自動車産業の業界研究


自動車は製造業をけん引する日本産業の柱であり、多くの雇用が生み出されています。

自動車業界は、環境規制や自動運転など大きな変革期にあります。

コロナ禍による需要の落ち込みは回復傾向にありますが、次世代技術への対応などで、当面は厳しい経営環境が続きそうです。

自動車産業の転職・就職で押さえておきたい業界の動向、売上高ランキング、採用市場をご紹介します。

自動車業界の最新動向(2022年)

自動車業界とは

自動車1台に3万点に上る部品が使われるといわれる自動車産業では、多くの部品メーカーが完成車メーカーを支える構造になっています。

雇用創出の効果が大きく、製造業の中心を担っています。

日本の自動車メーカーは、サプライヤーをパートナーとして扱い、長期取引を行っています。

自動車部品メーカーは、多くの場合、特定の自動車メーカーの企業グループ「企業系列」に属しています。

今後、電気自動車などエコカーへのシフトが進むと、業界の構造は変化し、雇用維持など多くの課題もあります。

世界の自動車販売台数(2020年)

  1. トヨタ自動車(日)
  2. フォルクスワーゲン(独)
  3. ルノー・日産・三菱アライアンス(仏・日)
  4. ゼネラル・モーターズ(米)
  5. 現代自動車(韓)

最新技術

各社は次世代技術の「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)」への対応を進めています。

エコカー

電気自動車(EV)も燃料電池車(FCV)も電気でモーターを回して走ります。

EVは急速充電器などを通じて電池にためた電気を使い、FCVは充填した水素を化学反応させて起こした電気を使います。

世界的な環境規制の強化で開発競争が進んでいます。

自動運転

自動運転の実現により、交通事故の減少、渋滞の回避、二酸化炭素の削減などが見込まれます。

ホンダが世界初のレベル3の自動運転機能搭載モデルを発売するなど、国内での取り組みが活発化しています。

  • レベル1:運転支援
  • レベル2:部分自動運転
  • レベル3:条件付自動運転
  • レベル4:高度自動運転
  • レベル5:完全自動運転

カーシェア

カーシェアの普及が進んでいましたが、新型コロナの影響で利用者が減少しています。

自動車(国内)

好調を継続していた新車販売台数は新型コロナウイルスの感染拡大の影響により減少しましたが、中国市場の回復とともに増加しています。

自動車部品メーカーはブレーキや電線、ドア、ゴム部品などを自動車メーカーに供給しています。

一部の大手企業を除き、多くは中小企業で構成されています。

トヨタ自動車

国内最大のメーカー。ハイブリット車に大きな強みがあります。

  • 従業員数:366,283人
  • 平均年齢:40歳
  • 国内販売台数:153万台
  • 世界販売台数:991万台

トヨタ自動車系部品メーカー

  • デンソー(自動車部品国内最大手)
  • アイシン(旧アイシン精機)
  • 豊田自動織機
  • トヨタ紡織
  • ジェイテクト
  • 豊田合成
  • 東海理化
  • フタバ産業

ホンダ

登録車販売2位。登録車はコンパクト車やミニバンが中心です。

  • 従業員数:218,674人
  • 平均年齢:46歳
  • 国内販売台数:61万台
  • 世界販売台数:454万台

ホンダ系部品メーカー

  • テイ・エス テック
  • エフテック
  • ユタカ技研
  • 八千代工業
  • 旧ケーヒン
  • 旧ショーワ
  • 旧日信工業
  • スタンレー電気(ホンダ中心)

スズキ

小型車、二輪大手。軽を主体として販売台数を伸ばしていましたが、登録者販売にも力を入れています。

  • 従業員数:68,739人
  • 平均年齢:41歳
  • 国内販売台数:64万台
  • 世界販売台数:257万台

日産自動車

登録車販売3位。EVと自動運転技術に注力しています。

経営陣の逮捕でブランドイメージが悪化。

  • 従業員数:131,461人
  • 平均年齢:42歳
  • 国内販売台数:47万台
  • 世界販売台数:405万台

日産自動車系部品メーカー

  • ジヤトコ
  • 愛知機械工業
  • ユニプレス(日産向けが中心)

ダイハツ工業

軽の首位。トヨタの完全子会社でトヨタの小型車戦略を担っています。

  • 国内販売台数:59万台
  • 世界販売台数:68万台

マツダ

ディーゼルエンジンに強みがあります。

  • 従業員数:49,786人
  • 平均年齢:42歳
  • 国内販売台数:17万台
  • 世界販売台数:128万台

SUBARU

利益率は業界トップ。アメリカ市場に強みがあります。

  • 従業員数:36,070人
  • 平均年齢:39歳
  • 国内販売台数:10万台
  • 世界販売台数:86万台

三菱自動車

東南アジアが主力。実質的に日産の傘下に入っています。

  • 従業員数:30,091人
  • 平均年齢:41歳
  • 国内販売台数:7万台
  • 世界販売台数:80万台

自動車部品

電動化や情報関連の部品が増加し、エンジン関連が占める割合は減少傾向にあります。

独立系部品メーカー

  • 矢崎総業
  • マレリ
  • 日本精工
  • 小糸製作所
  • ニッパツ
  • NTN
  • NOK
  • KYB
  • トピー工業
  • サンデンホールティングス
  • 曙ブレーキ工業
自動車部品の業界研究
多くの自動車部品メーカーが完成車メーカーに部品を供給し、自動車産業を支えています。自動車部品の業界動向、売上高ランキング、採用市場をご紹介します。

トラック

次世代車両開発を推進。メーカー間のグループ系列を超えた提携が進んでいます。

いすゞ自動車

トラック大手。国内唯一の独立系メーカーです。

  • 従業員数:36,224人
  • 平均年齢:41歳
  • 国内販売台数:7万台
  • 世界販売台数:55万台

日野自動車

大型トラックに強み。一部トヨタブランドのトラックを受託生産をしています。

  • 従業員数:34,527人
  • 平均年齢:38歳
  • 国内販売台数:6万台
  • 世界販売台数:14万台

三菱ふそうトラック・バス

三菱自動車からダイムラーの傘下に。アジア戦略を担っています。

二輪車

日本メーカーが世界シェアの5割を占めています。

世界最大市場のインドが成長をけん引してきましたが、新型コロナウイルス感染拡大により需要は減少しています。

ホンダ

世界首位。アジアを中心に世界市場で高いシェアを占めています。

  • 販売台数:1,513万台

ヤマハ発動機

世界3位。売上の9割が海外です。インドネシア中心にアジアを強化しています。

  • 従業員数:52,437人
  • 平均年齢:43歳
  • 販売台数:380万台

スズキ

販売の多くがインドや中国などのアジアです。

  • 販売台数:151万台

川崎重工業

中大型バイクに強み。

  • 従業員数:36,691人
  • 平均年齢:39歳
  • 販売台数:37万台

中古車

中古車業界は価格競争が激化し、個人から車を仕入れるなど小売り重視の流れが見られるようになっています。

中古車買い取り

従来の卸売中心から小売強化の流れが加速しています。

  • IDOM
  • カーチスホールディングス
  • アップルオートネットワーク
  • バイク王&カンパニー

カーオークション

競争激化で落札率は低下しています。

  • ユー・エス・エス
  • トヨタユーゼック
  • オークネット

中古車販売

新車市場の成長可能性が低く、中古車市場も伸び悩むとみられます。

  • ビックモーター
  • ネクステージ
  • ケーユーホールディングス

自動車業界の売上高ランキング

自動車・二輪車製造

順位企業名売上高(百万円)
1トヨタ自動車27,214,594
2本田技研工業13,170,519
3日産自動車7,862,572
4スズキ3,178,209
5マツダ2,882,066
6SUBARU2,830,210
7いすゞ自動車1,908,150
8日野自動車1,498,442
9ヤマハ発動機1,471,298
10三菱自動車工業1,455,476
11ダイハツ工業1,364,000
12三菱ふそうトラック・バス595,654
13UDトラックス242,979
参考川崎重工業1,488,486

国産車・輸入車販売

順位企業名売上高(百万円)
1トヨタモビリティ東京379,422
2ヤナセ375,221
3メルセデス・ベンツ日本354,558
4神奈川トヨタ自動車185,059
5南関東日野自動車161,207
6いすゞ自動車首都圏157,982
7名古屋トヨペット156,685
8大阪トヨペット153,049
9愛知トヨタ自動車146,282
10フォルクスワーゲングループジャパン135,153
11埼玉トヨペット130,036
12横浜トヨペット126,600
13関東マツダ106,581
14日産大阪販売99,526
15日産自動車販売82,754

(帝国データバンク『業界動向2022-Ⅰ』より)

自動車業界の採用市場

自動車業界の求人・転職

自動車業界は好調から一転し、需要が減少しましたが、次世代技術の研究開発は継続する方針です。

自動運転やIoTなど新しい技術開発が急務となっているため、組み込み・ソフト系エンジニアのニーズが一段と高くなっています。

生産性向上を目的とする「工場のスマート化」にも力を入れ始めていますので、生産技術開発の技術者や生産のプロセス全体や工場内のシステムを設計するエンジニアが求められています。

輸送用機器製造業の給与

区分20~24歳25~29歳41.9歳(平均)
所定内労働時間162時間164時間163時間
残業12時間14時間11時間
月収233,100円366,800円352,600円
年間賞与等610,500円827,300円1,344,000円
年収3,407,700円5,228,900円5,575,200円

(厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」より)

自動車業界の転職活動

転職エージェントの転職支援サービスを利用すると、業界や職種に精通したキャリアコンサルタントが転職をサポートしてくれます。

非公開・好条件の求人紹介だけでなく、専任のキャリアコンサルタントによる企業ごとの書類作成や面接対策などで選考通過率のアップが期待できます。

キャリアごとの転職支援

まとめ

市場規模も働く人も桁違いの自動車業界の動向は、労働市場にも大きな影響を及ぼします。

各社は生き残りをかけて、次世代技術の研究開発を進めています。

自動車産業の大きな転換期ともいえる時代に、価値観の変化にも対応した新たな取り組みが求められています。

工場・製造現場で有利なおすすめ資格
工場・製造現場では技術と経験の積み重ねが重視されます。経験の浅い人や未経験者であれば、資格を取得することでキャリアアップや収入アップの可能性が広がります。
転職・就職に役立つ業界天気図一覧(2022年)
採用市場と密接に関わる企業の業績。業界の動向は転職活動を進めるうえで、重要な情報のひとつです。2022年度の主要業界天気図を一覧にしました。

 

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