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出版社・書店の業界研究【概要・動向】

出版業界はインターネットの普及で大きく変化しています。

市場規模が縮小し、紙媒体は厳しい状況が続いています。

一方、デジタル領域はコミックを中心に市場を拡大しています。

転職・就職で押さえておきたい出版業界の概要と動向をご紹介します。

出版業とは

出版業とは、主に書籍、教科書、辞典、パンフレット、雑誌、定期刊行物などの出版を行う事業のことです。

出版業界では、出版社(メーカー)、取次(卸)、書店(小売り)が流通の基本構造になっています。出版社は取次、書店との契約によって販売価格を決めることができます。書店は価格を決められないため、売れない出版物の返品可能となっています。

電子書籍の発展で電子取次や電子書店という事業分野も成長しています。業界では再編が相次ぎ、印刷会社も大きく関わっています。雑誌・書籍の販売は市場縮小傾向が続き、ピーク時からほぼ半減しています。

出版社ではKADOKAWAがアマゾンジャパンと書籍や雑誌を対象に取次を通さない直接取引を始めました。

出版社

紙の出版物の販売が低迷する一方で、電子書籍の市場は拡大傾向が続いています。

講談社

音羽グループ。

関連会社に光文社、キングレコードなど。

  • 創業:1909年11月
  • 従業員数:945人
  • 平均年齢:44歳
  • 雑誌:「週刊少年マガジン」など

小学館

一ツ橋グループ。

集英社の大株主です。

  • 創業:1922年8月8日
  • 従業員数:701人
  • 雑誌:「週刊少年サンデー」など

集英社

小学館の娯楽誌出版部門として独立。

関連会社には白泉社などがあります。

  • 創業:1926年8月
  • 従業員数:764人
  • 雑誌:「週刊少年ジャンプ」など

KADOKAWA

ドワンゴと経営統合。

電子書店も運営しています。

  • 設立:2014年10月1日
  • 従業員数:5,349人
  • 平均年齢:42歳

学研ホールディングス

学習参考書、図鑑など。

教育分野を中心に書籍、雑誌を出版しています。

  • 設立:1947年3月31日
  • 従業員数:8,417人
  • 平均年齢:52歳

文芸・総合

  • 新潮社
  • 文藝春秋
  • 宝島社
  • マガジンハウス
  • 朝日新聞出版
  • 光文社
  • 徳間書店
  • 扶桑社
  • 中央公論新社

経済・ビジネス

  • 日経BP
  • 東洋経済新報社
  • ダイヤモンド社
  • プレジデント社
  • 中央経済社ホールディングス

情報系

情報系の出版事業を展開しています。

インプレスホールディングス

デジタルメディア大手。

IT分野の事業が中心です。

  • 設立:1992年4月1日
  • 従業員数:647人
  • 平均年齢:48歳

リクルートホールディングス

メディア&ソリューション事業を展開。

  • 設立:1963年8月26日
  • 従業員数:51,757人
  • 平均年齢:39歳

ぴあ

チケット販売大手。

  • 設立:1974年12月20日
  • 従業員数:342人
  • 平均年齢:41歳

教育系・地図

専門分野に特化した事業を展開しています。

ベネッセホールディングス

通信教育の大手。

  • 創業:1955年1月28日
  • 従業員数:16,515人
  • 平均年齢:45歳

ゼンリン

住宅地図の最大手。

  • 設立:1961年4月
  • 従業員数:3,693人
  • 平均年齢:46歳

旺文社ホールディングス

旅行ガイドなど。

  • 創業:1931年10月
  • 従業員数:229人
  • 平均年齢:47歳

取次(卸売り)

取次では、大手2社「日本出版販売」と「トーハン」が物流協業で合意し、物流拠点を統廃合し、効率化を進めています。

出版取次

  1. 日販グループホールディングス:取次最大手
  2. トーハン:取次2位
  3. 楽天ブックスネットワーク(旧大阪屋栗田):取次3位

書店(小売り)

書店は、店頭販売が減少し、ネット通販との競合が激化しています。

大手チェーンは、コワーキングスペース併設など収益力の強化を図っています。

カルチュア・コンビニエンス・クラブ

「蔦屋書店」「TSUTAYA」を展開。

グループで「Tポイント」サービスなども行っています。

紀伊國屋書店

書店大手。

電子書籍も展開しています。

  • 創業:1927年1月22日
  • 従業員数:5,000人

丸善CHIホールディングス

「丸善ジュンク堂書店」など。

出版、マーケティング、書店、図書館支援の事業を展開しています。

  • 設立:2010年2月1日
  • 従業員数:1,579人
  • 平均年齢:52歳

文教堂グループホールディングス

日本出版販売グループ。

「文教堂」などを展開しています。

  • 設立:1949年12月1日
  • 従業員数:165人
  • 平均年齢:52歳

ブックオフグループホールディングス

中古本販売チェーン。

閉店など事業見直しの動きがあります。

  • 設立:2018年10月1日
  • 従業員数:1,460人
  • 平均年齢:44歳

書店

  • 有隣堂
  • 未来屋書店
  • 三洋堂ホールディングス

電子取次・電子書店

電子書籍は、コンテンツを扱う事業者、電子配信事業者、電子書籍端末メーカーなどで構成されます。

出版社と取次事業者、IT企業などが積極的に取り組んでいます。

リアル書店との融合も進み、今後数年で市場規模は2倍以上に拡大する見込みです。

メディアドゥ

電子書籍の取次国内首位。

電子書籍サイトの運営も行っています。

  • 設立:1999年4月1日
  • 従業員数:580人
  • 平均年齢:35歳

イーブックイニシアティブジャパン

電子書店。

コンテンツの電子化および配信サービスを行っています。

インフォコム

電子書店。

子会社のアムタスが「めちゃコミック」を運営しています。

  • 設立:1983年2月
  • 従業員数:1,290人
  • 平均年齢:44歳

パピレス

電子書店。

電子書籍レンタルの「Renta!」を運営しています。

  • 従業員数:134人
  • 平均年齢:33歳

電子書店

  • アマゾン:Kindleストア
  • アップル:Apple Books
  • グーグル:GooglePlayブックス
  • NTTドコモ:dマガジン、dブック
  • 楽天グループ:楽天ブックス
  • LINE:LINEマンガ

出版社の売上高

順位企業名売上高
(百万円)
1KADOKAWA221,208
2集英社201,014
3講談社170,774
4小学館105,721
5日経ビーピー40,300
6宝島社34,305
7東京書籍29,304
8学研プラス24,765
9ぎょうせい21,389
10文藝春秋20,703
11光文社16,850
12新潮社15,931
13双葉社15,543
14ダイヤモンド社14,097
15NHK出版13,697

書店の売上高

順位企業名売上高
(百万円)
1カルチュア・コンビニエンス・クラブ181,942
2紀伊国屋書店97,890
3丸善ジュンク堂書店69,966
4有隣堂66,866
5未来屋書店48,547
6ヴィレッジヴァンガードコーポレーション28,293
7トップカルチャー26,407
8くまざわ書店23,300
9宮脇書店23,214
10精文館書店22,094
11虎の穴19,545
12三洋堂ホールディングス18,853
13三省堂書店18,248
14文教堂17,687
15リブロプラス16,535

電子書店・電子書籍取次の売上高

順位企業名売上高
(百万円)
1メディアドゥ104,722
2ブックウォーカー51,700
3アムタス39,850
4イーブックイニシアティブジャパン32,867
5パピレス20,700

(帝国データバンク『業界動向2023-Ⅰ』より)

出版業界の採用市場

出版社の採用は狭き門です。

新卒採用は定期的に実施されていて、中途採用については経験者の即戦力採用になります。

アルバイト募集は随時行われています。

デジタル分野では、業界未経験者の採用にもチャンスが増えています。

営業職からクリエイティブ職まで幅広い職種で求人ニーズがあります。

デジタル分野の経験者はまだ少ないので、今から実績を積むことで、市場価値を高めることができます。

さらにその先には業界内でキャリアアップする道も広がります。

マスコミ職種の転職活動

エージェントサービスを利用すると、業界や職種に精通したサポートを受けることができます。

マスメディアンは、マスコミ職種で業界トップクラスの求人を保有し、専門性の高い転職支援サービスを提供しています。

編集者(雑誌・書籍)/記者、ライター/校正・校閲/広告営業/販売営業/進行管理/宣伝担当/インターネット推進/など

マスコミ職種なら

映像・音声・文字情報制作業の給与

区分20~24歳25~29歳43.1歳
(平均)
所定労働時間168時間166時間160時間
残業10時間10時間9時間
月収257,800円295,200円448,300円
年間賞与等352,900円730,600円1,366,900円
年収3,446,500円4,273,000円6,746,500円

(厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」より)

まとめ

出版業界では、紙媒体の減少傾向や物流コストの高騰など厳しい環境が続くなか、流通システムの大変革が進められています。

伸びが期待できるデジタル領域での対応が今後の成長のカギになるといえるでしょう。

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【参考】
・総務省「日本標準産業分類
・公益社団法人全国出版協会「出版科学研究所」
・日本経済新聞出版『日経業界地図2023年版』
・東洋経済新報社『四季報業界地図2023年版』