歯科衛生士のニーズは年々高まっています。歯科衛生士になる人は増えていますが、求人も増えているため人材は不足している状況です。
歯科衛生士の勤務先は歯科診療所が中心ですが、高齢者の口腔ケアの重要性が高まり、介護老人保健施設など歯科診療所以外でも歯科衛生士のニーズが高まっています。
歯科衛生士の就職先
歯科衛生士の就業場所
20代の歯科衛生士も多くが歯科診療所での勤務です。病院の歯科や保健所、企業の診療所などで働く歯科衛生士もいますが、人数は多くありません。
就業場所別の歯科衛生士
就業場所 | 歯科衛生士(人) | 構成割合(%) |
診療所 | 120,068 | 90.5 |
病院 | 6,629 | 5.0 |
保健所 | 646 | 0.5 |
都道府県 | 66 | 0.0 |
市町村 | 2,154 | 1.6 |
介護保険施設等 | 1,282 | 1.0 |
歯科衛生士養成校 | 963 | 0.7 |
事業所 | 283 | 0.2 |
その他 | 538 | 0.4 |
総数 | 132,629 | 100.0 |
(厚生労働省「平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)」より)
歯科診療所
歯科診療所は、入院設備をもたない、または入院ベッド数が19床以下で、歯科のみの診療を行う施設です。多くは、歯科医院、歯科クリニック、デンタルクリニックなどとして開設されています。
歯科診療所の規模はさまざまですが、歯科医師1人に歯科衛生士が2~5人、歯科助手が数人という少人数の職場が多いです。
インプラント治療や矯正治療、訪問歯科診療など、特定の分野に力を入れる歯科診療所も増えています。
診療所での歯科衛生士の仕事
歯科医師の診療の補助や、患者さんへの予防処置、歯磨き指導などの歯科保健指導を行います。
歯科助手がいない診療所では、歯科衛生士が受付や会計などの事務まで行う場合もあります。
病院
病院は、入院ベッド数が20床以上の医療施設です。おもに一般の歯科診療所では治療が難しい患者を診療します。
規模の大きい病院歯科では、専門治療を行うために科が複数に分かれています。配属される科によりある程度の専門知識が必要になりますが、基本的には歯科衛生士の仕事は同じです。
病院での歯科衛生士の仕事
歯科診療の補助のほか、入院患者の口腔の健康管理を行います。主任など役職についた場合は、スタッフの指導や病院運営に関する仕事なども任されます。
保健所・保健センター
保健所・保健センターは、地域の保健や衛生に関する事業を担当する地方自治体の行政機関です。保健所は都道府県、政令市、東京都特別区に、保健センターは市町村に設置されています。
保健所・保健センターの歯科衛生士の仕事
歯科保健指導や歯と口に関する健康教育を行っています。歯科診療所では患者が対象であるのに対して、保健所や保健センターでは地域の人々が対象になります。また身分は公務員になります。
介護保険施設等
高齢化が進み、介護老人保健施設や特別養護老人ホームなどの介護施設に勤務する歯科衛生士も増えています。
介護施設等での歯科衛生士の仕事
地域の歯科診療所と連携して、高齢者の口腔ケアや機能訓練などを行います。
その他
教員として歯科衛生士養成校に勤務する人や企業で働く歯科衛生士もいます。
教育機関での歯科衛生士の仕事
歯科衛生士養成校では、歯科衛生士の資格をもち、歯科診療所や病院などで経験を積んだ人が、教員として学生を指導しています。
企業での歯科衛生士の仕事
歯科関連の企業で歯科衛生士としての専門性を活かして仕事をしています。また減り続けていますが、企業内歯科診療所もあります。
歯科衛生士のキャリアアップ
歯科衛生士のキャリアパス
歯科医療の技術は日々進歩していますので、資格を取得してからも勉強が必要です。
日本歯科衛生士会では、歯科衛生士の継続的なスキルアップをテーマに、さまざまな研修・学習の場を用意しています。
また、都道府県歯科衛生士会でも独自に研修会を開催しています。
認定歯科衛生士
認定歯科衛生士とは、特定する専門分野において高度な業務実践の知識・技能があると認められた歯科衛生士です。
ケアマネジャーの資格取得
歯科衛生士として5年以上の実務経験を積むと、ケアマネジャーの受験資格を得られます。ケアマネジャーは介護サービスに関する相談や調整をする専門職です。

大学や大学院に進学
より専門的な知識や技術を学ぶために大学院や大学の専攻科に進学する人もいます。介護や福祉との連携が進んでいるため、改めて学びたいと考える歯科衛生士が増えているようです。

歯科衛生士の転職市場
歯科衛生士の転職市場は活発です。常に求人は多く、資格があれば転職はしやすい状況です。出産や育児で一度離職したとしても、復職しやすく、ライフスタイルに合わせた働き方を選ぶことができます。
歯科衛生士の給与
区分 | 20~24歳 | 25~29歳 | 34.9歳(平均) |
所定内労働時間 | 164時間 | 164時間 | 162時間 |
残業 | 6時間 | 7時間 | 6時間 |
月収 | 235,500円 | 249,500円 | 250,200円 |
年間賞与等 | 268,900円 | 428,100円 | 479,400円 |
年収 | 3,094,900円 | 3,422,100円 | 3,481,800円 |
(厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」より)

まとめ
歯科衛生士の半数以上は20~30代で、どちらかといえば若手が活躍している職種です。しかし、最近では40代以上の割合も増加していますので、長く働く人が多くなってきているといえます。
歯科衛生士は一生続けられる仕事として、ライフスタイルに合わせて自分らしい働き方を選べることも魅力のひとつになっています。
