キーワード解説
障害者雇用促進法とは
障害者雇用促進法とは、障害者の雇用の促進と職業の安定を図ることを目的とした法律のことです。正式名称は「障害者の雇用の促進等に関する法律」です。
障害のある人が、その能力と適性に合った職業に就き、自立した生活を送ることができるような社会の実現を目指して、雇用対策が進められています。
民間企業に雇用されている障害者の数は、年々増加し、更新を続けています。障害者雇用率を達成している企業も増え、障害者雇用は着実に進んでいます。
障害者雇用率制度
全ての事業主には、従業員の一定割合(法定雇用率)以上の障害者を雇用することが義務づけられています。
- 民間企業:2.2%
- 国、地方公共団体等:2.5%
- 都道府県等の教育委員会:2.4%
※2020年度末までに、さらに0.1%ずつ引き上げる計画です。
障害者の範囲
障害者雇用率制度の上では、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所有者を実雇用率の算定対象としています。(短時間労働者は原則0.5人カウント)
ただし、障害者雇用に関する助成金については、手帳を持たない統合失調症、そううつ病(そう病、うつ病を含む)、てんかんの方も対象となり、またハローワークや地域障害者職業センターなどによる支援においては、「心身の障害があるために長期にわたり職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な方」が対象となります。
雇用の分野での障害者差別を禁止
募集・採用、賃金、配置、昇進などの雇用に関するあらゆる局面で、障害者であることを理由とする差別が禁止されています。
- 募集・採用
・単に「障害者だから」という理由で求人への応募を認めないこと
・業務遂行上必要でない条件をつけて、障害者を排除すること - 採用後
・労働能力などを適正に評価することなく、単に「障害者だから」という理由で、異なる取扱いをすること
合理的配慮の提供義務
事業主は、障害者が働くにあたっての支障を改善するための措置を、過重な負担にならない範囲で講ずることが必要とされています。
- 募集・採用
・視覚障害がある人に対して、点字や音声で採用試験を行うこと
・聴覚障害がある人に対して、面接を筆談で行うこと - 採用後
・車いすを利用する人に合わせて、机や作業台の高さを調整すること
・知的障害がある人に対して、図などを活用した業務マニュアルを作成するなど、作業手順をわかりやすく示すこと
・聴覚障害のある人に対して、危険箇所や危険発生を視覚で確認できるようにすること
苦情処理・紛争解決援助
事業主には、雇用する障害者からの苦情を自主的に解決するよう努力することが義務づけられています。
解決できない場合は、個別労働紛争解決促進法の特例で、都道府県労働局長が必要な助言、指導または勧告をすることができ、調停制度の対象となります。
障害者採用のための支援機関
障害者の採用は多様で、さまざまな機関が相談や支援を行っています。障害者就業・生活支援センターは、企業や関係機関と連携して、障害者の就業面と生活面の一体的な相談・支援を行っています。
- ハローワーク
- 地域障害者職業センター
- 人材紹介会社
- 障害者就業・生活支援センター
障害者トライアル雇用事業
障害者トライアル雇用事業では、障害者を一定期間(原則3か月)試行雇用することにより、適性や能力を見極め、求職者と事業主の相互理解を深めることで、継続雇用への移行のきっかけとすることを目的としています。
・雇用における障害者差別は禁止

