建設技術者の書類選考では、他の職種以上に応募企業が求めている技術や実績を満たしていることが重要になります。
職務経歴書は、どのような技術をどのレベルで保有しているのか、その技術を使ってどのような仕事をしてきたかをわかりやすくまとめることが大切です。
未経験者の応募は関連職種からのキャリアチェンジが多いですが、技能・技術系の資格があればアピールになります。
建設技術者の職務経歴書の書き方についてご紹介します。
建設技術者の職務経歴書
職務経歴書とは
職務経歴書は履歴書より職務内容を詳細に記載した応募書類です。
実務能力を重視する転職の採用選考では、多くの場合、履歴書と職務経歴書で書類審査が行われます。
一般的に書類審査を通過した人に対してのみ、面接が行われますので、転職の採用選考における職務経歴書の重要度は高いといえます。
職務経歴書の役割
- 求められている経験やスキルがあることを伝える
- 未経験や不足しているスキルは勉強中であることを示す
- 伝えたいことをわかりやすくまとめる
職務経歴書のフォーマット
職務経歴の書き方には、経歴を時系列にまとめる「編年体式」と職務内容をプロジェクトや工事ごとにまとめる「キャリア式」があります。
技術職の職務経歴書は、「キャリア式」の方が見やすい場合が多いといえます。
編年体式
経歴を古いものから順に時系列にまとめる書き方です。
基本的な構成は入社、配属、異動などの見出しと見出しに沿った職務内容、実績を記載する形式です。
古い方から書くのが一般的ですが、最新のものから書く形式(逆編年体形式)もあります。
習熟度やレベルアップをアピールしやすいので、同じ業務に携わってきた人に向いています。
キャリア式
時系列ではなく、職務内容ごとに経歴をまとめる書き方です。
基本的な構成は、経歴の要約、職歴と、職種別、プロジェクト別などキャリア(同じ業務)ごとにまとめて記載する形式です。
プロジェクトごとに、業務内容や規模、担当が異なる技術職・エンジニアの人に向いています。
キャリア式のポイント
キャリア式で記載するときには、内容をわかりやすくまとめることがポイントです。
職務・プロジェクトごとにまとめる
年代順に職歴を書き出し、職務、プロジェクト、担当現場などに分けて記載します。
職務内容に見出しをつける
職務ごとにまとめて、内容がわかるような見出しをつけます。
【例】「(プロジェクト名)の詳細設計」「(工事名)の施工管理担当」など
職務内容を箇条書きにする
担当分野、担当フェーズ、現場環境、役割などを箇条書きにまとめます。
表を使用する
文章の羅列では読みにくくなる場合があります。
表を使うなど見やすさにも配慮すると好印象です。
建設技術者の職務経歴書で記載する内容
建設技術者の職務経歴書では、応募企業が求めている経験やスキルを中心にまとめることが大切です。
技術職の必須内容
- 職務(プロジェクト)の内容:設計、施工管理など担当した業務内容の説明
- 工程・工事:携わった工程・工事の特徴や説明
- 施工現場:該当する現場の環境を記載
- 実績:プロジェクト・工事の実績など具体的に表すとわかりやすい
- 資格:アピールとなる取得資格を記載
建設技術者の職務経歴書の書き方
建設技術者の職務経歴書は、経験したことをすべて記載するのではなく、求められている実績やスキルに関わる経験に重点を置いて作成します。
職務概要
「キャリア式」で書く場合には、冒頭に簡単な経歴を【職務概要】や【経歴要約】などとして、まとめるとわかりやすいです。
プロジェクトの一覧
担当した職務やプロジェクト、フェーズごとにまとめます。
期間、業務内容、施工現場、メンバー、立場など区分して記載すると見やすくなります。
職務内容
プロジェクト名など見出しをつけて、業務の内容を簡単にまとめます。
担当分野、担当フェーズなども記載します。
携わったプロジェクトが多い場合には、応募企業の求人ニーズに合致する領域を中心にA4サイズ1~2枚にまとめましょう。
施工現場、役割
担当した現場環境を記載し、プロジェクト全体の規模やそのなかでの立場・役割なども盛り込みます。
リーダー経験
管理としての役割を担ってきた場合は、積極的にアピールします。
リーダー補佐などでも経験した業務を記載しましょう。
中途採用では、マネジメント力、コミュニケーション力が重視されますので、何人のメンバーをまとめたかなどを盛り込みます。
資格・スキル
技術職には、専門の資格やスキルだけでなく、英語や中国語などの語学力が求められることもあります。
TOEICのスコアもアピール材料です。
自己PR
応募企業が求めているスキル、経験と合致させて、技術職としての強みや、職務を通じて習得したこと、応募先で貢献できることを記載します。
建設コンサルタントのアピールポイント
建設コンサルタントには高度な知識やマネジメント能力、提案力が求められます。
設計業務だけでなく、発注者を支援するパートナーとしての役割が重要になっています。
経験者
- 事業内容を意識した経験領域とスキルの詳細記述がポイント
- 管理やマネジメント経験は有利
- 企画・調査・計画・設計・維持管理、メンバーの管理、品質管理など責任や役割がわかる内容にする
未経験者
- 未経験であっても関連資格などで技能・技術レベルを証明する
- 応募企業の業界知識、対人折衝力、コミュニケーション力、チームワーク、語学力がアピール材料
建築・土木系のアピールポイント
建築・土木系の技術職では、専門技術に加えて、交渉力やマネジメント能力もアピールになります。
経験が浅い場合には、必要なスキルや知識を習得中であることを伝えます。
経験者
- 建築・土木技術や関連法規の知識など具体的なスキルを記載する
- プロジェクトの実績や評価だけでなく交渉や折衝などの経験もアピール材料
- マネジメント・リーダー経験は有利。規模(メンバー数)や進捗・チーム管理などを記載する
未経験者
- 必要な資格は勉強中であることを記載する
- 一級建築士や工事、不動産関連の資格がアピール材料
- コミュニケーション能力、交渉力、事務処理能力などを記載する
建設技術者の転職スキルアップ
建設業界には多くの資格があります。
いずれも重要な資格ばかりですので、取得できれば強い武器になります。
勉強中のものであっても意欲を伝えることができます。
建築・土木系の重要資格
- 建築士
- 施工管理技士(建築・土木・管工事・電気工事・建設機械等)
- 電気工事士
- 測量士
- 技能士・技能検定
- 機械運転・運転士 など
まとめ
職務経歴書に最初に目を通すのは、技術職ではない採用担当であることがほとんどです。
経験したプロジェクトをただ羅列してもアピールにはなりません。
応募企業で求めている経験やスキルを強調することが、書類選考を通過させる重要なポイントです。
基本的にはチームで業務を行いますので、クライアントやメンバーとの関係、コミュニケーション力も選考ポイントのひとつです。



参考:職務経歴書の基本構成
職務経歴書
20××年×月×日
氏名○○ ○○
【職務概要】
「キャリア式」で書く場合には、冒頭に簡単な経歴を【職務概要】や【経歴要約】などとしてまとめると、採用担当にも伝わりやすくなります。
【職務内容】
担当した職務やプロジェクト、工事ごとにまとめます。期間、業務内容、施工現場、メンバー、立場などを記載するとわかりやすくなります。
- 勤務先、勤務期間、所属、職種
- 経験した業務の詳細・実績
- 昇格・昇進、リーダー経験など
【習得スキル】
プロジェクトや工事、施工現場で習得した技術や語学力などを記載します。
- 専門技能・技術
- 使用ツール・パソコンスキル
- 受講研修
- 語学力 など
【資格・免許】
応募職種に活かせる資格や免許をすべて記載します。
【自己PR】
自分の強みや技術、経験が応募職種にどのように活かせるかを記載します。ものづくりへの思いを伝えることもポイントです。特に経験が浅い第二新卒や未経験者は、積極的や姿勢や意欲を伝えることが大切です。
- アピールポイント
- 転職(退職)理由
【参考】
・国土交通省ウェブサイト
・厚生労働省ウェブサイト
・ハローワークインターネットサービス