働争議のあっせん・調定・仲裁などを担当しています。

農林水産省

農林水産省は農林水産業の振興や食料の安定供給などを担当しています。

農林水産省には内部部局と外局として水産庁と林野庁があります。

  • 予算:2兆0,936億円(-105億円)
  • 定員数:19,414人

内部部局

大臣官房のほか、消費・安全局、食料産業局、生産局、経営局、農村振興局で構成されています。

外局

外局として、水産庁と林野庁が置かれています。

水産庁は漁業の振興、海洋生物資源の保存や管理などを担当し、林野庁は森林の保護や整備保全を担当しています。

経済産業省

経済産業省は経済や産業の発展と地域経済の活性化など経済社会システムを担当しています。

経済産業省には内部部局と外局、委員会等事務局があります。

  • 予算:8,808億円(-214億円)
  • 定員数:5,141人

内部部局

大臣官房のほか、経済産業政策局、通商政策局、貿易経済協力局、産業技術環境局、製造産業局、商務情報政策局で構成されています。

外局

外局として、資源エネルギー庁、特許庁、中小企業庁が置かれています。

資源エネルギー庁はエネルギーの安定供給の確保、特許庁は産業財産権制度を管理、中小企業庁は中小企業の成長支援を行っています。

国土交通省

国土交通省は国土の利用・開発・保全、そのための社会試験の整備、交通政策、気象や防災対策、海上の安全や治安の確保などを担当しています。

国土交通省には内部部局、外局として海上保安庁、気象庁、観光庁、運輸安全委員会があります。

  • 予算:6兆0,524億円(+217億円)
  • 定員数:51,825人

内部部局

大臣官房のほか、総合政策局、国土政策局、土地・建設産業局、都市局、水管理・国土保全局、道路局、住宅局、鉄道局、自動車局、海事局、港湾局、航空局、北海道局で構成されています。

外局

外局として、海上保安庁、気象庁、観光庁、運輸安全委員会が置かれています。

海上保安庁は領海警備など海上の安全確保、気象庁は気象、地震、火山活動についての情報発信、観光庁は観光産業の育成、運輸安全委員会は航空・鉄道・船舶事故の調査を行っています。

環境省

環境省は地球規模の環境問題に取り組み、持続可能な社会を構築するための対策を行っています。

環境省には内部部局と外局として原子力規制委員会があります。

  • 予算:3,257億円(-33億円)
  • 定員数:2,081人

内部部局

大臣官房のほか、総合環境政策局、地球環境部、水・大気環境局、自然環境局で構成されています。

原子力規制委員会

原発の安全規制を担当しています。

防衛省

防衛省は国の安全を保つために、防衛力の整備や運用を担当しています。

国際平和協力や大規模災害などでも重要な任務を担っています。

防衛省には内部部局と統合幕僚監部、陸上幕僚監部、海上幕僚監部、航空幕僚監部、情報本部、防衛監察本部、防衛大学校、防衛医科大学校、防衛研究所などの機関と地方支分部局として地方防衛局、外局として防衛装備庁があります。

  • 予算:6兆7,879億円(+1兆4,192億円)
  • 定員数:21,046人

内部部局

大臣官房のほか、防衛政策局、整備計画局、人事教育局、地方協力局で構成されています。

防衛装備庁

外局として、防衛装備庁が置かれています。

防衛装備の研究開発や調達、管理などを行っています。

国家公務員の採用・勤務条件

国家公務員の採用

国家公務員になるためには、通常、公開されている採用試験に合格する必要があります。

多くは年齢などの条件を満たしていれば、誰でも受験することができます。

社会人経験者や資格保有者を対象とした「経験者採用試験」も実施されています。

2023年度総合職試験(大卒程度)採用予定数

  • 政治・国際:約75人
  • 法律:約125人
  • 経済:約50人
  • 人間科学:約10人
  • デジタル:約25人
  • 工学:約75人
  • 数理科学・物理・地球科学:約10人
  • 化学・生物・薬学:約15人
  • 農業科学・水産:約35人
  • 農業農村工学:約20人
  • 森林・自然環境:約15人

2023年度一般職試験(大卒程度)採用予定数

  • 行政:約700人
  • デジタル・電気・電子:約250人
  • 機械:約110人
  • 土木:約390人
  • 建築:約70人
  • 物理:約190人
  • 化学:約160人
  • 農学:約170人
  • 農業農村工学:約40人
  • 林学:約120人

2023年度一般職試験(高卒程度)採用予定数

  • 事務:約1,290人
  • 技術:約565人
  • 農業土木:約70人
  • 林業:約30人

2023年度専門職試験(大卒程度)採用予定数

  • 皇宮護衛官:約30人
  • 法務省専門職員(人間科学):約255人
  • 財務専門官:約160人
  • 国税専門官:約1,100人
  • 食品衛生監視員:約35人
  • 労働基準監督官:約210人
  • 航空管制官:約85人
  • 海上保安官:約30人

2023年度専門職試験(高卒程度)採用予定数

  • 海上保安学校学生:約240人
  • 税務職員:約713人
  • 皇宮護衛官:約15人
  • 入国警備官:約95人
  • 航空保安大学校学生:約50人
  • その他
社会人になってから国家公務員になるには
国家公務員試験には多くの種類があります。20代であれば、ほぼすべての試験を受けることができます。国家公務員試験の種類・採用試験・勉強法についてご紹介します
国家公務員の中途採用「経験者採用試験」と「一般職社会人試験」
国家公務員の中途採用には、主に実務経験者向けの「経験者採用試験」と経歴に関わらず受験できる「一般職社会人試験」があります。

国家公務員の給与

国家公務員の給与は「俸給」と「諸手当」からなっています。

経験者採用の俸給月額は、採用者の経験年数と同程度の経験年数を有する部内職員が受ける俸給月額との均衡を考慮して決定されます。

比較する部内職員は試験によって異なります。

ボーナスとして「期末・勤勉手当」が支給されます。

俸給

俸給は民間企業の基本給に相当するものといえます。

俸給は、職種ごとに俸給表があり、どの職員にどの俸給表を適用するかは、あらかじめ決まっています。

諸手当

諸手当は、扶養手当、住居手当、通勤手当などのことです。

それぞれの手当の支給要件に該当すれば支給されます。

勤務時間・休暇等

勤務時間は1日7時間45分、原則として 土・日曜日および祝日等の休日は休みです。

休暇には、年20日の年次休暇のほか、病気休暇、特別休暇、介護休暇があります。

特別休暇にはいろいろな種類があり、各休暇ごとに日数などが決められています。

国家公務員の特別休暇

  • 夏季休暇
  • 結婚休暇
  • 産前産後休暇
  • 出産休暇
  • 育児休暇
  • 子の看護休暇
  • 忌引休暇
  • ボランティア休暇 など

まとめ

課題は多いですが、それだけやりがいも大きい世界です。

国家公務員にはさまざまな職種があり、20代には多くのチャンスがあります。

国民全体のために働くという自覚と意欲があれば、魅力的な仕事といえるでしょう。

業界天気図一覧(2025年)
採用市場と密接に関わる企業の業績。業界の動向は転職・就職活動を進めるうえで、重要な情報のひとつです。2025年度の主要業界天気予想を一覧にしました。

 

【参考】
・国家公務員試験採用情報NAVI
・東洋経済新報社『四季報業界地図2024年版』